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第21部

年月は過ぎ去り、のぶ美は十八歳になっていた。

きょうはフォローレンス学院高等部の卒業式のあとに学校の体育館で開かれる高校卒業ダンスパーティ。

卒業生財団主催のつまりは『舞踏会』ーーまあ男女卒業生全参加のディスコパーティだけどーー

卒業式があったのは昨日だが、ほぼ全員が楽しみにしている卒業式の次の日の恒例のイベントである。

大山のぶ美は、この日のために、美しいオカマのお姉さんを見つけると、後を追いかけ、自分のリスペクトを率直に伝えて、お化粧法をレクチャーしてもらい続けた。

その結果、のぶ美はそばかすが一杯だったお顔を、お肌の手入れを完璧に行い、そばかすを消すことに成功し、ツヤツヤのお肌を手に入れていた。完璧な自然観のあるファウンデーション。そして、付け睫毛にマスカラして、ノーズシャドウの入れ方も完璧で、滑りの艶の出るローズピンクの口紅をつけて・・・・・・瓶底眼鏡から→コンタクトレンズっ!

そこには完璧なお化粧をした十八歳の美少女が微笑んでいた。美人じゃない十人並みの一重瞼の、みぎわさんとそっくり、などと言われたのぶ美の顔はもうそこには無かった。醜いアヒルの子が白鳥になるようにのぶ美は変身した。

のぶ美の手ごわいピンピンの剛毛は、ストレートパーマをあてて超高価なリンスを使い、ふわっふわのさらさら髪に変身していた。サラリと梳き流した憧れのワンレンヘアにダイヤモンドのピアスをつけて、赤い薔薇をつけた真っ赤なカクテルドレスと金色のパンプス。157センチでやせっぱちのチッパイだけどブラジャーの中には乳パットを四つも入れて、上げ底巨乳っ!

ネイルアートも完璧に、のぶ美は十八歳の美少女っ!

フォローレンス学院高等部の体育館は、卒業生の毎年この行事を無償で請け負っている業者が、会場化粧を終えて、完璧なディスコ会場になり、体育館の天井からつるされた巨大なミラーボールがあたりを七色の眩しい光で包み、体育館は丸ごと巨大なステージーと化していた。

つぎつぎと着飾った卒業生たちが開催時間までにやって来ていた。周りのテーブルには軽食が用意され、ノンアルコールのビールや各種ジュース飲み物も卒業生財団の提供で飲み放題の食べ放題である。寿司職人のOBの人が片隅で無料寿司バーを出していて、これも大盛況っ!

今年は高校の在校生の生バンドのグループが背広やドレスでスタンバイして、すでに大音響で流行りの曲を演奏している。

これから三時間の卒業ダンスパーティの開催である。のぶ美は、大好きなパーフェクトPOPZの曲が演奏されているので、ノリノリで踊り始めた。みんなが、熱狂的に踊る、踊る、踊るっ!

踊っているのぶ美に誰かが声をかけた。なんとそれは、それはのぶ美の憧れの先輩の藤堂自然君だった。

「ほんとに大山のぶ美か? まるで幼虫が蝶になったみてえだな。あっはっはっは」

のぶ美は藤堂自然に話かけられて、真っ赤になった。

藤堂はのぶ美を上から下までジロジロ見ていたが、こう言った。「どうだ、俺とつきあわねえか?」

のぶ美は気軽に言った「うん、いいよ」

「じゃあ、いこうぜっ」


藤堂自然は大山のぶ美の手を引くと、ダンスパーティたけなわの学校体育館から連れ出して、学校から出て、タクシーを拾って大駅前に行った。そこでお洒落な、カウンターバーの店にずけずけと入って行った。そして、そこで、「お酒つきあえよ」と言った。大山のぶ美も「じゃあ、少しだけ」と返事した。

そこで「ジンカクテルのパピヨン・ピーコック二個たのむ」と注文した。すぐ届いたジンカクテルは美しい紫色で、お酒が初めてののぶ美はおそるそろる舐めてみたが、甘くて美味しかったので、すぐ飲み干した。

「いけるじゃないか」と藤堂自然はすぐのぶ美のお替わりを注文した。

藤堂君は暫くすると、のぶ美の肩を抱いて「いいだろ?」と言った。のぶ美もつい「うんっ」と答えた。

藤堂君はのぶ美を抱きかかえるように、店を出て裏通りへ連れて行った。そしてそこにはラブホテルがあった。藤堂君はのぶ美を連れて、ラブホテルに入り、部屋に行くと、のぶ美の身体にいやらしいことを始めた。「大人の女になれよっ」と藤堂君は言った。「うん、なるっ」とのぶ美は答えた。

