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第16部

 逆ハーレムになったところでのぶ美の頭はほぼカオス状態になった。


 女勇者のぶ美はシルクの花嫁衣裳。

 花婿タキシードを着て自分の横に寄り添うマツチヨとゴンとケンが交互に「僕はのぶ美を一番愛してるよ」「僕のほうがのぶ美を一番愛してる」「いいや、俺が一番のぶ美に愛されてるのさ」と愛を告白している。

 美形たちののぶ美の愛を競い合う言い合いに、うっとり聞き惚れているのぶ美だ。

 のぶ美は普段から脳ミソお花畑であるが、今はさらに脳ミソお花畑満開花吹雪状態であった。眼が完全にハートマークになっている。

 しかしジュノはちゃっちゃと、のぶ美の薔薇の花のブーケをもっている手に鉄斧を握らせ、シルクの引きずるベールをはがして皮のヘルメットを装備させ、シルクのロングドレスをひん剥いて皮の鎧と皮のグローブと皮のブーツを履かせたのだった。

 ジュノは、三人の王子は非戦闘員なので、花婿タキシードのままで良しとした。


 宿屋の部屋は7人ベッドの一番の大部屋を借りた。一人8G×7。一応、いま金の斧が二万と銀の斧が五千ゴールドに売れて二万五千Gあるので懐は潤沢である。

 一泊8Gのこの町で宿屋の朝ごはんはマカロニスープ一杯と大麦の黒パン一個だった。コンソメ味にマカロニだけのスープと黒パンである。ホントにお腹がペコペコなので、何を出されても文句はない。美味しく食べてるのだが食べ盛りののぶ美には量が足りない。


(実は、のぶ美は痩せてはいるが、女子寮きっての2年生3年生を抜いた大食いチャンピオンなのだ。新入生歓迎会で即席ラーメン大食い女子寮大会がいきなり開催されて大山のぶ美は見事に歴代女子寮チャンピオンを抜き大食い女王の座を新入生第一日目で勝ち取ったのだった)


「これじゃたりないわよっ!」のぶ美が宿の女将さんに文句を言ったら追加料金3Gでゆで卵とオレンジを一個づつ付けてくれた。自分だけ、という訳にはいかないので、いやそれより、結婚した三人の夫の王子たちの食費と宿代も必要なのである。いきなり女勇者のぶ美は既婚者になりしかも逆ハーレムで非戦闘員である王子たちを+3人抱え込み合計7人の宿泊費と食費を払わなければならない。ーー所持金は極力切り詰めないとやっていけないーーといきなり主婦し始めたのぶ美である。

 ゆで卵とオレンジの追加に、ジュノは嬉しそうに「ありがとう」と言ったが、

 ジョーとボンボンは「ありがとう」も言わず、あたりの前の様にパクついていて、あんなに好きなジョーとボンボンなのに、なんかむかつくのぶ美である。


 三人の王子はやんごとなき王族なので文科系のお坊ちゃまであり非戦闘員である。一切汗水は流さない。とにかく戦いに参加する設定にはなっていないのである。ファニクエ5は王国の無い王子と結婚したら、女勇者が食わさないといけないのだ。大変だ・・・・・・しかも三人も・・・・・・いあ、傭兵いれて五人。


 道具屋で大きなパンを二日分3×2×7=42個とあと水を42本。食料は力持ちのジュノが持ってくれる。ボンボンの僧侶は解毒の呪文が使えるのを確認する。

 これから超える高い山は毒虫の住み家なのだ。

 パパラッチ高山は毒バチお化けがつぎの雑魚敵である。

 山へ入ると、これでもかと毒バチお化けが何十匹となく群れをなして襲ってきた。鉄の斧はモーションが大きく素早い薙ぎ払いができない。ジュノの空中火炎爆発の魔法ドンパチが良く聞くのだが、魔法使いジュノの魔力はすぐにマジックポイントが無くなった。ジュノはやれやれと照れ笑いしながら、拳骨パンチダッシュで出てくる毒バチお化けをすごい速度で次々に粉砕していく。僧侶のボンボンはこん棒をぐるぐる振り回して殺到する虫を弾き飛ばしてすごい勢いで撃退してくれる。もうみんな汗だくだ。ボンボンが「やってらんねえなあっ」ジュノ以外は、もうみんな息が上がっている。--はぁはぁはぁーーハァハァハァーーひぃひぃーー

 盗賊のジョーは石のナイフを素早く振り回して毒バチお化けの羽を切り落とす。「ざまぁねえなっ」

 弾き飛ばされた虫や羽を切り落とされた虫を女勇者のぶ美が鉄斧で粉砕していく。

 のぶ美は虫は苦手なので目をつぶって斧を手当たり次第に振り下ろして粉砕していく。

 なので他の三人は、のぶ美の鉄斧に自分が叩き潰されないように寸前のとこでかわしながら避けながら戦っているのだった。

 途中で虫の襲ってこない開けた場所を見つけて休憩と食事を取り、夕方ようやく最初の山を抜けた。のぶ美はなんとPTメンバーの戦闘員の事をカウントせず自分の三人の夫たちの食い扶持の分の食糧しかリイン町で買って来なかったのだ。最初の休憩でジュノがすぐそのミスに気付いた。

「これじゃだめだからリイン町へ戻ろうよ」とジュノが言ったが、のぶ美が「めんどいからどうでもいいよ」と言った。でもキャラは満腹度のゲージがあってそれが0になると死んでしまう。のぶ美は非戦闘員の三人の王子たちの事しか考えていない。

 ジュノは僧侶のボンボンから「この世界では蘇生呪文は無いのさ」と聞かされて、大慌て。

 なんとか死なない様にギリギリ食料を融通して、ジュノの指揮で本来二日で行くパララッチ高山の行程をジュノは無理やり強行軍で一日で超えたのだった。へたばりそうになりながら、みんなが歯を食いしばって、ようやく食料のあるうちにぎりぎりでオラクルの港町までたどり着いたときは、全員、満腹度99のうち00の状態だった。ヤバかった。もう歩くごとに1歩ごとにHPが減り、全員がぎりぎりの倒れる寸前での町への到着であった。

 オラクルの町の向こうの岩山の中に目指す呪われたバニラグランの王国があった。三人の王子の王国である。


 女勇者のぶ美と女勇者の夫の非戦闘員の王子3人の逆ハーレムとPTメンバーはオラクルの町へ入って宿屋に泊まって、即、食堂へ! 温かいポタージュスープとクロワッサンの夕食が出た。全員が天にも昇る心地だった。(オラクルの宿屋は一人16Gだったが!)のぶ美はポタージュスープの5敗目のおかわりと3個のクロワッサンを同時に口に頬張りながら

「ねえねえ、ジュノこれからは、あなたが指揮をとって全部を決定して。私は頭がパアになっちゃったみたいで、ほんとにダメダメなのっ」

 ジュノは毎度のことながら「のぶ美はホントに仕方ないね」と苦笑した。


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