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第10部

 大山のぶ美は自分の部屋で

 ジュノのアンドロイドのスーパーパワーかなんだかの、幻影を見せる力で、パーフェクトPOPZの貸し切りライブを堪能中だった。

 ホントは三畳半のスペースに二段ベッドと机が二つにロッカーが2個備わっているのが真実なのだが、

 あたりは特設大ステージで目もくらむような光のシャワーと大音量で、ヒットチャートの人気上昇中の歌が流れる。

 ジュノの設定により、どこにあるか知らないすごいグラビトンなコンピューターが大山のぶ美のイメージ通りにこの幻影を創り出しているのだ。

 ジョーが豊かな声量で歌い、しなやかな踊りを見せるケン、だれも甲乙つけがたい美形である。

 お洒落で甘ったるいしゃべり方のマツチヨが「のぶ美、きみのためだけに僕らは歌うよ。きみの薔薇のくちびるにキャンデーの様な甘いキスを贈るよ~~♪ さあ、ぼくらの最高の笑顔はきみだけのための物♪~」美形のマツチヨが今にもキスできるような距離まで顔を近づけて、のぶ美を見つめて甘い声でのぶ美にささやきかけてくる。

(相手はAIなのはわかっているが、のぶ美はそれでも嬉しい)

 ジュノは奥の方で目の前の空中にパソコンのコマンドの様な物を出して何かの操作をしている。

「あ、しまった!」といきなりジュノが大きな声を上げた。

「ちょっと、この曲、なしっ」いきなり、大山のぶ美を取り囲んでのぶ美だけを見つめて笑顔を見せていたあこがれの5人のイケメンが固まったままピクリとも動かなくなった。

 リーダのジョーをはじめボンボンとマツチヨとゴンとケンが動かなくなった。時間が止まった時と同じだ。

「あ~~今流した3曲は、これは来年発表される曲だった。ドジった!」

「先週発売された新曲も全部知ってるのに、聞いたことない曲だった。ふぅ~ん、ヤッタァ~ッ!誰もまだ知らないなんてらっき~」

「いやいやいやっ!、ごめんね。これは聞かなかったことにしてねっ。」ジュノはぴしゃりと言った。「外でうっかりあなたに歌われて、誰かがそれをユーチューブにでも上げたら、今この時間に存在しないはずの、この曲と歌詞を作った人がそれ聞いたらパラドックスになるからね。あといろいろ予想のつかないややこしい大騒ぎになるかもだから」ジュノはひとりで苦笑い。「え~~っ!ショボン。パラドックスって何?」

「……いいよ、知らなくても」説明がめんどくさいのか、ジュノは笑ってごまかした。

「お腹が空いたから、カップラーメンでも作るわ。ジュノちゃんも食べる?」

「うん、ありがとう。ごちになります」

「うん、じゃあお湯をいれて……あれ、お湯が切れてる」「あ、さっき私がインスタントコーヒー淹れたからだわ、ごめん」「じゃあ、お水入れてくる。この画面から出してくれる?」

 瞬時で画面は元の部屋に戻った。

 

 のぶ美は電気ポットにお水を入れに3階の廊下の中央にある談話室に向かった。

 談話室は絨毯が敷かれテレビが置かれているエリアでその横に簡易調理場とコインランドリーが1台とトイレがある。テレビは1年生はまず観れない。2年生や3年生を押しのけて観たい番組は観れないから。みんなの見ている番組が丁度自分の観たい番組である時ラッキーと思うのみである。

 きょうはアイススケートが上級生の観たい番組の様だ。わーきゃーと声があがってる。

 ポットに水を一杯に入れて、自室に置いてある中古の小型冷蔵庫に入れる牛乳を買いに1階へ降りる。

 1階にはお風呂場とシャワールームと自動販売機がある。そこで牛乳を買って、自室の階の3階へ戻る。

 談話エリアをまた通るとき誰かが「ここじゃあペット欲しくても飼えないもんねぇ」と言った。

「寮だからねぇ」「電子ペットを携帯電話で飼ってるもん、いいよ」「その手があるか」「あはっ」

 お湯が沸くまでに、ジュノに数学の宿題を見てもらう。とはいっても、ジュノが解いてくれて1問づつ解説を聞いてる間に寝てしまう。数学は子守歌だ。結局全部ジュノに解いてもらって宿題は済みっ!

