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1話 ツイてない・・・

連続投稿第1話です。

よろしくお願いします!

ミーン、ミーン、ミーンミン・・・


ジリリリリリリリ・・・


「どぅゆわああぁぁぁぁぁぁ!」


 俺はどうやら飛び起きたらしい


「・・・・・夢かぁぁぁぁぁ」


 辺りを見回すとそこは自分の部屋だった。どうやら悪夢を見て、全身汗だくで飛び起きた・・・ようだ


「それにしてもリアルな夢だったなぁ~」


 いかにもテンプレな感じだが、実際にそうなってしまったから情けな)


「なんか感触も現実味がありすぎて・・・・・・穴、開いてないよな?」


 開いてるわけもないのについつい確認してしまう・・・年齢のせいか??


「昨日見てたアニメの影響かなぁ?何か目覚めが最悪の気分だ。」


 ・・・いやいや!そんな事はないまだまだバリバリだぜ!・・・・・バリバリって、今の30代ですら言わないようなぁ・・・やっぱり年齢なんだろうな・・・


「あ!出勤の準備しないとヤバい!」


 俺は神々かがみ 雅人まさと

 つい先日に40歳になった。

 いわゆる本厄のおっさんだ。ナイスでミドルなガイと言いたい所だが。

 俺はナイスでもガイでもないただのおっさんである。


 仕事は・・・最近までは自分で商売をしていたのだが。

 とある社会の荒波の中揉まれに揉まれて・・・沈んでいった。

 これで11社目だ。

 正直、人生はままならないもんだとは自分でも思う!


 俺の尊敬する師匠が言っていた!「小さな事からコツコツと!」

 あの言葉偉大だったなぁ~。


 周りからは夢見がちだとか、もっと現実を見ろとか言われるが。

 まだまだ諦めるつもりなんてこれっぽっちもない!

 そりゃあ、ちょっとぐらいは焦る気持ちもなくはないが・・・

 まあ、今は次の会社を立ち上げるべくの猶予期間だ!


 こんな性格だから彼女と呼べるお方はここ10数年はおらず。

 

 もっぱら彼女と言えばブラウン管(死後?)とライトノベルの中の、ヒロイン達と声優様達だけだと思っている。

 ライトノベルの世界は良い!俺もあの時代やあの世界の中で産まれていたら絶対にもっと人生を謳歌出来ていたはずだ!


 そうこう言いながらでも、準備を済ませ。

 家の玄関を当たり前に出ていける所は、大人の体に染みついた技だと思う。



ー電車の中ー


 車窓には見慣れた街の景色が流れて行く。


 毎日自分は自分の好きな事を仕事にしてきたのだが、ふとした時に思う事がある。

 俺はこのままで良いのだろうか?ここまではなんとか生きてくることは出来た。

 でも、学生時代に夢見た40才の自分はこうじゃなかった。

 

 夢にあふれ。

 どんな事でもできる若い自分。

 どんなことでも出来る気がしてた。

 

 今はただ自分が出来る事をし、会社を作るといっても潰してばかり。

 まだ、自分はなんでも出来ると思っているが、本当は何も出来ないかもしれない事はうすうす気づいている。

 周りを見渡せば、嫁と子供に囲まれた幸せな人生を手に入れた同世代。

どうにかしたいが、自分を誤魔化している割に今一つ力及ばない自分。

 

「ああ~!神様!もう一度!もう一度だけあの世界で異世界転移でも転生でも良いからやり直させてもらえませんか~~!」


 あ、クソ!電車の中だってのに心の声が漏れ出ていたか・・・

 え?あれ?周りの人が変な人を見るような目で俺を・・・

 あ!いや!やめて!正面の女子高生が徐々に後退り(あとずさり)していくぅ!



 シャラーーン【神楽鈴(かぐらすず)の重なり合う鈴の()



 プシューガタン

 電車の扉が閉まる。


 きゃーーっ!次の駅で乗ってきた友達の女子高生達に何か耳打ってる!

 あ!指さしてる!コラ!ダメだゾ!人を指さしたらダメって習わなかった??

 え?!み・・皆で汚物を見るような目で人を見てるよ?!

 い、いやぁ。待って!俺との空間がドンドン広がってるよ!

 いや!・・・うわっ!・・・・きゃーー!・・・・いやあぁぁぁぁ・・





◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 パッパー  ブウゥゥゥゥン


「うわ!あっつぅ!いやぁ~、ひどい目に合った!いやいやホントひどい目に合った!こんな散々な目に会う日ってあるのかねぇ」


 俺はあの地獄絵図でしかない電車の中を、最寄り駅まで耐え抜いた。

 鞄を両手で抱え、逃げるようにこの交差点まで走ってきた。

 駅から出て来た外は夏真っ盛りの熱気でジリジリしている。


「しかし、あんな目しなくたっていいじゃないか!最近の若者はなっとらん!最後には周りの人たちまでつられて1車両全員が俺を汚物か何かと勘違いしてたんじゃないか?」



 シャラーーン【またも鳴る神楽鈴の音】



「ん?この音、さっきも・・・あぁー!」

 今思えばこれが始まりだった・・・



「危ない!!」


 俺は見つけてしまった。

 何かに突き動かされるようにフラフラと赤信号の中、飛び出して行く女性の姿を・・・



 キキ―――――――ッ!ドン!



 夏の暑い日。


 アスファルトには陽炎が揺らめいている。


 ありがちかもしれない。


 とっさに体は反射的に女性を助けに走っていた。


 そして・・・追いつき、折り重なるように(かば)った時、俺は目を(つぶ)った。


 真っ暗になった俺の耳には、車の急ブレーキの音と五月蠅いぐらいに鳴き続ける蝉の声だけが聞こえていた。



(あ~あ、ホントに今日はツイてない。。。)




今回も読んで頂きありがとうございます!

次話は明日投稿予定です。

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