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前略、魔術師と腰抜けと

「じゃあポムポムは必殺技とかないの?叫ばないの?」


 あたしもこんな大人の対応ができるようになったんだなぁ。

 認めよう。『セツナドライブ』は好みが分かれる技名だと。

 必殺技は叫ぶものという前提条件のもとまずは優しく、和解から入ろう。


「まず叫ばないですー」


 ダメだ、ポムポムとは相容れない。

 見たことも聞いたこともないがリリアンも叫ぶ派のはず。つまり2対1だ残念だったね、ポムポム。


「必殺技はありますよー」


 ほう、なら聞かせてもらおうか、どうせ『ポムストライク』とかそのへんの……


「『ラグナロク』ですー」


「めっちゃかっけぇ!」


 ら、ラグナロク……?格好良すぎる!


「他にもあれですー『アポカリプス』とかー」


「凄い!ポムポム凄いよ!見てみたい!『アポカリプス』見てみたい!」


 次々と繰り出される技名、『ハルマゲドン』だと……!

 そんなのだされたらあたしの必殺技なんてダサすぎるじゃないか!


「今度見せてあげますよー」


「先生!先生と呼ばせて!いや、呼ばせて下さい!」


「許可しますー」


 わいわいと騒ぎならがら歩く。

 それにしてもおかしいな、魔術師の集団はこんなに遠かっただろうか?


「ちょっと待ってくださいねー」


 そう言って先生……ポムポムは何もない場所に、その身長よりも大きな杖を振り上げて。


「……ポムストライク」


 今なんて?小さくて聞き取れなかったけど、さっき考えたダサすぎる技名が聞こえた気が……

 そんなあたしの思考は、ガラスが割れるような音で遮られる。

 

「おはようございますー」


 次に飛び込んできたのは、間延びしたポムポムの挨拶と、何もなかった空間に突如としてあらわれた魔術師の集団だった。

 なんで隠れてたのかは分からないけど、ちょうどいいしここでお願いしてみよう。


「あのドラゴンを倒したいんです、協力してくれませんか?」


 前回は無視されてしまったけど、今回はポムポムのおかげで話をきいてくれそうだ。


「知ったことか!余所者が口をだすな!」


 おぉっと、予想外の反応だ。まさかこんなにも拒絶されるなんて。

 余所者……余所者ねぇ……なんか引っかかるな。

 いつも嫌なところで勘のいいあたしは、なんだか違和感を感じずにはいられない。


「ポムポム!お前はなぜそんな奴といるんだ!それにローブはどうした!お前もこの学園の生徒ならルールに従え!」


「あんなダサいの着るわけないですー」


 魔術師の怒号はやまない。

 あたしのお願いは余所者の一言で済ませて、次は仲間であるポムポムに文句を言い出した。

 いやまぁ、制服みたいなものだろうから着るべきだと思うんだけどさ。

 ダサい、それだけでバッサリと断るポムポムもなかなかのものだった。

 

「お前は外からきたくせに!なぜ従わない!?ラルム、あいつもそうだ!ここに捨てられていたのを育ててやったのに!外をみたいだのなんだの!」


 ラルム君はここで育ったのか……

 このままだとまた悪く言われてしまう、彼はまだやり直せるかもしれない。


「あたしはラルム君と……知り合いです。もしかしたら『召喚術』はまだ完全じゃないかもしれない、まだ取り返しがつくかもしれないんです!」


 友達とは……言えなかった。

 喉に何かが引っかかって口にだせなかった。

 それでも、まだ彼が完全に悪者になってしまったと思いたくなくて、そんな中途半端な気持ちで言葉は出た。


「当たり前だ!最初の魔法陣は完全に壊してやったんだからな!」


 ……今なんて言った?完全に壊した?

 落ち着け、落ち着け、怒るなあたし。気にはなるが、ここがあまり良い環境じゃないのは分かっていた。


「ラルムを擁護する気はないですけど、お前らにラルムを悪く言う権利はないとおもいますよ」


 ポムポムの声が聞こえた。いつものあまり感情を感じさない声だったけど、間延びしない真剣な言葉で。


「行きましょう、セツナ。ここには腰抜けの卑怯者しかいませんのでー」


 返す間もなくポムポムは歩いていく。そうだね、ここで何もしない人間にはなりたくない。

 頼もしく、格好よく感じたその背中を追うことにした。

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