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第41部

 フォローレンス学院からほど遠くない所に聖乙女教会という女子修道院と教会の経営する学園がある


 きょうは聖乙女教会学園のチャリティ文化祭の日である。

 のぶ美の公立小学校時代の同級生だった親友の村上早苗がここの中学部1年に通っているので、のぶ美はジュノと遊びに来た。

 ここのチャリティ文化祭では模擬店で色々のスイーツが売られている。それがすべて安くて美味しい。

 のぶ美はそれが楽しみでたまらない。


 この学校は聖乙女女子修道院が経営する女子校であるが、小学校と幼稚園は共学である。


 じつは藤堂君はここの小学校卒業であるーー藤堂もルームメイトの村上とこの文化祭にやってきていたーー

 聖乙女教会学園の小学校は男子は1割に満たないが、彼はここで悪ガキ大将で、数少ない男子を全員自分の舎弟にしていた。藤堂君の存在は、この清らかな学園の暗黒史の一つとなっているほどに彼はここで悪ガキだった。

 しかしなぜか、修道院長はじめここのシスターたちに藤堂君は絶大な人気がある。

 口の悪い副修道院長が180センチ以上になった藤堂君をジロジロ見て一人で苦笑しているーー「悲報! シスターたちのアイドルの美天使がおっさんになって再来訪ね」ーー

 藤堂「え? なんですか 副修道院長先生?」


 副修道院長「なんでもないわ♪ うふふ」


 のぶ美はここでここの女子寮に住んでいる村上早苗と待ち合わせをしていたのだが、彼女は一向に現れない。たしかに、2週間前に電話して約束したのだが。

 携帯電話を入れても、メールを入れても返事がない。電源が切られている。

 約束の時間を過ぎても彼女が現れないので、待ち合わせ場所が見える模擬店でジュノと一緒にスイーツを食べ始めていた。

 なんとそこで藤堂君の姿を見かけた。ルームメイトの村上悟と一緒である。

 のぶ美は食べてるバナナチョコクレープを右手にブルベーリレアチーズクレープを左手に持ちながらジュノと後を追った。


 藤堂君は修道院長と話し中だった。修道院長は年配の女性で上品な方である。少し太めではあるがふくよかで優しそうな方だ。

 どこかへ行くようなので、のぶ美とジュノも修道院長と藤堂と村上の後を追って行った。

 校舎の裏方の女子寮に行き、中へ入り、村上早苗、と名札ある部屋の前で止まった。



 修道院長が部屋の前で言った「お兄さんと卒業生の藤堂君も来てくださったのにね、出てきて事情を話してくれませんか?」しかし部屋の中から返事は無かった。村上早苗は寮の部屋の中にいるようだ。事情はわからないが。


 そのとき、藤堂も、のぶ美とジュノに気が付いた。

「お前ら、来てたのか」「ここへ来るってメール、今朝送っといたよ」「あ、まだ見てない、すまん」

 のぶ美は部屋の中の村上早苗に話しかけた。


「早苗ちゃん、のぶ美だよ。きょうは呼んでくれてありがとう。待ち合わせの校舎正門前で待ってたんだけど、どうして来てくれなかったの?」

 部屋の中から泣き声がするが、返事はない。ただならぬ状況だ。


「村上早苗さんは2日前からこの状態なのです。私共も、お尋ねしても、お返事もなさらないのです」

「早苗、お兄ちゃんに顔見せてくれないか?」「お兄ちゃんだけ入って」少し、部屋のドアの隙間が空いた。


 村上が中に入るとドアは閉められた。


 少しして村上が部屋から出てきた。すぐにドアにはがちゃり!と鍵が中からかけられた。


 修道院長が言った「何か、あの子は問題を抱えているのでしょうか?」「そのようですが、何も話してくれませんでした。そっとしておいてほしいそうです」「そうですか、仕方ないです」というと修道院長はすごすごと女子寮を出て行った。


 のぶ美はクレープを食べ終えて、チョコ苺たこやきをフウフウ言いながら食べている。



 聖乙女教会学園の裏の小さな公園で、村上は事情を話始めた。


「……かくかくしかじかなんだ……」


「初めっからジュノに頼めばよかったな」と藤堂君がヤレヤレという顔で言った。


 と、いきなり、のぶ美の爪楊枝に刺した最後のチョコ苺たこ焼きを藤堂君がパクッ!と食べてしまった。

「あちっ! うめ~♪」「ひどいわっ!」のぶ美は藤堂君にデコピンをかました。藤堂君ものぶ美にデコピンを返した。

 なんとなく楽しいじゃれあい♪ーー私、藤堂君と付き合ってるんだな、と思うーー(#^^#)♪


「……へえ、藤堂君、そこまでしたんですか?」とジュノ

「……仕方ないだろ」

「……それにしてもひどいやつですね」とジュノ

「……早苗ちゃん、そんな問題かかえてたのか。ひどいわ。ジュノ解決してあげてね」とのぶ美

「のぶ美の親友なら、頼まれたら、もちろん」

 ジュノは村上悟の依頼を引き受けた

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