11話 ギルドと契約って・・・其の1
本日1話目の投稿です!
よろしくお願いします!
「い・・嫌です!さっき怒らないって!そう大体こういう時は皆怒らないと言って騙して来るんで・・あ!く・・苦しい!ぼ・・暴力反対ですよぉぉぉぉぉぉ」
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数分後・・・
先生がこの世界で力の行使が出来ないという話は本当なようで、俺は簡単に簀巻きで蓑虫の刑を執行する事が出来た。なんだろうこの言いようのない虚しさは・・・
「なあぁぁぁんと!神の遣いである吾輩に向かって何たる仕打ちか!解きなさい!今すぐに解きなさい!ああでもしないと君はバカのままだったんですよ!」
『簀巻き蓑虫の刑』それは身体を紐でぐるぐる巻きにされた挙句天井から逆さに吊るし上げられると言う何分もそのままにしておくと、頭に血が上って大変な事になってしまう残虐非道な刑の事である。
先生はその状態のままでも怒りながらピョンピョン飛び跳ねている。
「先生、あれはあきらかにやりすぎです!聞く所に依ると俺、死ぬ一歩手前だったんですよ?それに最後の最後まで下手な逃げ方でなんとか切り抜けようとするし・・・」
俺は拗ねていた、嘘がバレた後のカップルの喧嘩の後の彼女のように拗ねていた。
「しょうがないじゃないですか、あなたはそもそもが精神面的にクズの領域に達していたんですから」
「そ・・・それは否定しませんが・・」
「あのぉ~・・・、こちらも時間が有り余っている訳じゃないで・・・いいですか?」
「ああ!すいません!お見苦しい所をお見せしてしまって」
「いえ、バレたのは俺のせいでしょうし」
アングさんは苦笑いで先生の方をチラッと見た。
「それは良いんです!あれは先生がやり過ぎただけですし、まだ解明出来ていない『一昨日の夜は牢屋にも来ず何処にいたのか?』と言う謎が残っていますしね」
と、先生の方を見ると、急に口笛を吹き明後日の方向に身体ごと回転させている所だった。
「ははは、それは確かに。シドさ様も大変ですねぇ。それで本題なんですが、昨日シド様にもお話させて貰ったんですが。マサト君もう一度改めて聞きます、君は転移者で間違いないんだね?」
今まで苦笑いだったアングさんの顔が急速に真面目さを帯びる。
「・・・・・はい、僕は転移者です」
俺は先生の方に目線を向けると、先生が頷いてくれたので答えた。
「そうか、転移してきたのはいつ頃かな?」
「一昨日の昼頃でしょうか?」
「そうか、それは着いてそうそうこんな事件に巻き込まれてしまって、ある意味からは何かを感じるよ。」
「本当に」
俺は苦笑いで応える。
「でも、それなら色んな意味でお互いに都合が良い。因みにこの世界の知識はどれぐらい知っているのかな?」
「転移して誰と会う事も、先生からこの世界の事を聞くこともなく捕まったので何も知りません」
あれ?あれあれ?なんで物凄くかわいそうな子を見る目をしているの?やめて!やめてよ!何かを思い出すじゃない!
「そうか・・・まあ、それならば掻い摘んで簡単にだが話していこう。まずこの世界には大きく分けて7つの種族がある。人・獣人・ドワーフ・エルフ・竜神・翼人・魔の7部族があり、古の時代より各種族間での大きな戦争が時代の節目で行われてきた。当然終戦や停戦してきたからこそ今があるのだが。
ある時、史上最悪の全世界を巻き込んでの対戦が行われた。その首謀者は当時の魔王だったといわれているが、真実は闇に葬られるように明らかにされていない。
永きに渡るその戦いのせいで各種族がその数を減らしに減らしたその大戦は当然、当時の7種族の王が集まっての不可侵条約を持って終戦とされる事となった。だがその調印がなされようとしたその時、声を上げる者がいたそれは当時の賢王と言われた人族の王ギルガメシュだった。
ギルガメシュは言った『この場で調印しても後の世で反故にする者、又は反故にさせようとする者が現れだろう。よって監視者を置こうこの世がいつまでも平和であり続ける為に』当時の王達は互いにその意見に賛同しどうすれば良いかを話し合った。
その話し合いでは様々な意見が出たが、最終的に決まったのは互いの国に一つの独立権力を作る事だった。一つの集団であり全世界に根付き裏から監視する者。どの権力からも影響を受ける事がなく、種族の王の権力でさえ及ぶことのない集団。『ギルド』の誕生である。」
アングさんはそこまでを一気に話し終えると一息つくように大きな声を上げた。
「マーサ!マーサ!」
「は~い、ただいま~」
マーサと呼ばれた女の人はドタドタと走って来ると、
「お呼びですか~?」
と、ノックをすることもなく急にガチャッとエプロンを付け、よく太った幼顔のおばさんが入ってきた。
「マーサ、ドアから入る時は必ずノック。いつも言っているだろう?」
「ああ、すいませんねぇ」
朗らかな性格なのだろう、悪びれもしないその姿で嫌な気分になる事はなかった。
「ちょっと話が長くなりそうなので、お茶を用意してくれる?」
「分かりましたぁ~」
と言うと、マーサはまたドタドタと走って行ってしまった。
「失礼な事で申し訳ないね」
「いえ、なんか楽しい人ですね」
「ああ、ありがとう。そう言って貰えると助かるよ」
「それでは、続きを聞こうか」
急に耳元で声がすると、いつの間にか紐から抜け出した先生がいつものように杖を地面に両手で突いている姿勢でうんうん頷いていた。それにも吃驚はしたがそれはまた後にしよう。
「アングさん続きをお願いします」
「それでは、ここからはギルドの話しになるんだが・・・誕生したギルドは王の取り決めで、初代からずっと続いているのが、ギルドのトップは各種族から選出された一人ずつ計7人のトップから成る評議会が最高権力者になるんだよ。俺は下っ端の下っ端だけどね」
と、はははと笑うアングさんその様子に不満があるようにも見えなかった。
「そしてここからが核心だ。今現在、この世界は8大権力によって成り立っている各種族とギルド。細かく言えば色々とあるのはあるんだけど、それはおいおいと言う事で分かりにくいんで大まかに。
ギルドが誕生してからはその監視者としての性質からか細かい紛争はあれど、大きな戦争が起こった事はほぼないんだ。だがその権力間の中とパワーバランスに差が出来始めている。いや、各国が隠蔽しているからもうすでに出来ていると言うべきかな?それはなんだと思う?」
今回も読んで頂きありがとうございました!




