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第15部

「このVRMMOはオートマチックでの作成だから、あなたがクリアしたストーリより少し違う世界になってるはずだよ、ずっと自由度が高いはずだよ」「ならいいんだけどね」とのぶ美。

「この町で最初に王様の募集に応募して、資金に50Gをもらってそれで装備を整えるんだよ。でもたしかチートの操作法があって、最初から最強装備をもらえることが可能なはず……」

「それはやめとこう。律儀に行こうよ」とジュノ。

「じゃあ、まずジュノ あなたは何になりたい?」「じゃあ、私は魔法使いで行こうかな」

 大山のぶ美はあと二人の仲間に酒場の2階でたむろしていた18歳位の一番イケメンの男子の僧侶と盗賊を誘おうとしたが、のぶ美は恥ずかしくて声をかけれない。ジュノに背中を押されて、ようやく声をかけた。

「ねえねえ、あなたたち、ちょっとつきあわない?」「やあ、カワイ子ちゃんたち、何に付き合うの?」

「冒険の旅に決まってるでしょ」「雇ってくれるのかい?」「雇う? お金いるの?」「そりゃそうだよ 俺たちAIキャラは傭兵さ」

 ジュノが言葉を挟んだ「いくらなの?」「つぎの町まで一人5Gさ」のぶ美は仕方なく、なけなしの10Gを払った。

「いいね!俺の名はジョー」「OK!僕の名はボンボン よろしくね」

「あれ、名前がパーフェクトPOPZのメンバーだ。そういえば顔もそっくり。すごいっ」「そういう条件もいれといたよ」

「気が利くなんてもんじゃないね、ジュノちゃんさまっ!」

 のぶ美はわくわくの有頂天。

 雇った二人すでに布の服ズボン帽子に布の靴、を装備して盗賊は石のナイフを持ち、僧侶は樫のこん棒を持っていた。

 王様に謁見して、冒険の支度金に二人の冒険者はそれぞれ50Gを貰い、武器屋へ行き装備を整えた。

 のぶ美は銅の剣に皮の鎧セットを買い、ジュノは樫の杖に布の服セット。グラフィックが変わって、少し冒険者らしくなったが、のぶ美は不満そう。「何この女勇者の格好っ! 男子みたい。お洒落じゃないっ」

「弁当もたのむぜっ」と雇われAIのジョーとボンボンに言われて、全員の食糧として一人一個づつ、大きなパンと水を持たせて、と途中のイベント用に薬草と毒消し草とまんげつ草を道具屋で買う。お金が無くなった。街の外へ出て最初の雑魚敵のタマネギお化けを狩る。タマネギの汁が飛んで涙が止まらないため、剣がはずれて中々倒せない。でも我慢して倒す。仲間のAIのジョーとボンボンが文句を言いだした。「つまんねえのっ」「ださいなー」のぶ美は思わず「うるさいっ!」「ちぇっ」「うざーっ」

 イベントの起こる真っ暗な森に入った。


「ここで女勇者なら落ちぶれた3人の王子と次々に出会いイベント発生、男勇者なら王女。そのうちクエストを受けれるのは一人で一人しか救えないのよね。残りの2人は見殺しよ。それがストーリなのよ。ファンクエ5は悲惨はストーリなのよね」

「マルチモードなんだから、3人ともクエスト受けれるよ。3人とも救ってあげようよ」

「ちょいまてっ! 助けた王子とそのあと結婚することになるのに、3人助けてどうすんのっ」

 のぶ美が口をとがらせて、ジュノの発言を遮った。

「いいじゃん、どうせ仮想現実なんだから、逆ハーレムしちゃえっ」

 ジュノは気楽にそう言い切った。「いやだよっ!」のぶ美はもう泣きそう。

 森の入り口の泉の畔で、4人は泉の水を飲み大きなパンを半分食べた。以外に美味しいパンだった。泉の水も美味しい。空を見ると小鳥がさえずり青い雲一つないお天気だった。

 仮想現実でも、気分は爽快だった。


 森へ入るとイベント発生。

 1匹の犬が、いきなり走ってきて勇者とぶつかる。それで勇者の剣がはじきとばされて横にある沼におっこちた。

 1匹の犬は呪われた王子(男勇者なら王女)で、勇者の前で倒れて苦しんでもがいている。

 のぶ美は手慣れた様子で、薬草を与えた。

 犬は、症状がなおり、礼を言う。

 そして女勇者に自分の呪いを解いて欲しいとクエストを持ち掛けてきた。この一人しか助けれないのだ。二人は見殺しとなる。

 犬は鉄の斧を銅の剣のかわりにと差し出した「ごめんね、こんな物しかもってないけどこれを代わりに使ってください」 犬がしゃべった。

 金の斧 銀の斧 鉄の斧のイベントだが、ここでは失った武器の代わりにもらえる金の斧は攻撃力1だが町で高く売れる。銀の斧は攻撃5銅の剣と同じでそこそこ高く売れる。鉄の斧を選ぶと攻撃力20で当分武器には困らないが、町で売っても5Gである。ジュノが言った「このクエストは全部受けれるよ。だから3人とも助けてあげなよ」

