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第39部

 藤堂君は自分がすごく呼吸し辛いのに気が付いた。


 ーーコォーコォーコォーとまるでダースベーダーの様な呼吸音が不自然に藤堂君の耳に響く


 木のテーブルの上に置かれた蝋燭の光に照らされて


 自分の身体が異様な状態なのに気がついた


 身体はまったく動かせない、手も足も動かない、瞬きだけが出来るだけだ。


 呼吸がようやく出来る恐ろしい圧迫感、なんだろう?これは?


 よく見ると藤堂君は下半身が半裸にされ、あの巨体の神父がなにやらよからぬことをしようとしていた。


 神父の顔は、優しそうな顔が一変し、まるでゾンビのような形相である。


「やあ、気がつきましたか? 女性たちには睡眠薬を大量に食物に混ぜておきました。あなたの食事には筋弛緩剤しびれぐすりをいれておいたのですよ。うっふっふっふ」

 神父はぞっとする笑いを浮かべる


「動けないでしょう。量を間違えれば呼吸も止まってしまうような薬ですからねえ。まあ、私と愛の行為が済めば別にあなたの呼吸が止まっても良いのですけどね」


 神父はククール教の神父の正装をして、ガウンを身に纏い黄金の創造女神の顔のついた数珠を首から下げていた。


「私があなたをめくるめく愛の世界へいざなってあげましょう」


 藤堂君は薬の効き目で声も出せなかった。身体も動かない、呼吸するのがやっとであった。


 ーーなにするつもりだ?--


 ……神父はじゅるっ!と舌なめずりをした……


 神父は藤堂君の身体を愛撫している。これほど ゾッ!とする体験を藤堂君はしたことがない。

 さすがにやんちゃな悪ガキの藤堂君も恐怖に怯えた眼をした。


 身体は筋弛緩薬しびれぐすりを盛られたせいで全く動かせない


「眼が恐怖に怯えていますね、良いですね。うふふふ」


 蝋燭の明かりの下で、神父は次に、ゾンビの様な顔で舌なめずりしながら『行為』に移ろうとしているーー万事休す!ーー



 そのとき、寝相の悪いのぶ美が ぐるんと身体を回した。眠っているジュノの顔の位置に足が来た。

 足でまともにガン!とジュノの顔を蹴った!


「ひどいな、のぶ美は!」とジュノは起き上がった。「うん?」ジュノはあたりを見回して、今しも藤堂に行為に及ばんとする神父に気づいた。


「藤堂君の具合でも悪いんですか? 神父さま」とジュノは起き上がり二人に近づいた。


「私の神聖な愛の儀式を邪魔をするな。雌豚めがっ!」「え?」



 ジュノは状況が良く呑み込めないようだが、神父は、やにわに、横に置いていた手斧を取り出すといきなりジュノの頭めがけて打ち下ろした。


 筋肉隆々の右腕でーー「ザクッ!!」不気味な音と共に

 研ぎ澄まされた輝く手斧はジュノの頭半分までめり込みジュノの頭を切り裂いた。


 立ち所にジュノの身体を構成するナノ機械がジュノの頭を修復し、傷はたちまち元通りになった

「ひどいな」とジュノは言うと、神父の斧を取り上げて、右手でバシッ!と神父の身体を払いのけた。

 神父の2メートルを超える筋肉隆々の巨体は消し飛んで、木の壁をぶち抜き、隣の倉庫の石の壁にぶちあたり、石の壁が少し崩れて止まった。神父は倉庫の崩れたガラクタにうずもれてしまった。


