2-21 日常。初めてのクエストボード・・・伯爵邸で執事のお仕事!?ー其の6-
昨日は感想を頂いた方。ブックマークを頂いた方。
ありがとうございます!物凄くモチベーションが上がりました!
明日も17:00の投稿予定です。
それでは、本日もどうぞごゆっくりご覧下さい。
俺は、伯爵とシンの顔を交互に見ながらお礼を言うと。
エドモンドさんの後に付いて執務室を出た。
そのまま何も話す事もなく衣裳部屋へと連れて行かれ。
手渡された服を試着していく。
俺のサイズを教えた覚えはなかったのだが、エドモンドさんが選んだ服は全てジャストサイズだった。
昔見た映画で、執事は完璧を求められる職業だと言っていたのを見たのだが、まさしくエドモンドさんはソレだと思った。
そして、試着を終えたぼくの姿を見たエドモンドさんが
「良いですね!お似合いですよ」
エドモンドさんはそう言うとニッコリと笑顔を見せてくれた。
ここに来てからと言うもの、ロッテンマイヤーさん以外の人と接する事が出来なかったので。
その笑顔を見た時、心の中から言いようのない暖かい気持ちが溢れて来るのを感じる事が出来た。
「本当ですか!これ、着てみたかったんですが。ロッテンマイヤーさんに執事は容姿が求めらるから、俺はダメだと言われて諦めてたんです。でも、そう言って貰えて・・・お世辞でも嬉しいです!」
「そうでしたか。彼女も彼女なりに当家の事を考えてはいるとは思うのですが、ここ数年は行き過ぎているようなのです。伯爵様もシン様も注意はなさるのですが。彼女も頭が良く、上手に切り返しているようなのです」
「そうだったんですね。僕はこの貴族社会の事はよくわからないので、そういうものだと思っていました。だから、さっき伯爵様とシンに優しくしてもらえたのが吃驚もしたし凄く嬉しかったです!」
「そうですか。確かにご主人様とシン様は特別です。他の貴族のお屋敷では使用人の扱い方はロッテンマイヤーの考え方が当たり前ですね」
「そ・・そうなんですね。でも、そうであれば反抗したりするのもご法度じゃないんですか?」
「そうですね。普通なら行き過ぎた行為と言う事で解雇かお叱りを受けるのが当たり前ですね」
「じゃあ、やっぱり伯爵様達がお優しいからそんな事にはならないと言う事なんですね?」
「そうですね。それもありますが、ロッテンマイヤーは特別です。彼女は元貴族の出で、他の貴族にも顔が利く所があります。ここで働いているのも先代のご主人様がお助けになったとかで働きだしたそうなのですが。どうも先代のご主人様との間に・・・おっと、お喋りが過ぎたようですね。」
エドモンドさんは途中まで話をすると、はっと気づいた顔になり自重気味に苦笑いを浮かべた。
「なにはともあれ、貴方は今この時よりシン様のヴァレット。ロッテンマイヤーに胸を張っておいでなさい」
「はい!ありがとうございます!」
「それと。この間は助けて頂き、ありがとうございます。私からも何かでご恩返しをさせて頂きたいのですが・・」
「え!?いえいえ!それはもう忘れて下さい!そう言って下さっただけで十分です」
「そうはいきません。私としても気持ちが収まりません。何かあれば言ってください」
「そ、そうですか・・・そこまで言って貰えるなら。何かあった時は遠慮なくお願いします!」
「はい、それでは使用人全員に引継ぎをしに参りましょうか!」
「はい!」
俺達は笑顔で頷き合い、衣裳部屋を後にする。
エドモンドさんはロッテンマイヤーさんを呼びに。
俺は再度、執務室の方へと向かった。
執務室の隣にはエドモンドさん専用の家令室が割り当てられており、俺はそこで待つように言われていた。
俺が部屋に入って10分程だろうか執務室の扉がノックされ開く。
「それでは、カガミ君。付いて来て下さい」
「はい」
俺はそう促されるまま、エドモンドさんの後に付いて行く。すると広間の扉の前で立ち止まると、そのままここで待つようにと言われた。
俺が考えていたのは執務室でロッテンマイヤーさんに報告・・・でらいの事しか思っていなかったのだがどうも様子が全然違うようで困惑する。
エドモンドさんが室内に入って少しすると俺の名前が呼ばれる。
呼ばれるままに扉から中に入ると、屋敷で働いている全員がそこに集められていた。
休みの人もいるのでまだ1.5倍程の人数がいると思うと、結構な数の人間がココで働いていることが分かる。
使用人達は自分の位置が決まっているかの如く男性と女性、各種別毎に綺麗に整列しており。
男性側の先頭にエドモンドさん。女性側の先頭にロッテンマイヤーさんが立っている。
それに向かい合うように伯爵様とシンが立っている。
「カガミ君こちらへ」
「はい」
俺は伯爵様に呼ばれると、扉の前からその隣に移動する。
こんな事人生で殆どなかったから、緊張で足がガクガクしそうになった。
「皆も知っていると思うが。昨日、シンが何者かの襲撃にあった。だが、ここに居るエドモンドとカガミのお陰で、今回は掠り傷一つなく済んだのだが。聞く所のよるとこのカガミは冒険者でありなかなかのランクの冒険者である事が分かった。これからは何が起こるかも分からない事と、昨日の功績を鑑みて、本日付けでシン専属の護衛兼ヴァチェラーになってもらう事にした」
伯爵様はさっきとは違うこの館の主としての威厳ある声と態度で話している。
ロッテンマイヤーさんは、ある程度の予想はしていたのだろう。呆気に取られている様な事はないが、気に入らないのだろう。
ギリギリと音が聞こえてきそうな程しっかりと口を真一文字に結び、鋭い目つきで俺を睨んで来る。
「何か異論や質問があるものはいるか?」
「よろしいでしょうか?」
やはりロッテンマイヤーさんが噛みついてきた!
「なんだい?」
「その者は先日ここに入ったばかりでございます。ここの事を何も知らないばかりか、性格も粗野にございます。容姿も優れているとは思えません!」
あ!またそこを突いてきたなババア!・・・あー!俺を虐めてた理由ってそれかぁ!ババア!
「私も教育している最中でございます。シン様の護衛でしたら、別に雇って頂ける方が私共と致しましてもよろしいかと」
「それに関しては、今回の事は信用性が重要になって来る問題だ。犯人が分かっていない以上新たに雇うのは得策ではないだろう。それとこれは、シン本人からの希望でもある上に今回は他にも兼任してもらう仕事もある。」
え!?聞いてない話しが出て来たぁ!?
「ロッテンマイヤーには悪いが今回は私としてもこの任について貰うのが妥当なのだよ」
「その仕事といかなる物でしょうか?」
「ロッテンマイヤー!口が過ぎますよ」
エドモンドさん参戦!
「も・・申し訳ございません」
え?エドモンドさんの言う事は聞いちゃうの?
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