「……」のぶ美は嫌そうな顔をして返事をしない。このクエストを受けても受けなくても、森の奥へ行くと次々、2番目3番目のイベントが起こる。

 ふつうは鉄の斧を貰ったら、それで森の外へ出て遠回りして次の町へ行くのだが、ジュノはクエストを受けてあと二つのクエストも受けろと言う。ジュノに説明をした。

 3つのクエストを受けても、このうちの1個のクエストをクリアすれば、大災害が起こって、クエスト未クリアの二人の王子は死に、1個しかクリアできないストーリなのだと、説明をした。

 ジュノは薄笑いを浮かべて言った。「時間を止めてクリアすればいい。そうすれば3人とも救えるじゃない。人命救助が勇者の仕事。3人の逆ハーレムでも人を助けることには変わりないっ!」

 正論なのだろうか? のぶ美には分からなかったが、ジュノの主張に根負けして、のぶ美は森の奥へ行き、2番目、3番目のイベントを起こして、クエストのすべてを受けた。森の奥で休憩して残りのパンと水を飲んだ。イベントは銅の剣を1本失うことが条件なので、鉄の斧は失わず、しっかり金の斧と銀の斧を手に入れて、当面の資金不足はほぼ解消した。

 隣の町へ行き、金の斧と銀の斧を売り払い、2人に数日分の延長料金を払った。「まいどーー♪」「ありがとうーー♪」ふたりは笑顔だ。

 隣町には料理屋があって美味しそうな料理がたくさんあるのだがバカ高い。

 が、料理を食べると30分間、色んな能力値が上がるそうだ。☆の多いほど高級で星3などは天文学的な値段がしてとても買えない。どんな味なのだろうか? 美味なのかなぁ?



 ジュノはいきなり時間を止めて、この時間の止まった世界で4人は自由に動きまわれるようになった。

 ジュノがコマンドを空中に出して何か操作している。

 ポピがいきなりファンタジークエクエの世界に現れた。これは便利だ。

 長男の金斧王子のクエストはテンドン山の山頂に咲く銀霊花を採ってくる。次男の銀斧王子のクエストはオリハルコンの盃を造ってそれに水を満たして飲むこと。 三男の鉄斧王子のクエストは火山で火の鳥の羽を一本抜いてくること。

 のぶ美はへたれだが、VRMMOの世界では疲れ知らずだった。わくわくが止まらない。

 ポピに乗って、三つのクエストに挑むのだ。文句言いの盗賊のジョーと僧侶のボンボンもポピに乗ってのクエストなので「こりゃ、楽でいいな」「いけてるぜっ」と上機嫌。

 地獄谷へ行きオリハルコンの金属の塊を見つけ伝説の鍛冶屋(魔物の鍛冶屋なので戦闘勝利が条件)に勝利してオリハルコンの盃を造ってもらった。

 テンドン山へ行き霧の谷のダンジョンをポピの通り抜けの能力で透過して銀霊花(怪物食肉植物だった)と戦闘して勝利して花を採集。

 火の山で火の鳥と出会い、火の鳥と戦闘して勝利して火の鳥が問いかける謎(攻略サイトに回答を下調べ済み)を解いて火の鳥の羽をGET。

 三つのクエストをクリアして4人でもう一度、3匹の犬の待つ森の奥の沼の畔にポピに乗って訪れた。

 ジュノは三匹の犬の前で時間を戻し、時間が動き出した。

 のぶ美は、金斧王子の犬に銀霊花の花を捧げ、銀斧王子の犬にオリハルコンの盃で水を飲ませ、鉄斧王子の犬に火の鳥の羽を捧げた。三匹の犬の呪いが解け、三人のイケメンに変わったそのとき、天から黒い森に隕石が降り注ぎ、全員がポピに乗って森を逃れた。隣の町リインへ戻った4人はその街で休息。ところが大山のぶ美の女勇者は三人の王子から求婚される。そして強制結婚がイベント発生し、リインの町の教会で花嫁一人に王子三人の花婿が結婚式を執り行う事態となった。のぶ美は花嫁衣裳の後ろに引きずる白い薄いレースと白いシルクのロングドレスが着れて嬉しそう。「こんなドレス一遍着てみたかったんだ」ニコニコ顔ののぶ美は花婿の方へ顔を向けたとたん、顔が引きつった。が、じきにそれは喜びの表情に変わった。

 何と三人の王子は、パーフェクトPOPZのマツチヨとゴンとケンにそっくりだったからだ。

 逆ハーレムに大山のぶ美は大喜び。



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