えんきょりこいごころ
超短編です。
いつだってこいごころは何光年もえんきょりだ。
あなたはいつも輝いていて素敵だ。
わたしは自分では輝けない。あなたがいないと、わたしはじぶんの存在をまわりに示せない。
こんなに焦がれているけれど、あなたのこころはえんきょりだ。
あなたはいつもやさしくて素敵だ。
さみしい夜もあなたがいてくれると、こころが満たされていくような、こころが洗われるような、そんなきもちになるんだ。
こんなに焦がれているけれど、あなたのこころはえんきょりだ。
つきはたいようにこいをしている。
たいようがいてくれるから、つきはその光を手にし、みなをやさしく照らすことが出来る。
たいようには敵わないなぁ。いつもそう思っている。
たいようはみずから輝いて、すべてのいのちに貢献している。植物たちにも動物たちにもたいようの存在は必須だろう。それが、羨ましかったし、すごいなぁとも思っていた。ずっとたいようをみていて、気づけばつきはたいようにこいをしていた。
ほしはつきにこいをしている。
そっとそばに寄り添ってくれるつき。いつだってじぶんもいていいんだと思わせてくれるのはつきで、ひっそりと輝くじぶんをやわらかい光で照らしてくれる。いろんな顔を見せてくれるのも魅力だ。三日月、半月、満月、新月。やさしいのに、くるくると変わる表情もすきで、ほしはつきにこいをしていた。
けれど、交わることは決してない。
こいごころはあまりにもえんきょりすぎて、伝わることもない。でもそれでもいいと思う。
伝わらなくても、その姿を見れるだけで。
伝えられなくても、あなたの魅力はじぶんが知っているから。
あなたが輝くなら、それに越したことはなにもない。
その光に救われるのは、癒されるのは、じぶんだけではない。
こいごころはえんきょりだ。
言えない想いは、秘めてこころに。
あなたを想う瞬間がわたしは幸せだ。
これからもずっと。
あなたが幸せに輝いてくれますように。
ご覧いただき、ありがとうございました。