2-7話 初めてのクエストは二重依頼?・・・-其の1-
本日はこの1話だけの投稿となります。
宜しくお願い致します!
では、どうぞ!
「西の森での討伐依頼かぁ・・・」
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「内容はどんな感じ?」
「ええ?ん~、これちょっと強くないか?」
「どんな魔物ですか?」
「・・・ワイバーン・・・」
「ワイバーンなら大丈夫ですよ!」
「翼竜種ねぇ~。俺達魔法も使えないし、弓も使えないけどどうやって戦うの?」
「それなら大丈夫!ディア姉がその専門だから!」
「え?そうだったの?だって、試合の時は剣を持ってたんじゃ?」
「ああ!あれは、貴方の力量を図らせて貰うためにわざと剣で応戦しました」
「え?じゃあ、専門は弓?」
「はい、私の職種は弓騎士なので」
と腰から折り畳み式の金属製の弓を広げて見せてくれる。
「そう!ディア姉は弓も剣も槍も使える頼りになる女なの♪」
「そんな所に隠し持ってたんだぁ~、てっきり剣士だと思ってたから先ず敵わないと思って【ゲート】までつかったのに」
「それで良かったのですよ?貴方の隠された能力を見せてもらう場が・・・」
「あ~~~!!!」
アングさんが急に奇声を発する
「あ~!って。子供じゃないんだから隠したってもう全部聞いたみたいなもんでしょ?やっぱりまた俺を嵌めたんですね?」
「あ、ああ、いや。嵌めるとかそんなんじゃないじゃないか」
目に涙を溜めながら悔しがる俺。バツが悪そうに苦笑いするアングさん。
「良いじゃないですか?あの子に相応しいか試させて貰ったのは本当ですし」
「いやいや、でも何回も嵌められるのって・・・そう言えばなんかキャラ変わってません?」
「普段はいつもこんな感じだよ?」
「ええ」
「いや、戦ってる時はもっとこう・・・アグレッシブと言うか、好戦的というか・・・」
「ああ、やっぱり気づいちゃった?あれね、姉さんの悪い癖なのよ~。戦ってる時はいっつもああなるの」
「ああ・・・お決まりのダメパターンの人・・・」
「ま、そんな感じかな?」
「それで、その依頼はどーするんだ?そろそろ俺も時間がないんだが?」
俺達のやり取りを半ば呆れ半分で見ていたアングさんが痺れを切らせたようだ。
「じゃあ、やります!Sランク冒険者がついてれば何とかなりますよね?」
「そう思うなら、自分の実力をこの魔物で確かめてこい」
「これ、シド先生がいてないけど大丈夫かな?」
「まあ、そこは何もせずに待っ得だけってのもなんだし。大丈夫大丈夫!」
「もしこっちに来られたら俺からも行っておくし、お前たちは気にせず頑張ってこい!」
「「「はい!」」」
俺達はアングさんの言葉を受け、意気揚々と初クエストに望むため。ギルドを後にした。
「・・・これで良かったんですか?」
「ええ、そろそろ私抜きでも考えて動けるようになってもらわないといけませんから」
「シドさん・・・あいつらはまだひよっこですよ?」
「ええ、もうひよっこです」
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ー翌日ー
「ねぇ、ここって・・」
「ああ、まさかとは思ったが・・」
「「地獄の森ね」だ」
「ここが噂のシド様との修行場所ですか・・・なかなかのシゴキ具合だったみたいね?」
そう、俺達はつい数日前まで住んでいた?マイスイートホーム?地元?的な所業場に使っていた森に来ていた。
「なぁ、此処を飛び跳ねながら旅立ったのって」
「そう、たった数日前よ」
「俺達って旅行に都会に行ってたのかな?それか夢でも見てたのかなぁ?」
最近、年のせいか涙腺がどうも弱くて困る。前が、前が滲んで見えないんだ!
「しっかりして!そんな事はないわ!あれは現実よ!気をしっかり持って!」
「よっぽど辛い事があったんですね。でも、茶番はそれ位にしてベースキャンプの場所を探しに行きますよ」
「え!?あ、はい!あ!置いてかないで!」
「ディア姉!待ってよ~!ちょっとした冗談よ~!」
ちょっとは待ってくれても良い筈だが、ディアさんは本当に足早に進んでしまう。あれ?何かお笑い的な立場に変化が生まれた?
