第3部 挿絵あり
挿絵はセーラー服のジュノ
大山のぶ美のクラスに長い間休学していた女子がひとり今日から登校するという。
彼女は、在学していた小学校でひどいいじめを煽っていたという黒い噂があって裏番の不良という噂だった。
クラスメートの話では彼女はこの学校の中学部女子部に春に入学したときから今日までアメリカに英語遊学して休学していたそうだ。
なんと彼女の家庭環境は、父親が投資家で有名な大富豪の欧井戸ファンド社長 欧井戸壮大、母親が有力な国会議員 欧井戸縫子だそうだ。
大山のぶ美が教室にはいると、クラスはいつもと雰囲気が違った。
教室の真ん中の空席だった席に座っている日本人形のような顔立ちの美少女がいた。
欧井戸との子、がその人だった。彼女の周囲に数人の女子がくすくす笑いながら、大山のぶ美の方をちらちら見ていた。
いっしょに登校したジュノが教室に入ってくると、欧井戸との子がジュノの横にすっと擦り寄った。
「すごくいいお家のお嬢様でいらっしゃるそうね、ジュノ・アレクサンドロスさん。わたくし是非あなたと親友になりたいわ」「ごめんなさい、親友ならもう、大山のぶ美さんがいるので無理だけど、お友達ならいいですよ」
ジュノは笑顔で欧井戸にそう答えた。
ジュノーは短期間の間に学校の人気者になってしまった。
美少女でだれにでも親切な明るい性格で、頭脳優秀でスポーツ万能だったので、
学校中の女子のあこがれの的になっていたのだった。
男子部の方の人気もすごくて、ジュノが女子部の校庭にいると、男子部の校舎の窓がジュノを一目見ようとする男子生徒でいっぱいになった。女子部と男子部の境目のフェンスも男子がいっぱいになった。
ジュノはそれほど人気者になってしまったのだが、いつも、のぶ美のかたわらに寄り添う親友だった。
欧井戸との子は、ジュノが大山のぶ美の親友であるのが露骨に気に入らない様子だった。
欧井戸との子の取り巻きの女の子が聞こえよがしに言った。
彼女はきのうまで大山のぶ美の仲良しの友人だった子だった。
「ジュノさんほどの美少女で頭脳優秀でスポーツ万能で学校中で人気者の女の子が大山のぶ美みたいな、さえない子と親友だなんて不釣り合いね。」
「大山のぶ美って、頭悪いし勉強できないし運動神経0だし瓶底眼鏡で団子っ鼻でそばかすだらけで、洗濯板胸でいつもおどおどしてて引っ込み思案で付き合いづらいわ」
と大きな声で言った。
ジュノは「わたしの大山のぶ美の好きなとこ全部言ってくれてありがとう。さすがはのぶ美のお友達ね」と大きな声で笑いながら笑顔でウィンクして言った。
欧井戸との子はどうしても、ジュノのことを諦めきれないようだ。
いきなりジュノに欧井戸との子からメールがきた。
「私と勝負して欲しいの。もし私が勝てば大山のぶ美なんか相手にしないで私と親友になって欲しいの」
というメールだった。
ジュノはそれに返事を送った「いいわ、あなたが勝てば私はあなただけの親友になってあげるわ。でも、私が勝てば大山のぶ美とあなたも仲良しの友人になってあげてほしいの」と送った。
欧井戸との子から「わかったわ」というメールの返事がきた。
約束の勝負の日は2週間後に学校で行われる運動能力測定会だった。
丸一日かけて中学部1年生男子部女子部の各個人個人の運動能力を測定する日である。
そのとき、欧井戸との子とジュノは記録で勝負する