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2-9話 ワイバーン討伐戦!なんか本当にすいませんでした・・・ ー其の1-

遅くなって申し訳ありません!

お待たせ致しました!

それと同時に辺りを覆い隠していた霧が更に濃くなり俺の視界は完全にホワイトアウトした

      ・

      ・

      ・

「マサト・・・マサト!!」

「へえあ!?・・・・・あれ?・・・霧は・・???」


 肩をゆすって起こされる。


「霧?私たちが起きてから、霧なんて何もなかったよ?」

「火の番を放っておいて居眠りとは、良い身分ですね?」


 マリナはいつも通り。ディアさんは、あ、怒ってる!?これは正座すべき所だと俺の本能が告げている!!その時の俺はスキルを使うより、神の軌跡を使うより早く正座していた。


「え?あ、いや。寝てたのか・・あ!すいませんでした!」

「まったく、何もなかったから良かったですが。何かあってからでは遅いんですよ!?」


ディアさんは腰に手を当て、人差し指を立てながら怒っている。不謹慎だがなんか可愛い。


「はい!いつもはこんな事なかったんだけど・・・すんませんした!」

「お姉ちゃん、許してあげてよ。今まで本当にこんな事なかったんだから」


 マリナはまだパチパチと(くすぶ)っている薪に水をかけながら俺を擁護してくれる。


「今回はこれで終わりますけど。冒険者は危険と隣り合わせなんですから気を引き締めて下さいね!」

「はい・・・すいませんでした」


 ディア姉さんのお説教タイムも終わりそうなので、俺も正座を解いて準備をする。

 それから一時間程森の中を探索する。勝手知ったる森なので、最初の一時間は山菜を採ったり狩りをしたりしながらの探索となった。


「これ位で良いんじゃない?」

「そうね、数日分位の食糧は確保できたでしょう!」

「昨日の夕食は質素だったからちょっと物足りなかったけど、今日は豪華に肉料理ね!」


 当パーティの女子達は顔こそ美人なれど、やはり武を嗜むもの!肉料理の話しになると顔が綻ばずにはいられないみたいで。マリナの一言からキャピキャピモードに早変わりである。