「俺!ここに着いた時に良い所を思いついたんですよ!」
「あ!それ私が言おうと思ってた所!」
「それは建設的で良いですねぇ。何処ですか?」
森の入り口から歩いて一時間程の森の奥にある簡素な木造りの掘立小屋。俺達は懐かしき我が家?に戻ってきていた。ついた頃には日が傾きだしていた。
「今日の所は危険が危ないですので」
「ディアさんもボケる事あるんだ・・・」
「止めてあげて!姉さんは普段は真面目を絵に描いたような人だから、あれは楽しませようと精一杯なの」
「そ、そうなんだ。な、なんかごめん」
「これで休む事にしましょう」
今日の所は獲物を取る時間もなかったので。用意してきた常備用の黒パンと豚バラの塩漬けを夕飯代わりに取る事にした。小屋の前には獣除け兼調理用の焚火場があるのでそこを囲んで食事しようと言う事になった。
「この前までここでこうしてたんだよな?」
「そうね」
「なんか地獄の日々だったし、数日しか経ってないのに懐かしく感じるのは先生がいてないからかな?」
「シド先生、ずっと一緒だったもんね」
「先生、いつもだったらすぐに見つけてくるのに。大丈夫かな?」
「大丈夫よ!マサトは見てなかったから分からないでしょうけど。先生、魔王が放った魔法を簡単に防いでいたのよ?」
「そっかー、信じてない訳じゃないんだけどさ。実際に先生がいなくてこうやってると・・・先生、どっか行っちゃうんじゃないかって何となく思うんだ・・・あんな碌でもない人なのに寂しいのかな?」
「・・・マサトもお子ちゃまなんだねぇ~。私もちょっとは寂しいけど、私はこのクエストを成功させて褒めて貰いたいな?」
「マリナは、褒めて貰えるだろうけど。俺は男だから誉めてくれないんだろうなぁ~」
「・・・・・二人にとってシド様とは凄く存在の大きな方なんですね」
「そうですねぇ~、俺なんて碌でもない事ばっかりされるんですけど。なんか許しちゃうって言うかなんと言うか」
「まだ3カ月ぐらいしか一緒にいないなんて思えない位だよ」
「そうなんだ。私もこれからそうなっていけるかなぁ?」
「大丈夫ですよ。まだ出会って間もないですけど、最初はマリナもそうだったし」
「お姉ちゃんパーティ久しぶりだもんね。そう思うのも当然かもしれないけど。今度は大丈夫!」
「ありがとう。私もそうなれば良いと思ってるわ」
「・・・・・・・・・・・」
この雰囲気のせいかディアさんの過去を深く聞いたらダメな気がして聞けなかった。焚火の明かりが揺れているせいか、その時のディアさんの横顔は何処か儚げにさく一凛の花のように、寂しげで綺麗に見えた。
「さあ、明日も早い事ですし私たちは先に休ませて貰いますね」
「あ、ああ。どうぞどうぞ!俺は予定通り火の番やってますから、安心して寝て下さい」
俺は一瞬ディアさんを見つめていた事に気づくと、焦ってしまって早口になってしまった。
「・・・・・ふん!マサトが一人で番をしててくれたら安心だからお先に休ませて貰いますよーだ!」
「んん?どうした?なんか怒って・・・」
「ない!おやすみ!」
なんだろうか、マリナは怒って部屋に入ってしまった。
「マサト君何かした?」
「いやぁ~、何もしてない筈なんですけどね」
「明日はちゃんとご機嫌取り、してくださいね?」
「分かりました。女心となんとやらだそうですしね。おやすみなさい」
「おやすみなさい」
ディアさんは安心したように笑うと小屋に入っていった。
今回も読んで頂きありがとうございます!
申し訳ありません。そろそろストック作成と
手直しもかかりますので、1日1話がベースと
なります。更新時間の告知はさせて頂く予定
ですので、よろしくお願いします!




