2-3話 ランクアップ試験・・・ってまたやられた!・・・ー其の2ー
本日1回目の投稿です!
今回は因縁の対決です。マサトの強さはどれほどの物になったのか!?
それでは!ご覧ください!
とうとう始まってしまった。俺は訓練場の中に入ってから気づいたのだがあいつらが目の前にいるのに、妙に心が落ち着いていた。
・
・
・
相手の5人は作戦もクソもなく開始と同時にバラバラに立っていた場所から二人に襲い掛かろうとする。俺達は事前に相手の個々の獲物と強さの調べはついていたので、
「マリナ作戦通りいくぞ!」
「オッケー!」
二手に別れる。そしてお決まりのスキルを発動。
「「【身体強化】」」
二人の身体は薄赤い光に包まれる。
===================
修行で真っ先始まったのがこのスキルの修得だった。
この身体強化、内容はその名の通り魔力を使っての身体強化。
スキルLVで身体強化の倍化率が変わるので、上げれば上げるほど消費する魔力量も変化する。
そして、このスキルは継続系スキルになるので、使えば使う程消費魔力は垂れ流し状態で消費して行く。
スキルLVに応じて強化具合も違うのだが、ステータスや自身によって段違いに変わって来る。修行のお陰で俺達のブーストLVは5ずつ。
===================
「なんだ!?急に早くなりやがった!」
「お前ら、ひるんでるんじゃねぇ!身体強化だ!こっちも使え!」
「「「「「身体強化」」」」」
「は、早え!」
「こ・・こんなの無理だぁ!」
ザンギの指示で全員スキルを発動するが、
「は・・・早や過ぎる!」
「兄貴!なんかこいつらの動きなんかおかしいぜ!」
「「・・・・・・・・・」」
ドサドサッ
弓使いの子分Dと剣使いの子分Cは発動と同時に一蹴される。
俺達は修行中の盗賊団との一戦で連携や戦い方を教わった。雑魚相手にいちいち声を出して動いたり、切りかかったりはしない。二人の動きは止まることなく、残りの雑魚二人に物凄い速さで襲い掛かる。
ザンギ達には同じスキルを使ったにも係わらず二人の速さは異常に早く、その動きに対応出来ずにいた。
それもその筈、一般的にはスキルにLVがある事は知られておらず、通常Bランクに上がったぐらいから知る事だから。
勤勉にクエストをこなしている冒険者なら何処かから情報を得ているかもしれないが、稼いでは昼間っから酒浸りのザンギ達にそれを知る由もなかった。
「だ・・ダメだ!追い切れねぇ」
「こ・・こっちもだ!兄貴!たすけ・・・」
ドサッ・・ドサッ
残りの二人も二人が持つ刃引きのショートソードの前に倒れた。
「後はお前だけだな。ザンギ・・・」
「へ、何をしたか知らねえが。えらく強くなったじゃねぇか!だが、俺がそんな簡単に行くと思うなよ?」
「ああ、やっとあの時のお返しが出来るんだ。簡単に倒すかよ!」
「へ、えらく大口まで叩くようになったとわな!」
ザンギは俺に向けてラブリュスを叩きつけてきた。
「そんな大ぶりが当たるかよ!」
ガキン!
「不意打ちとはやるじゃねえかお嬢ちゃん」
「くっ!」
マリナはザンギが俺に攻撃を仕掛けている間に後ろへ回り、渾身の一突きを背中向けてお見舞いしようとしたが、寸での所でラブリュスが背中を覆い隠した。奇襲に失敗したその反動が、他に行き場のなくマリナの手を襲っている。
ガン!
