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前略、心と答えと

「……分かりました、続けましょう」


 怖いけど、逃げ出したいけど。きっとここでやめたら明日のあたしが後悔する。

 ここで自分と向き合わなかったらいつまでも逃げるだろう、自分の不安定さから。

 

「いつもの色ですね、安心しました」


 よかったあたしらしいみたい。うん、今は怖いけど立ち向かえる。


「揺らぎはここに来て強く、大きくなりました。あの人を見てから」


 あの人……ラルム君か。確かにあそこまで怒りを感じたのは……感じたかな?


「そうです、あなたは怒りを感じていました。それと同時に、学園が燃えた事をそれほど重要視していなかった」


 そうだ、ただただラルム君に苛立った、周りに目を向けず殴りたかった。


「その後、また戦いを楽しんでいました、そこに怒りはなかった」


 そうだ、楽しかった。リリアンとの共闘は楽しかった、他の事は忘れていた。

 

「私とシトリーさんの戦いに見入っていました。穏やかに、何かを懐かしむように」


 そうだ、穏やかだった。先輩とリリアンを重ねて詩人のような気持ちだった。


「そしてあの人に話しかけられた時、静かに憤り、すぐに元の色になって自分を語り、また憤り。いつものあなたなら、ぶん殴る、引きずり下ろす、そんな強い言葉を本気で人にむけますか?」


 そうだ、あたしはそんなものを目指していない。


「天使と話している時は楽しげで、希望を持っていて。他の魔術師たちには、不十分な判断で短絡的な行動にでようとしてました」


 そうだ、確証なく魔術師たちが悪いと思っていた。リリアンが止めてくれなかったら、本当に殴りかかっていたかもしれない。


「そしてポムポムさんと仲良くなり、ここまでは安定してます。ですが、ここで起きた事をそれほど大事に考えてない、友達と話すことが優先されてました」


 そうだ、こんな時だから明るく、とは言っても遊び過ぎではないか?


「私はどちらかといえばそれがあなただと思います。どんな状況でも前向きに、周りを明るく。でもそんな人間が、あんな深い憤りを瞬間的に抱くのかが分かりません」


 そうだ……


「心がブレている、いえ、人格がブレているように」


 続く、続いてしまう。耳を塞ぎたくなるような話が、知りたくない自分を知ってしまう。


「あなたが深い憤りを覚える時は、そもそも心の色が違います。いままで見たこともないくらい黒く、深く」


 黒か……黒は自分だけの色だと思う。灰色の中途半端さよりもたちが悪い。


「二面性どころではありません。楽しむ時、穏やかな詩人である時、元の色からここまで変化を持つ人を見たことがないです」


 言葉の一つ一つがあたしの矛盾を、不安定な心を指摘していく。

 あたしは何も返す事ができなかった。目を背けないだけで、逃げないだけで、何も。


「だから聞きたいんです。もしも原因が分かるなら私も手伝います」


 答えて下さい。短く、強い意志を感じさせて。


「あなたは、何なんですか?」


 再び向けられた質問。ただその質問に込めれた意味を知った今、その重さが違う。

 塞いでいた口を開く。自分が何か、今の答えを伝える為に。

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