「そうね!簡単に見つかれば良いけど、この森も広いから何日間かの探索になるかも知れないものね」

「それにしても。マリナも成長したものですね。狩りに関しても採集に関してももう口出しする所がない位」

「え~!お姉ちゃんにそう言って貰うの嬉しい!」

「いえいえ、マリナが頑張った成果よ。良い師匠に教えてもらっていますね」

「そう!元々分かっていた所はあったけど、教え方も上手なの!あ~!先生に早く会いたいなぁ」

「もう家族みたいな感じなんですね」

「そう!お父さんみたいだから、なんだか嬉しくって!」

「じゃあ、さっさと片づけて帰りましょう!」

「うん!」

「あ、その件に関してなんだけど・・・」


 また居眠り事件が再燃しないかとビクビクしながら声をかける。


「どうしたの?」

「夢・・・だと思ってたんでどうしようかと思ってたんだけど。一回、盗賊のアジト跡に行ってみない?」

「え?どうして?」

「昨日の夢に出て来た妖精(ピクシー)が言ってたんだよ。あそこに巣を作っているって」

「ピクシーを見たんですか!?」

「え?いや、寝てたから夢じゃないなぁ~とは思ってるんですけど」


 俺は急に乗り出して来るディアさんの勢いに押され、朝の件もあり若干引き気味に答える。


「え?そんなに言われたら本当は現実だったんじゃないかと思えてくる・・・」

「妖精を見ると言う事がどういう事なのか知らないんですか!?」

「え!?いや、私は・・ってか、シド先生からはそんな話し聞いた事もなかったよ!?」


 すんごい勢いで俺に迫ったかと思うとディアさんはマリナの方にこれまたすんごい勢いで疑問を投げかけた。・・・あー、こんな感じの時はマリナも苦手なんだなぁ~。


「そうですか・・・知らないのも当然なのかも知れませんね。まず妖精自体、文献か御伽話(おとぎばなし)で出て来るだけですものね」

「あ、あの~、それってそんなに凄い事なんですか?」

「そうですよね。凄いなんて話ではありませんよ!各国がこぞってその存在を欲しがるぐらいです」

「へ、へぇ~、なんでそんなに欲しがるんですかねぇ」


 俺はなんとなく予想出来る先を、ドン引きしながら聞いた。


「いいですか?妖精を見る事が出来ると言う事は、精霊も見る事が出来ると言う事です。そして見るだけならまだしも、話す事が出来ると言う事は精霊との契約の交渉の席に立つ事が出来ると言う事になります。精霊は魔法の根源的存在ですから通常の魔法の行使でも威力の桁が変わる事を意味し。尚且つ精霊との契約は精霊魔法を行使出来ると言う事になります。こうなってしまうと最早特殊な存在以外では太刀打ちする事が出来なくなってしまいます。それこそ、一人で一国を滅ぼす事など造作も無くなってしまうほどに。」

「そ、そこまで凄い事なんですね・・・因みに特殊な存在とはどの様な・・」

「良い質問です!」


 引いている俺など気に留める事なくディアさんはビシッと俺に指を突き付けると、いつの間にか出してきていた銀縁逆三角眼鏡(横の鎖付き)をクイクイッやりながら話を続ける。


「特殊な存在とは、勇者・召喚者・伝承者等がそうなります」


 伝承者の名前を聞いた時に、何となく分かってはいたのだが肩がビクッとした。


「この三者は基本的には転生者、異世界からこちらの世界に渡った者と言われていますが、分かりにくいので大きい括りの総称と思って下さい。勇者は魔王復活の際に召喚魔法で呼ばれる存在で一人又は複数人。召喚者とは召喚魔法で呼ばれはしたが、魔王を倒せる程の能力を持っていない者。それでも特殊能力を持っている事がほとんどのようで、召喚した国や種族が抱え込む事が多いようです。今までに召喚に成功しているのは人族のみのようです。そして伝承者は勇者が退役した後や召喚者が退役した人立ちの事を総じてそう呼ぶようです」

「因みに転移者とかは聞いた事はありませんか?」

「転生者ではなく、転移者ですか?そんな言葉聞いたことないですねぇ。もしかしたらアングマスターとかならご存知かもしれませんが、私ではこれが精一杯です」

「いえいえ!十分です!ありがとうございました!今の話しを聞いていて分かったんですが。やっぱり夢だったようです!」


そう。こうしよう!全ては夢落ち!こんな便利な言葉はない!これ以上疑われると修正が利かなくなる!


「え?もし本当だったら・・」

「いやいやいやいや!そんな事ありませんって!」

「この前の試合での見た事ないスキルも・・」

「いやいやいやいや!あんなもん応用!そう!応用なんで誰でも出来るもんでゲスヨ!」

「ゲス!?ゲスって何!?あ!でも、シド様の存在も・・・」

「あぁぁーーーーーー!ワイバーン!ワイバーンがいる!」

「ええ!?何処ですか!?」


ギャアァ―――――――!


「え?マジ?」

「マジ?本当ではなかったんですか?

「いやいや!本当!本当ですとも!この機会を逃すとマズイ!先にいきますよー!」


 強引に逃げた、多少の違和感はあるだろうが何とかはぐらかすことは出来ただろう。それにしても本当に出て来てくれてよぁったぁ~!後ちょっとでヤバいとこだったぁ!後もうちょっと食い下がられてたら殴って逃げるぐらいしか思いつかなかったもんなぁ~!


 さて、一難去ってまた一難!次はふんどし締めてかからんと命取られかねん!

 気合入れていくぞ!


明日の投稿は17:00予定です!

宜しくお願い致します!

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