そして、のぶ美は藤堂君がしたいようにさせた。

藤堂君が「終わったよ。じゃあなっ」と言った。

藤堂君はホテルから出ると、お金を払って、二度と、のぶ美の方を振り返らなかった。

「さっさと帰れよっ」とだけ言うと、二度とのぶ美に声をかけず、自分は駅前の雑踏に姿を消してしまった。

のぶ美は駅前でタクシーを拾い、あわててまた、フォローレンス学院へと帰った。

体育館ではまだダンスパーティが続いていた。

ジュノはのぶ美を待っていた。

いつもと同じ髪型で、金髪のロングヘアを肩下まで垂らし、前髪を左のこめかみで一つに括り三つ編みにして可愛く垂らしていた。

いまでは174センチの身長に巨乳でボンキュボンの身体で、ハーフ顔の美少女ジュノは薄い口紅に銀のカクテルドレスを着て銀のパンプスを履いていた。無表情でクールな顔しているが、輝くように美しく絶世の美少女だった。

体育館の前で「のぶ美、探したよ」と笑顔で言った。のぶ美とパーフェクトPOPZの振り付けの踊りを一緒に踊ろうとしていたのだが、

でもジュノはのぶ美の相手をしどころではなかった。クラシック社交ダンスの申し込みが多くて、その相手全員のダンスの相手を、優しくて律儀なジュノは引き受けたので、結局、ダンスパーティが終わるまで、のぶ美と踊ることはできなかった。三時間参加者みんなが踊り続けて、ダンスパーティは終わった。


銀色のドレスに銀色のパンプスをはいたジュノは、左右の膝に手を置いて、やれやれと腰を落としてため息をついた。

のぶ美はそんなジュノの格好がおかしくて笑った。

ジュノも笑った。

楽しい卒業ダンスパーティだった。

「また春休みだね。また春休みは未来の世界へ帰るんだよね。でもまたいつものように帰ってきてくれるよね。新学期には?」とのぶ美はジュノに聞いた。

「もちろんだよ」

大山のぶ美は保育士専門学校へ進学が決まっていた。

春休みが終われば、新しい学校へ新学期だ。

でも、ジュノとの生活はどうなるのだろう?

のぶ美にとってはジュノがいる生活は当たり前になっていた。ジュノがいない生活は考えられなかった。

ーーいつかはジュノは未来の世界に帰りジュノのいない生活が始まるんだろうけどーージュノにそんなことを聞く気は無かった。

のぶ美はーー新学期から通学する保育士専門学校の近くにアパートを探さなくちゃーーと思った。

第一女子寮の前で銀色のドレスでパンプスのダンスパーティの格好のまま、ジュノが待っていた。

「しばらく未来の世界に帰ってくるね」とのぶ美に声をかけた。そしてジュノは、消えた。

のぶ美が三階の自分の部屋に入ってみると、そこにはもうジュノの持ち物は何も無かった。

「新学期の一週間前までに、学生寮の部屋は新入生のために空けてくださいね」と大きな声で阿弥陀婆のあだ名の舟木寮監おばさんが叫んで歩いていた。


パパから電話があった。

ママにも電話をかけた。

のぶ美は携帯電話で保育士専門学校の近くのアパートを検索して申し込みし契約した。

すぐに不動産屋から電話があり、のぶ美の携帯電話へ新しい部屋のカギの暗唱コードが送られてきた。

のぶ美はさっさと自室の荷造りをすると引っ越し業者を呼んで、そのアパートの新しい部屋宛に女子寮の荷物をすべて送った。舟木寮監おばさんに挨拶をすると、あとはタクシーを呼んでそのアパートへ移動した。

すぐに荷物は届き、夕方までに引っ越しは完了した。

新しいアパートは二階なので、下の自室の郵便受けに『大山』のプリントしたステッカーを貼り、大山の名前を印刷したプラスチックの手作り表札を部屋の入り口に貼った。これにて引っ越し完了と、自室のドアの前で掲げたばかりの大山の表札をみながらーーこれでひと段落ついたーーと感慨にふけっていたら、のぶ美の部屋の隣の部屋のドアにーーそこは空き部屋だったのだがーー『大山樹野』と書かれた、とてもきれいな金属の表札が、いきなり現れた。

のぶ美は眼の玉が飛び出すほど驚いた。

が、よく考えて、意味がわかった。

「ジュノちゃんここへ引っ越してくるんだ。よかった」ーーしかし、ほとんどストーカーだなっ(笑)