「ペット欲しいけど、ここじゃあ飼えないもんね」とジュノに言ってみた。

「そんなことないよ」「携帯電話の電子ペットでしょ」「まあ、その延長線上かな、でもこの時代よりはリアルだよ」「飼えるなら飼いたいな」「OK」

 ジュノはいきなり自分の携帯電話を出すと「ペットの条件を言って」

「え、条件なんて……」「じゃあ、質問に答えてくれると良い」「動物か植物か不思議な生物かどれがいい?」

「ふしぎな生物がいい」「歩くタイプ? 空中に浮かぶタイプ?」「空中に浮かぶタイプ」「攻撃的なほうがいい? おとなしいタイプがいい?」「おとなしいのがいい」「うろうろ動き回るのがいい?落ち着いてるのがいい?」「うろうろしてるのがいいな」「目は大きいのがいい?小さいのがいい?」「大きいのがいい」「色は何色がいい?」「ピンク」「OK」

 ジュノは自分の携帯電話になにか操作している。「その携帯電話のツール?」「私の携帯電話には、エアコマンドというものを重複させて機能をもたせてあるの。あなたの携帯電話にもそうした機能つけてあげようか?」「いや無理。いまの時代の携帯電話でも使いこなすのギリギリなのに、これ以上無理」「設定終わりっ」ジュノは自分の両手を差し出した。その中に虹色の半透明の卵が現れた。

「はいこれを受け取って」大山のぶ美は、半透明の虹色の卵を受け取った。大山のぶ美の手のひらの上で、それは見る間に大きくなり、卵がかえった。卵の中から、小熊の様な翼のついたピンクのふわふわの不思議な生き物が現れた。せわしなく飛び回り大きな眼をキョロキョロさせている。「ぽぴぽぴぽぴ」

 不思議な声で鳴いた。

「何食べるの?この子」「普通の食べ物も食べれるけど何も食べなくても平気よ」「そうなの、不思議」「不思議な生き物、だからね。名前はどうする?」「ポピちゃんでいいよ。ぽぴぽぴって鳴くから」「OK」

「この子は姿はあなたにしか見えないし、声もあなたにしか聞こえない。まあ、私にも見えるけどね」「育てるのはどうするの?永久に誰にも見えないの?」「いろいろ話かけてやって相手してやればいい。遊んであげたり、自分のおやつを分けてあげたりね。見えるモードに切り替えることもできるよ。その切り替えは口頭で言えばいい。あまり手間は要らないモードにしてあるから、問題ないよ」

 大山のぶ美はポピに話しかけた「ポピちゃん、よろしくね」羽のついた子熊のようなふわふわの大きな眼の生き物は、嬉しそうに「ぽぴぽぴぽぴ」と鳴いてのぶ美の周囲を飛び回った。

「普段は携帯電話の中に入れておくこともできるよ。そのときはデモ画面のキャラの様に携帯電話の中で生きてるよ。いちおうサイズも見かけも飽きたら自由にチェンジできるよ。」

「ぽぴぽぴぽぴ」

「可愛いね、私、ネコも犬も生き物何も飼ったこと無いから嬉しい」

「喜んでもらえてうれしいよ、あ、お茶が湧いてるよ」

「ほんとだ、お茶入れて、カップラーメンを2分待ちましょう」「うん」

 ジュノもお腹が空いてたようだ。そして2分経って、食べようと割りばしを出した途端、

「ぽぴぽぴぽぴ」いきなり、ポピは2個のカップラーメンの周囲を高速旋回した。

 とたんに、2個のカップラーメンは中身が空になっていた。

「あら!」「やられた!」ポピは幸せそうな顔をしてのぶ美のベッドで眠ってしまった。

(なんだか、とんでもないペットがやってきたのかもしれない)

 ーーああ、この子は無料サービス期間の三か月しか飼えないからね。三か月過ぎると有料になるから、あきらめてねーージュノから言われた。


 ラーメンを食べるのは諦めて、また、大山のぶ美とジュノはパーフェクトPOPZのビッグステージショーの幻影に部屋を切り替え、改めて、イケメン5人の特設ステージライブショーを楽しむのだった。歌は華麗にメドレーで続く。5人はのぶ美を取り囲み、歌い続ける♪~~~~

 イケメンというより美しい女性に見えるゴンが微笑みを浮かべてのぶ美に顔を近づける「♪やあ~可愛いきみの薔薇の花の様な笑顔を観たら恋に堕ちちゃうよ~~♪」とのぶ美に今にもキスするような仕草をして「♪あ・い・し・て・る・よ♪」と囁いた。のぶ美は赤くなってうつむいて照れている。

 こんどはそこにポピも参加し、「♪ポピポピポピピ~~~~」と声を張り上げ空中でお尻フリフリ参加する。

 半透明なピンク色の不思議な生き物ポピの可愛い姿があった。

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