ザンギがマリナの攻撃を防ぐ為にラブリュスを背中に回した瞬間を狙った俺の、上段切りを今度は空いた手のガントレットで受け止めた。
「クソ、感が良いじゃないか!」
「へへ、貴様ら如きにそうそう入れられる訳ないわ!クッ!」
俺達の連携があれで終わったと思わないで貰いたい。が、マリナがまだ痺れている筈の手でもう一突きするがやはりランクC上位は伊達ではなく、決まったと思ったその突きは脇腹を掠った程度しか切れなかった。それでも俺達の連携は途切れない。
「・・・・・・」
「くっ」
「・・・・・・」
ガキン!
俺が切ってはザンギが避け、マリナが突いては掠る。その攻防が幾度か続く。
「どうだ、これじゃ手も足も出ないんじゃないのか?」
俺はあのザンギ達にまだ本気を出していない状態でこんなに追い詰めていることに酔っていたのかもしれない。復讐がやっと出来る!あんなに惨めな思いをさせたヤツが手も足も出ないでいる!力で人の上に立つ悦楽に身を委ねていたのかもしれない。
「・・・・・」
「なんだなんか言えよ!」
「マサト、ちゃんと集中して!」
その時だった。
「ガアッ!」
突然目の前に現れた何かの塊が、凄い速さで俺の右目の上辺りにぶつかった。当然俺はその衝撃で吹き飛ばされ、連携は途切れる。俺にはボソボソっと何かを言ったようにしか聞こえなかった。
「マサト!」
「はぁーっはっはっは!ざまぁねえなぁ!坊やがいつまでも粋がってんじゃねえよ!俺の土の槍の味はどうよ!?」
マリナは咄嗟に攻撃を止め移動し、吹き飛ばされた俺の前で剣を構えて牽制してくれる。
「マリナさん、引きなさい。もう良いです、そんなバカは放っておいて」
※シドの声は周りには聞こえていません。
「え?そんな・・・」
「大丈夫ですよ。今ので頭が冷えたでしょう。マサト、後でお話があります。」
※シドの声は周りに聞こえていません。
「ええ!?冷えました!もうあんな失態お見せしません!だから先生、勘弁してください!」
ちょっとした演出をしてみようと欲を出し、周りに心配してもらおうと動けないフリをしたのが仇になった。
「なん!?」
俺の額を見たザンギが驚きの声を上げる。それもその筈、俺の額からは血の一滴も、なんなら傷一つ付いていなかったのだから。
「再起不能だと思った?甘いんだよ。どんな地獄を見てきたと思ってんだよ。マリナもう見ててくれても良いよ」
「マサト・・・後で私からもお話があります」
「ええぇぇぇ!そんなぁ~!」
マリナは剣を鞘にしまいながら後ろに下がっていった。額に青筋を浮かべながら・・・
「き、貴様らぁ!いつまで俺をこけにするつもりだぁぁぁぁぁぁぁ!」
シュキン!・・・・・・・・・・ザクッ!
ザンギがマサトに襲い掛かった刹那、ラブリュスの半分から上の部分はなくなり、回転しながら数m先に刺さった。
「勝者!カガミ マサト、マリナ・べレニーチェ ペア!」
ザンギはすぐには何が起こったかわからず硬直し、分かった頃には腰が砕けへたり込んだ。
「さっさと終わらせておけばよかったのよ!後で私までシド先生に怒られるじゃない!」
「良いじゃないか!ちょっとした演出だよ、演出。あっさり終わらせたんじゃ俺の腹の虫が収まらなかったんだよ!」
「よくわかっているじゃないですかマリナさん、二人とも後でお話があります」
「「ええ!?」」
「シド先生!アレはマサトが言い出した事で・・」
「あ!そんな事言って、マリナもノリノリだったじゃない・・・」
「マリナ、ずいぶんと楽しそうね」
俺達が顔を突き合わせての擦り付け合いの最中、何処からともなく女性の凛としているが何処か澄んだ声が聞こえて来た。
「え!?お姉ちゃん!?」
今回も読んで頂きありがとうございました!
次回投稿は17:00を予定しておりますので、
宜しくお願い致します!