アルバイトを探さないとと思っていた矢先、大山のぶ美は、この月の生理が来ないことに気が付いた、まさかと思い、薬局でキットを買って調べてみたら、大山のぶ美はーーーー妊娠していたっ!!ーーーー


大山のぶ美は問答無用で、「産む!」決心をした。


しかし、その決心を誰にも話さなかった。

ちょうど、架空の人、大山信子の身上話のように。


ジュノからメールが来た。

ーー「大駅前公園で待ってるよ」ーー

あわてて、急いで、タクシーで駆け付けた。


大駅前公園の噴水の前にジュノは待っていた。

そこにはショートカットのジュノがいた。

「髪切ったんだ。あとボディをモデルチェンジしたよっ」とジュノが笑顔で軽く言った。

大山のぶ美は飛び上がった

……ジュノは……(絶句)……男になっていた……美少年になっていた。

顔は全く変わらないが174センチの身長も変わらないが……巨乳は胸板に変わり、華奢きゃしゃな細マッチョの身体で、金髪の五部刈り刈上げ頭の髪の毛に白いTシャツにへそ出しローウエストのチェーンジーンズを履き生足に黒のズックを履いていた。

ーー髪を切ったんだーーと、--ボディをモデルチェンジしたんだーーを同等の軽さで、笑顔で言ったジュノだった。


『ジュノの持ち主、のぶ美の未来の子孫』からのメールが届きました。そのメールはのぶ美が一度読むと消えてしまいました。が、こんな内容でした。


『自分はあなたの子孫です。あなたはある男性を愛して、あなたが彼を諦めようとするたびに、彼はあなたの前に現れ、まるであなたに気があるかの様な言動を取り、一生あなたを振り回し、あなたはそのために叶わぬ恋の、その男性を追いかける事に一生を費やしました。おかげであなたがその男性とのあいだに産んだ子供は養護施設で育ち人の愛を知らない人になりました。あなたの産んだ子供、自分のご先祖はそのために歴史的大事件を起こしてしまいそのせいで、自分たちはその子孫ということでずいぶん辛い人生を送っています。ジュノはあなたをその人生から救うために差し向けたのですが、アンドロイドは少女の姿で送るか少年の姿で送るかはずいぶん迷いました。最初から、男性で送ったほうが良かったのかもしれません。この子は今は、あなたを本気で愛しています。愛が何かはたぶん本人はわからないとおもうけど。どうかお幸せに』


のぶ美は保育士学校へ行き、ジュノはアルバイトに精を出した。


そして、12月が来て……産気づき、のぶ美は一番近くの産婦人科病院に駆け込んだ。

ジュノは、片時ものぶ美のそばを離れず、付き添っていた。そして赤ちゃんが産まれたのだが……

なんと、赤ちゃんは六つ子だった……VRMMOの呪いだっ!……のぶ美はそう思った。


そこへのぶ美のパパとママが乱入してきたーーーー十三歳の中学二年生になった三つ子の妹たち一重はつえ二重ふたえ三重みえを引き連れてーーーー

パパはのぶ美の産婦人科病院の病室に入るなり、ジュノの首を絞めるかのような勢いで、ジュノの胸倉を捕まえた。

「あのね、ジュノくん、自分の責任……わかってるんだろうね? うちの娘にしたことを、責任取れるんだろうね?!」


「はいっ、もちろんですっ」ジュノは背筋を伸ばしてハキハキ答えた。


のぶ美のパパはのぶ美がこれまで見たことも無いような鬼瓦のような笑顔をした。


「ジュノくん、僕は姉貴が産んだ子供の性別は聞いていなかった……君が、まさか男の子だったとは……

きみが心は乙女だと主張して学校がそれに忖度して君を女子部で勉学させたのは百歩譲って良しとしよう。

君がこれまで女装して叔父の僕をも欺いた。それも良しとしよう。

だがね、君が男性であることに目覚めて、うちの娘にしたことは、どう責任を取る?」パパは閻魔大王の笑顔で怒気を口から吐く。

ーーいや ジュノは九か月前に持ち主の意思で身体をーーアンドロイド・ボディをモデルチェンジさせられただけなんだがーーのぶ美は思うーー美少年なんだけどねーー高級レストランのウインドにある蝋細工でできたフィレステーキみたいなもんだわーーロボットの美少年はねぇ


(のぶ美は美しい少年になったジュノと少し距離を置いている。どう接していいかわからないからだ。ジュノの方は以前と変わらないジュノのペースでのぶ美に付き合ってくる)


「結婚しますっ!」ジュノは朗らかに言い放ったっ!

「うげっ!」のぶ美の声

パパとママのごり押しでのぶ美は六つ子を出産した、その日のうちに、ジュノと入籍させられた。


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