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前略、失敗作といい関係と

「それで?何か弁明はあるかな?」


 できる限り、ジトー、という感じにリリアンを見る。

 心の中とはいえ、あたしの冒険はここから始まるのだ。なんて格好いいことを言ってしまった。

 つまり、あたしはもう魔術を使うワクワクでいっぱいだった。もう心は魔術師だった。


「…………」


 リリアンは……微妙な顔をしていた。

 えぇ……みたいな。ここ最近はなかなか感情、というか表情が豊かになったね。

 リリアンは無表情だけど無感情じゃない。出会った頃に比べればだけど。

 

 だが、えぇ……って顔をしたいのはあたしの方だ。

 魔術に適正がある。おそらくリリアンも聞いた話だけで言ったのだろう。

 これは珍しくあたしが優位に立つチャンスじゃないか?


「これは決まっていることです」


 キリッとした表情でリリアンの真似をしてみる。

 たまにはからかうのもいいだろう。


「あのー、2人がどれくらいの関係かはわかりませんがー、そろそろよしたほうがー」


 いやいや、こんなチャンスは滅多にない。ここで終わってしまうのは惜しい。

 それにあたしたちの関係は良好だ、これくらいは許されるはず。


「それに「黙りなさい失敗作の転生者」


「………………」


 今なんて?すごく酷いことを言われた気がする。理解が追いつかない。

 ちょっとだけ、もうちょっとだけ調子に乗りたかった。

 そんなあたしの思惑は、今まで聞いたことのない表現で切り捨てられた。


「あちゃー」


 ポムポムは額に手を当てて、あちゃー、なポーズをとっている。

 多分、おそらく、なんとなく、確証はないけど。あたしは調子に乗りすぎた。


「あの……失敗?」


 マズい、気が動転している、うまく言葉がでない。

 それも仕方ない、圧がすごい、足が震える。

 初めてあった時のような威圧感、ただし、今の方が感情を強く感じる、つまり。

 めっちゃ怖い、こんなところで豊かになった表情が弊害になるなんて。


「聞こえなかったんですか、失敗作の転生者、と言ったんです」


 すごい表現だ。あたしが初めてではないだろうか、失敗作の転生者。


「私は嘘を言いません。異世界から来たあなたに適正がないなら、あなたが他の人より劣っているだけじゃないですか」


 厳しい厳しい、そろそろ許してほしい。

 

「そんなのいつもの事でしょう、それをうじうじと、そろそろ怒り……ねじ切りますよ」


「もう怒……ってねじ切り!?」


 なんで!?怒るでいいじゃん!なんか前にもこんな事に言ったよ!


「あなたの技術、技能、才能が劣っているのは紛れもない事実です。なら自分にできる事を探して頑張って下さい、いつものように」


 ……最近のあたしはリリアンに励まされすぎではないだろうか。

 リリアンは厳しい言葉を使って、いくらでも道はあると伝えてくれた。多分だけど。

 そんな言葉を受けて、あたしは。


「ごめんね、今回は活躍できると思ったんだ。役に立てると思ったんだ、だからそれができなくて騒いじゃったよ」


 ごめんね、もう1度謝る。

 全く、あたしがまだまだなのは今に始まったことじゃないのに。


「分かればいいんです」


「いい関係ですねー」


 満足げなリリアンとちょっと楽しそうなポムポム、あたしもつられて笑う。


「そう!諦めず前向きなのがあたしのいいところ、ダメならダメなりに頑張ろうか!」


 そうあろうと決めたのに。すぐブレてしまうのは、やっぱりあたしはまだまだということなのだろう。


「はい、そんなところが……」


 満足げな表情のまま何かを言いかけて。そんなところが……?


「嫌いじゃないです」


 ほっ、胸を撫で下ろす。実際に手を当ててゆっくり下ろす。


「いい関係ですねー」


 いつもは感情を感じさせないが、ポムポムのニヤニヤとした表情と、リリアンのこれまた微妙な表情がなんだか新鮮な気持ちになった。


 さて!それじゃどうしようか!

 長かった魔術のくだりも終え、本当の意味で対策を話し合うことにした。

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