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前略、回想と寸劇と

「そんな大事なことなら最初に言ってよ!!!」


 いや!結構本気で!聞かなかったあたしが悪いの!?でも魔術師なんだよね!?


「魔術師(になる予定)ですよー」


「予定かい!」


 漫才してる場合じゃないのに!だったらあたしも魔術師(かも)を名乗るよ!

 やるせない気持ちを刃に……斬れないんだよなぁ……

 いや、もう刃でいいや。刃にのせ、トカゲを蹴散らす!装備変更!装備変更!!装備変更!!!


「適正なし同士、頑張ろうか!」


「了解ですー」


 元気がでてきた、この調子でいこう。

 

「これで!最後!」


 大剣の大振りで目に見える最後のトカゲを倒し、一息。


「えっと……ポムポム。魔術使えないの?」


 戦闘中は勢いで流してしまったが、結構重大な事だと思う。


「そうなんですー、ポムポムは魔術使えませんー。セツナより適正がないんですー」


 いつもどうりの感情を感じさせない声で、ポムポムは言う、魔術が使えないと。


「それでもー、魔術師になりたかったんですー」


 短い付き合いだけど珍しいと思う。ポムポムが自分の事を語るなんて。


「だからこの学園に来てー、いっぱい勉強したんですー」


 だからあんなに魔術に詳しかったのか。

 でも……それでもポムポムは魔力があっても魔術が使えない。どれだけ努力しても、未だに使えないと言う。

 

 そんなポムポムの前で、あたしは自分の適正に散々騒いでしまった。

 ポムポムからしたらあまり気分のいいものじゃないだろう。


「気にしてませんよー、ポムポムは諦めませんからー」


 頑張って、そう言えなかった。

 分からないのだ、強がりなのか、本心なのか。


「絶対に諦めませんー。諦めなければー、いつか叶いますからー」


 ポムポムは続ける、いい言葉だ。

 諦めなければいつか叶う、ありきたりだけど、真実だ。

 だって……


「誰かが言ってましたー、明日は前にしかないんですよー」


「そうだね、いい言葉だ。あたしもそう思うよ」


 あたしの言葉じゃないけどいい言葉だ。

 先輩。恥ずかしいセリフだけど、気に入ってくれる人がいますよ。異世界にも。


「もう言っちゃいますけどー、ラルムから聞きましたー」


 やっぱりか、確かに遺跡でも言った気がする。

 

「つい一ヶ月くらい前ですかねー。学園に帰ってきたラルムと友達になりましてー、言われたんですよー」

 

 いそいそと動くポムポム、まさか再現するつもり?


『ラルムはー、普通に魔術をつかえるからー、ポムポムの気持ちなんて分からないんですー』


『そうですね、僕にはポムポムさんの気持ちは分かりません。ですが諦めなければ叶います、絶対に』


『無責任な言葉ですねー、何を根拠にー』


『根拠なんてありません。ですが、僕の目指す主人公が言っていました。明日は前にしかないと、とてもいい言葉です』


『バカみたいな言葉ですねー』


 一人二役の寸劇を終えて、あたしを見るポムポム。

 全てポムポム一人で演じてるので、なんというか感情を感じられなかったけど。 


「でもー、なんだか気にいったのでー。ポムポムは頑張りますー」


 その言葉が誰かを変えたなら、きっと先輩も本望だろう。

 それにしても、ラルム君がそんな事を…… 

 帰ってきた時は、別れ際と同じように前向きな人間だったみたいだね。

 

 敵に回ってしまった、かつての友達を思っているとポムポムが次の寸劇を始めた。


『魔力はあるけど適正がない……でしたら殴りましょう。杖に魔力を込めて、石像を砕けるくらい』


『石像ー?まぁ何でもいいですよー』


『技の名前は……そうですね。あの人みたいなネーミングで……『ポムストライク』これでいきましょう』


『…………え、ダサっ』


「あの野郎!」


 つまり彼の中では『セツナドライブ』はそのレベルの技名という事だ、倒す理由がまた一つ増えた。


「休憩は終わりですねー」


 ポムポムの声で振り返る。そうだね、どうやらお客様だ。


「久しぶり、元気だった?シトリー」


「………………」


 出来る限りフレンドリーに話しかける。

 露出過多のゴスロリは今日も無表情だった。

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