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第26部

「あのさ、あんたが必死で呼んでくれたらたすかるぜっ」とハピノ少尉はエロかっこよく言った。


「だれを呼ぶのよ」ととの子


「大山のぶ美、あなたのお子さんの大山ぶの代をだぜっ」


「あなたのお子さんて言われても、わたしまだ12歳で子供もなにもいないよ?」とのぶ美。


 ハピノ・ブラギアリア少尉は困った顔をして威勢よく「そんなこと言わないで、気合で呼んであげてくれっ。きっと通じるからなっ。おまえは彼女のお母さんなんだぜっ」


「ハピノ少尉、適切な指示をお願いします。のぶ美は具体的にどうすればいいのですか?」ジュノはハピノ少尉に聞いた。


「上司からの指示だと……あ。メモ書きの指示書のデーターがどっかいっちまった。さっき逃げる時爆風に飛ばされたせいだ。すまねえっ 命からがらあの現場から脱出したんだぜっ」


 批判屋のとの子は爆発寸前である。ハピノ少尉から目をそらしているがとの子の顔は怒りで真っ赤だ。

 との子は怒りモンスター化してきた。舌鋒鋭く、ハピノ少尉に「なぜわたくしをこんな危険な場所に連れてきたの?」と怒涛の口攻撃を開始した。


 ジュノもさすがにとの子の状態をヤバイと思いーーとの子が大山家の押し入れにいたというそもそもの原因をツッコんで不可抗力であると言ってのけたーーしかしとの子はモンスター化し始めているーー


 デイスリーノとあだ名されるとの子は、このハピノ少尉を吊るし上げて「根性叩き直してやる」と口からビッグ〇ンアタックを発射してハピノ少尉の爆乳の胸倉捕まえて心が折れるほど批判攻めにしかねない。


 ーーわたくしをこんな危険な場所へ召喚したことを土下座しなさいっ!!この爆乳女っ!!ーーとんでもない場所へいきなり召喚されて、いきなり行動指示書もない、ですって? なに?そのいいぐさはっ!--


 ーージュノはもともとこの出来事が歴史的に起きる事を知っている。

 そもそも、そのためにジュノははるかな未来から大山のぶ美のもとへ来たのだーー


(しかしハピノ少尉の行為はトラウマボールで大山のぶ美が藤堂自然との交際を望んで発生した『サービス現象』なのだ)


 ……

 爆乳のハピノ少尉がたった一人でまごついているようなので


 ジュノが仕切り始めた。


全王之宝玉プラシトゥムのデータはメガロコンピュータでかなり厳重な封印がされてましたが、たったいま解除しました……」ジュノは続けた


全王之宝玉プラストゥムは、宇宙の生成時にたまに産まれる超生命体プラシドゥスの生命エネルギーが結晶したもののようですね」電子頭脳にダウンロードしたデータを棒読みのジュノ


超生命体プラシドゥスって何?」とのぶ美


「意識を持たない生命エネルギーの塊で知的生命体の一種です。私のいる時代から一億年前に発見された超生命体の知的生命体ですね」


「へえ……とんでもない話ね。あなたそんな時代にいたの?」との子


 ハピノ少尉がはじめてキビキビとまともに説明した

「人間がその結晶体『全王之宝玉プラシトゥム』に触れると意識体として取り込まれることがあって、融合してしちまうそうで、融合しちまうと、憎悪の情緒だけで暴走するんだとよ」



「最重要機密としてメガロコンピュータのデーターで4重くらいに封印されてましたよ」


「のぶ美、大山ぶの代さんの意識に呼び掛けてください。どこの場所ででもかまいませんから。子供に話しかけるようにそっとでいいので、名前を心の中で呼んでそっと呼んであげてくださいーー愛してるよってーー」


「そんな無責任な。顔も見たことの無い自分の子供をもつという自覚もないのに、愛してるよ、なんて、そもそもそんな気持ちないよっ。私その人に対して」今度はのぶ美が涙目である。


 天から落ちてきた隕石の破砕流はあたり一帯を飲み込み、最後の抵抗を試みていた人類の最後の陣地も飲み込もうとしていた。


「ここはもう、危険です。カーボンナノチューブのバリヤー球体でもこれ以上みなさんを守り切れません」


 ジュノはハピノ少尉に言った。


「ここはもう、危険ですので超空間へ非難をおねがいします」


「よしきたっ」ハピノ少尉は自分のベルトをなにやら操作した。


 四人の周りの焦熱地獄の光景は消え超空間へいきなり転移した。


 超空間でのぶ美が泣き出した。「無理だよっ。会ったことも無い自分の子供だっていう人に、愛してるよ、なんて無責任なこと、そんな気持ちぜんぜんないのに! いったいどうしろというの?」のぶ美は感情が込み上げてきて泣きじゃくる。


 フェミニスト気味で批判屋の欧井戸との子が言った。「だいたい、なんでのぶ美一人がこんなに辛い思いをしなきゃならないの? 大山ぶの代の父親ってだれ? ハピノ少尉さん」


「藤堂自然て男だぜ」


「あいつかぁーー!!」との子の眼がキラリと光った。


「ねえねえ、ハピノ少尉さん、その藤堂自然もさ、ここへ召喚できない?」


「ああ、できるぜっ。よんじまうか?」


「お願いしますっ」ととの子。


「夏休みサッカー合宿だとか言ってたけど、今頃男子寮の自室でのうのうとルームメイトとサッカーゲームでもやってんじゃない?」ととの子が言った。


 ハピノ少尉は自分の爆乳越しにしばらく自分のベルトのバックルを操作していた。


 いきなり、超空間にいる四人の目の前に携帯電話でサッカーゲームに興じる藤堂とルームメイトの村上が現れた。

 藤堂と村上はゲームに夢中でいきなり自分たちが自室から、超空間に転移させられたことに気づかない。


 いきなり、との子が藤堂の耳をひっぱった。「ちょいとっ、このおバカ、いま自分がどこにいるか気づかないの?」


「うん?」と藤堂と村上は、顔を上げて周りを見回した。


「なんだ、ディスリーノのとの子じゃねえかっ」


「うるさいっ、このおバカ。周りを見回してご覧」


「お前のかーちゃん、この前会ったとき、おれのかーちゃんの姉貴の癖にぜんぜん小遣いくれねえんだぞっ。ケチ婆って俺が言ってたって言っとけ」


「うるさいっ、いまそんな状況じゃないのに気づかないの?」


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