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うえるかむ美少女アンドロイド  挿絵あり

挿絵は

下から、三つ子、ジュノ、のぶ美、との子

上、藤堂、パパ信夫、ママかよ子

挿絵(By みてみん)


 大山のぶ美は12歳。

 フォローレンス学院の中学部の1年生。

 フォローレンス学院は全寮制の私学であり中高一貫校である。

 大山のぶ美はもうじき3時間目の数学が終了するが、校庭のフェンス向こうの男子部の校庭でイケメンのスポーツ万能のあこがれ男子が体育をしているのに気づいた。窓際なのをいいことに、教科書で顔を隠し、半分よだれをたらしてその男子の動きを眺めていた。

 のぶ美の後ろの女友達が気づいて

 ーーのぶ美ってテレビのちびまる子のみぎわさんソックリの癖に、ふっ(笑)ーーとソッと独り言。のぶ美に聞こえるように言ったつもりだが聞こえないようだ。

 授業が終わった。

 つぎはホームルームであった。その時担任のサヨちゃん先生が入ってきて、ひとりの転校生を紹介した。

「ジュノ・アレクサンドロスさんです。これからみなさんの同級生です。なかよくしてあげてね」

 教師の紹介したその先に。ハーフっぽい顔の美少女が笑顔であいさつをした。「よろしくおねがいします」

 肩下まで伸びた金髪の少女は前髪を左のこめかみで括り三つ編みにして可愛く垂らしている。

 教室がどよめいた「きれいな子じゃん」「いいね、かっこいい」「ちょいきつめかな、でもいいかんじ」

 彼女は空いている大山のぶ美の横の机に座ることになった。

 美少女はまわりの女子たちに笑顔でしとやかに挨拶をした。「よろしくね」


 そして大山のぶ美にそっと目配せして、挨拶をした「うふふ、はじめまして、仲良くしてね」

 その日、授業が終わり、クラブ活動もしていない大山のぶ美は、そのまますぐに女子寮の自室に帰った。

 しかし女子寮の3階の談話エリアにおかれているテレビはもう他のだれかに取られていて、大山のぶ美の興味のないおわらい芸人のバラエティがかけられていた。……ちぇっ、パーフェクトPOPZの歌番組が見たいのに……

 女子寮の部屋は2人部屋であるが、人数の都合で大山のぶ美だけ、2人部屋を一人で使っていた。

 ラッキーと思っていたのだが、そのとき寮監の「阿弥陀婆」こと白髪の初老の女性、舟木寮監おばさんがやってきて、大山のぶ美に言った。

「きょうからこの部屋にこの子が入ることになったから、よろしくね」

 目の前に、4時間目に紹介された転校生の美少女のジュノ・アレクサンドロスがいた。

「おじゃまします。ごめんなさい。よろしくおねがいします」

 ジュノは笑顔で深々と頭を下げて、大山のぶ美に挨拶をした。

 ……やれやれ、これで二人部屋の独占はおわりか……

 大山のぶ美は心の中でため息をついた。

 大山のぶ美が自室に入ってみると、すでに荷物は片付けられて、空いていた二段ベッドの上段に寝具とぬいぐるみが置かれていた。

 机に教科書が整理され、ベッドの横のロッカーのドアにはかわいい人形がピンナップされていた。


 そのまま、寮監の舟木おばさんは、談話エリアでテレビを見てる女の子たちに、「時間を決めて観なさいよ」と大声で注意すると、階段を降りて行った。

 あとに、部屋の中に、大山のぶ美とジュノが残された。

 ジュノはのぶ美にきれいな包み紙のプレゼントを渡した。

「これ、ごあいさつよ、もらってね」

 包み紙をあけると、大山のぶ美は声をあげた

 それは手に入らない、今、大人気のぬいぐるみ、ホニャロンちゃんだった。

「わぉ、ありがとう」大山のぶ美はうれしそうにジュノに笑顔でお礼をいった。

(この子とならなんとかやっていけそうね)大山のぶ美はそう思った。

 大山のぶ美はジュノがこれから学校や寮でやっていけるように、学校や寮のいろんな話をしてあげた。

 ジュノはずっとそれを笑顔で聞いていた。二人はメールアドレスを交換した。

 一階にある女子風呂が少し人数が少なくなったころをみはからって二人は入浴した。

 風呂上がりに、自動販売機で大山のぶ美はジュノにジュースをおごった。

 パジャマを着て、自室に戻った時、ジュノは大山のぶ美に、とんでもないことを話しだした。

「じつは、私は数億年先の地球の未来からやってきたあなたの子孫がよこしたロボットなのよ。事情があってあなたをりっぱな人間に成長させて幸福にするためにタイプ4文明のはるかな未来からやってきたの。」

 大山のぶ美は「うそでしょ」と答えた。

 ジュノは答えた「証拠をみせてあげるわ」


 談話エリアでは、みんながお笑いバラエティショーを見ていた。

 この階の一番気難しい2年生の寮生の利根さんが、このお笑いバラエティの司会者 若野ポンチと竹村武子のファンだったからだ。

 うかうかたてついたら、何を言われるかわからない。大山のぶ美も他の女の子達も本当はパーフェクトPOPZの歌番組が見たかったのだが。

 ジュノは、大山のぶ美に言った。「あなただけ特別ショーにご招待よ。」

 二人の部屋に帰るとジュノは大山のぶ美の秘蔵のCDを聴きながらパーフェクトPOPZの出ている雑誌を読んで自分の携帯電話を操作していた。ーー何をしているのだろうーーのぶ美がそう思っていると「OK.ヒットしたわ」ジュノは顔を上げると手をさっとあげた。

 パジャマでいる二人の部屋の中の空間がいきなり、巨大なステージに変わった。

 とんでもないことが起きた……げ?!……

 そこに大山のぶ美のあこがれのパーフェクトPOPZのメンバー5人が笑顔で二人の目の前に立っていた。

 チームリーダーのジョーが言った「やあ、大山のぶ美さん、きみはぼくたちのファンなんだね。きょうはきみのために貸し切りライブだよ」

 5人はそう言うと、大山のぶ美の前でライブを始めた。

 ヒット中の歌から始まり、メドレーでつぎつぎと目の前であこがれの5人が、パジャマでくしゃくしゃ髪の、大山のぶ美に向かって笑顔で貸し切りライブを繰り広げる。すごいステージだ。

 大山のぶ美はもう放心状態で、大歓喜で5人と一緒におどり歌い、楽しんだ。

 教科書の英文は暗記できなくても、発売されているすべての歌は完全に暗記しているのぶ美だった。

 夢の様だった。

 4時間ぶちぬきのショータイムとなった。夢中で大好きな5人を目の前にのぶ美は生演奏を鑑賞し参加し踊った。

 さすがに12歳の大山のぶ美も疲れてきた。

 だけど、5人は全く疲れた様子はない。

 このまえケガをして療養しててカムバックしたばかりの病み上がりのボンボンくんも平気で歌って踊ってる。……?! ……ライブなんて1時間やったらもうへとへとのはず


 大山のぶ美は、奥の方に引っ込んで歌のリズムに合わせて体をゆすっているジュノの傍へ走りよると、聞いて見た。

「これは現実なの?」

 ジュノは笑顔で「いいえ、これは未来の世界に残されてるデーターから再生した3D画像のコンピューターアニメーションよ。」「じゃあ、今私の目の前にいるジョーくんとかボンボンくんは?」

「5人は5人のキャラクターを備えたAIよ」

「なんだ、偽物なのか……」

フォローレンス学院は全寮制の中高一貫校のPL学園や自由学園をモデルにしていますが全く別物です

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