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第27部

 藤堂と村上は自分たちが只ならぬ気配の場所にいることに気が付いた


「ここはどこだ?」「ここはどこなんですか?」藤堂と村上


「あなたの娘がたった一人で全世界の人類を相手に最終戦争ハルマゲドンをおっぱじめてるのよ」ととの子が皮肉たっぷりに藤堂に向かって言った。


「……?」ーー藤堂の頭にクエッションマークが出た。


「デスリーノはヤキが回ったんかよ」と藤堂。

 藤堂と村上はそれより、目の前にいるハピノ少尉の爆乳に目が釘付けだ。


「うおおおお! 生きてて良かったですっ!」と大感激の村上が絶叫。


 藤堂はいきなり視線がハピノ少尉に固定されそのまま鼻血を出している。


「チィッ!」との子は舌打ちをした。


「藤堂自然さんと大山のぶ美さんが揃ったことで、捕らえられなかった大山ぶの代さんの意識を捕らえられそうだぜっ。この画面に大山のぶ美さんと藤堂自然さんは手を置いてくれよ」

 ハピノ少尉はベルトを操作して強大なテレビスクリーンのコマンドを超空間の空中に出した。


「はあ、俺らは淫夢でも観てるんか?」藤堂


 のぶ美はおずおずとそのテレビ画面のコマンドに手を置いた。

 との子は藤堂の背中を乱暴にドン!と突き飛ばすと藤堂はテレビ画面に手を付いた。


「二人とも大山ぶの代という名前を頭に浮かべてほしいぜっ」とハピノ・ブラギアリア少尉は爆乳をぶるんぶるんゆすりながらテレビコマンドの操作板を操作している。


 藤堂と村上はそれを見て鼻血がつーと出っ放し。


 画面に6人の子供たちが映る。

 大山ぶの代とその五人の弟妹のようだ。

「おねえちゃん、ママいつ帰ってくるんだろう?」

「わかんないけどママを恨んじゃだめだよ」とぶの代らしい子供が笑顔で弟の頭を撫でながら言う。

 長女らしい大山ぶの代は「これが最後のラーメンだけど、みんなで食べようね」と笑顔で弟妹に言っている。

 寒々しい一間の安アパートの部屋に「ガスが止められてるからこれ」と携帯燃料のガスボンベに細々と火をつける。「ご近所から捨てる寸前のをもらったの」と笑顔でぶの代は言う。

 アルミの鍋にお湯が沸き、火が消えたが、子供たちはゴミ箱から割り箸をとりだして、てんでに鍋に箸をツッコみラーメンをすすっている。

 ぶの代は自分は食べようとしない。


「なんだよ、この画面?」と藤堂「ここの子たち何?」とのぶ美


「お二人のお子さんたちの様子だよ」とハピノ少尉の言葉


「バカバカしい。おれはまだ13歳だぜっ。子供なんているわけねえだろっ」


「これは24年後のあんたらの未来だよ。大山ぶの代の記憶だよ」


「ぐぇっ!」と藤堂自然は絶句して固まった。


 汚れたジーンズに汚れたTシャツを着た不潔そうな男が一人の女から

「これでおまえのパートの給料は全部かよ」

 とすその破れたスカートを履いた女から千円札の束を引っ手繰ると、そのまま目の前のバスに乗る。女が付いていこうとすると、

「このブス、うざいんだよ」と突き飛ばしてバスの入り口から車外へ突き落した。

 バスは「発車しますよー」と言い、ドアが閉まって発車して行った。女を突き飛ばした不潔そうな男は無精ひげを生やしているが美男で藤堂に似ている。ドアが閉まってバス停留所に取り残された女は、薄汚れたブラウスとすそのほつれたスカートを履いていてのぶ美にソックリである。


「俳優の顔を身近な人間にすり替えた自宅鑑賞用の有名恋愛映画の上映かよ?」藤堂


「これは実写だぜっ」と爆乳のハピノ少尉


「うそだろ?! おれがこんな落ちぶれた人生なわけねえだろっ。しかものぶ美のパートの給料をふんだくってる?」藤堂



 海辺に近い崩れかけたアパートの部屋で空っぽになったラーメンが入っていた汚れた古いアルミをかたづけながら、ぶの代らしい少女は笑顔で眠った小さな弟と妹たち五人に毛布をかけてやっている。

 そのままドアを開けて、外へでると、少女は砂浜を歩いていく。


 砂浜の打ち寄せる波に向かって少女はつぶやく。「ママ 早く帰ってきて」


「名作映画の一シーンですかね」と村上が横目でハピノ少尉を見ながら鼻血を出しながら言う。


 少女の前に海のほうから金色に輝くこぶし大の宝石が飛んできて空中に停止した。

 宝石は金色の輝きを放って少女の眼の高さに浮かんでいる。

 少女が金色の宝石に手を差し伸べると、金色の光がぴかっと光った。

 少女の声が聞こえる「お母さん帰ってこない。私一人だけ辛い。 世界死ね! 人類死ね!」


 輝きの中で少女の姿はそのまま空中の金色の石に飲まれていく。


 空中にどす黒い巨大な穴が開き、そこから黒い煙が立ち上り、あたりの空がだんだん真っ暗な雲に覆われていく。

 しばらく、地震のようにあたりが揺れたかと思うと、その巨大な真っ黒の穴から毒々しい色の怪物としか言えない化け物が大量に首をだし、その穴からあふれ始めた。

 どす黒い煙があたりを覆い、海岸のすべてを飲み尽くし、その穴から地の底から響くような呻き声を上げながら、巨大な怪獣が続々と現れ始めた。

 ヒドラ、ギガンテス、サイクロプス、他禍々しい化け物たちが毒を吐き、周りの世界を変容させ踏みつぶしていく。


「なんなのよ? ラーメン食べれないから 世界死ね! 地球死ね!だっての? 非論理的ね」ととの子が眼を光らせて言っ放った。


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