「げふっ!」神父は口から血を流しながら、横にあった鋼鉄のレンチを右手で握ると、

「この雌豚めがーー!!」と叫びながら、ジュノに向かって渾身の力で殴り掛かった。

 ジュノは神父の振り下ろしたレンチを左手でひょいと掴むと、右手で、神父の腹筋に強烈な一打を入れた。

 神父の身体は吹き飛んで、また木の壁を壊し、隣の倉庫の石の壁をガラガラ崩した。

 ジュノは藤堂君に声をかけた「藤堂君、だいじょうぶですか?」

 藤堂君は薬を盛られているので動くことも声を出すこともできない。

 呼吸するのがやっとの状態だ。

 ただ眼だけが動いて、ジュノの後ろから鋼鉄のレンチを両手で握りしめ

 殴り掛かる神父の姿を恐怖の眼でジュノに知らせた。

 藤堂君の眼に映った神父の姿を見て

 ジュノは後ろも見ずにヒョイと神父のレンチを左手で掴むと、くるりと向き直り、

「お世話になって、とても良い人だと思ってたのに」と言うと、

 左手で神父が両手で掴んだレンチを取り上げ、右手で神父の腹筋を一発殴った。

 神父はまた弾き飛ばされて、木の壁をぶち抜き、倉庫の石の壁にゴツンとまともにぶつかり、石の壁がまたガラガラと崩れた。

 神父はゴボッ!と口から血の塊を吐いたが、眼は憎悪で怒り狂っている。

 あばら骨は数本は折れているだろうが攻撃を止めない。

 神父は今度は倉庫にあった巨大な鉄の金敷を持ち上げて、それを持って、どすんどすんと歩いてくるとジュノの頭めがけて打ち下ろした

 が、ジュノは既に神父の後ろに回って、その鉄の金敷をジャンプして左足で一撃した。

 鉄の金敷は神父の頭の上で真っ二つに割れてしまった。

「この怪力雌豚めっ!」

 神父はあらゆる呪詛の言葉をジュノに向かって吐きながら、鉄パイプを握りしめジュノに向かって幾度も振り下ろしたが、ジュノは自分の頭の上にカーボンナノチューブのバリヤーを張っていた。

 神父が激怒して幾度も幾度も鉄パイプで渾身の力で殴ったがジュノはケロリとしている。

「藤堂君の様子を見てあげたいので、これ以上あなたにかまうつもりはないですよ」そういうと、ジュノは「これ以上私があなたを殴ると、あなたは死んでしまいますしね」

 と言うと、神父の身体をカーボンナノチューブの球体で覆った。

 神父はその球体の中から手も足も出なくなった。

 神父はゾンビの形相で、カーボンナノチューブの球体の中から、あらゆる呪詛の言葉をジュノに向けて吐いている。

 ジュノは神父に向かって半球形のドームを作り神父の巨体を覆った。

 ジュノは時間を逆転させた。

 神父の身体は瞬く間に子供になり、赤ん坊になってしまった。

 ジュノは赤ん坊になった神父をそっと抱き上げると、自分の毛布を持ってきてそれで包むと、

 神父の部屋へつれて行き、神父のベッドの上に座らせた。

 赤ん坊は「オギャー」と言うと、そのままスヤスヤ眠ってしまった。


 ジュノは藤堂君の様子を見に行ったが、

 なんと筋弛緩薬しびれぐすりを盛られた藤堂君の呼吸は止まっていた。

 眼がまだ動いている。

 藤堂君はまだ生きている。

 ジュノは急いで、マウスツーマウスの強制呼吸補助を藤堂君にした。

 藤堂君が自分で呼吸をできるようになるまで、ジュノはマウスツーマウスで藤堂君の呼吸を助けた。

 なんと藤堂君がジュノに向かって、まぶたをパチパチさせてモールス信号で自分の意思を伝えてきた。

(藤堂君は子供の頃、姉に日記を読まれて困り、面白半分にモールス信号を一通り暗記し、姉に読まれない自分の秘密の日記を書いていた)


 以下、藤堂君のモールス信号

 ーーああ死にそうだ こうすれば僕は元気になる 17歳の巨乳で人工呼吸 さもないと死ぬーー

 ジュノは、藤堂君にマウスツーマウスで人工呼吸をしながら、自分の変身能力で、17歳の姿になった。

 極上の美少女で巨乳である。ジュノの着ている服からオッパイとおピップははち切れんばかり。

 藤堂君の眼がニンマリ。



 そのとき、との子が眼を開けた。

 眼の前に、蝋燭の明かりに照らされて。部屋の真ん中の古ぼけた長椅子で、いとこの藤堂が長椅子に寝そべり、下半身裸の丸出しで、巨乳の超美少女にディープキスされている光景があった。


 ーーーー嗚呼ああ、わたくしとしたことが、こんな淫夢見るなんてーーーー



 との子は寝がえりをうつと、そのまま毛布をかぶり直し、寝なおした。


 明け方近く、藤堂は声がでて、身体が動くようになった。

「もういいですね」とジュノはマウスツーマウスの人工呼吸を止めたが、「こんなに長時間、人工呼吸って必要なんですかね?」と藤堂に聞いたが、藤堂はニヤニヤしているだけだった。


 ジュノはすぐに元の12歳の少女の姿に戻った。


 朝 清々しくのぶ美は目覚めた。との子も目覚めたがよく眠れなかったようだ

 朝になってとの子はすぐに自分の携帯電話で、ラビットハニーの現地スタッフに連絡を取った。現地スタップのお偉いさんが、すぐに車を飛ばして迎えに来てくれた。


「神父さま、いらっしゃらないわね。お礼を言いたかったのに」との子はぼやいたが、神父は教会のどこを探してもいなかった。なぜか赤ん坊が神父のベッドにいたので、現地スタッフのお偉いさんは、赤ちゃんを警察に届けることにした。



 のぶ美、ジュノ、藤堂、との子の四人のラプランド共和国の首都プッチーニでの観光旅行は終わった。

 との子のラビットハ二-の1号店は大盛況である





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