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前略、嵐と勝利と

 剣撃がやまない、あたしは振るう。刃のない剣を。

 鉄拳はやまない、アニキさんの信念と正義の拳は。


「なんだか、楽しいですね!」


 押されてる、前と同じく、でも振るう。

 諦めない、前とは違う、だから振るう。


「私は真剣なんだが」


 あたしもです!打つ、受ける、躱す。そんなキレイな流れじゃない。

 打つ打つ打つ打つ打つ打つ打つ打つ打つ打つ。

 お互いに止まらない、止まれない。押されてる分は、装備変更で補う。

 

 【ウエポンチェンジ2】に変わってから持ち替えがさらに早くなった気がする。

 もとからまばたきよりも早かったけど、それよりも

 それで硬直を消せる身としてはありがたい、これなら本当はまだまだ弱くても戦える!


 少しづつアニキさんの拳はあたしを捉え始める。

 少しづつあたしの剣はアニキさんに届き始める。


 お互いに知ってる、それぞれの必殺を


 アニキさんはあたしに距離をとらせない。

 あたしだってアニキさんに構えさせない。


 斬る、その懐に一太刀入れる、何食わぬ顔。

 打つ、それを受けた剣が軋み、ひびが入る。


 蹴る、大剣に持ち替えてキッチリ受ける、笑う。

 突く、スキが見えたのでカウンター、驚かせる。


 笑う、笑う、傷つきながら、わかり合いながら。


「やってくれる……せっかくの下ろし立てが台無しだ」


「やってくれましたね、せっかく直してもらったのに」


 というか、あたしは武器を交換しながら戦っているけど、ずっと打ち合ってるアニキさんの拳はいったいなんなんだ。


「そろそろ終わらそう、まだこいつは破られてない」


「そろそろ終わらしましょう、今からそれを破って」


 たしか『百八神拳』とか言ってたっけ?前回は8発目くらいで意識が飛んだけど今度は捌く!

 ……結構ダサくない?『百八神拳』


 武器は両手剣にする。最初が肝心。


「『百八神拳』」


「そんじゃあいっちょいきますかー!」


 繰り出される右の拳。対応する両手剣。

 繰り出される左の拳。対応する双剣の左。

 右!左!右!左!右!右!左!右!左!右!左!右!左!右!左!右!左!右!左!右!左!右!


 加速する百八の拳。加速するあたしの剣。

 耐える!耐える!耐える!打つ!打つ!打つ!

 考えるな、考えろ、感じるな、感じろ、見るな、見ろ、動くな、動け、諦めるな!諦めるな!

 頭の中はめちゃくちゃで心臓もバクバクだ。

 

「でも、それでいい!それが心地いい!」


 まだ!速く!速く!速く!速く!速く!速く!

 あぁ、最初にこの技に破れた時とはまるで違う、心が!感覚が!本能が!

 あたしの背中を押す。ここで下がるなって。


 身体が、技術が、スキルが、あたしを支える。

 真正面から勝ち取れと!!!


 しばらく……といっても数十秒間その流れに身を任せる。

 意識が完全に戻った時は、108番目の拳をあたしの剣が弾いた瞬間だった。 

 

「なん……だと……」


 そのセリフもお決まりだ。一瞬、アニキさんの動きが止まる。


「もう終わりですか」

 

 耐えた、捌いた、弾いた。

 さぁ、ここからはあたしの時間だ。


「あたしはまだまだ止まらないぞ!!!」


 メインは双剣。苦手意識はあるけど1度の装備変更で2本持てるのは偉い。

 振る、変える、振る、変える、振る、変える

 反応は許さない、反応しても叩き潰す!


 右!左!突!左!打!右!突!左!右!左!右!左!右!突!右!打!左!右!斬!斬!左!打!右!左!右!左!斬!突!左!左!左!斬!左!右!打!打!左!右!右!左!右!斬!右!左!右!打!左!右!左!右!突!右!左!斬!右!左!右!斬!左!右!右!左!打!右!打!右!右!斬!右!左!右!左!突!右!左!右!左!


 止まらない止まらない止まらない!

 アニキさんの拳を受け続けた剣が軋み、ひびが入り、亀裂が走る。

 それでもこの嵐を止めたくない!!!


 何度目か、何十回目か、何百回目か、双剣はもう折れた片手剣と何かの柄、両手剣は根本から折れ、片手剣にもひびが入ってる。

 あたしの時間もそろそろ終わりだ。


「とどめ……です!」


 もうあたしもボロボロだ、そろそろ終わらせよう。

 装備変更、亀裂の入った大剣へ。ここ1番の大振りで!!!


 倒した!……と思ったんだけど……


「し、しぶとい!」


 あたしの全力を受けてなお、アニキさんは立っていた。

 まるで諦めない主人公のように。


「まだ、私は……!」


 とんでもない執念だ、あたしも他の人からみたらこんな感じなのかな?

 でも……!


「今回はあたしの勝ちです!」


 ボロボロのスーツの首を掴む!実は得意技なんだよね!


「頭突き!!!」


 ゆっくりと、アニキさんの身体が倒れる。

 この場に立っているのはあたし1人だけ。泥臭くとも、誰の目からみてもあたしの勝利だった。

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