この球はホームランにはならない
つまらない作品なので
つまらないという苦情はご遠慮下さい
中本 一徳 あだ名はイットク
身長、体重、成績すべてが平均未満の高校生だ
小学生では常に最前列
でも夢はピッチャーで実際ピッチャーもやった。
中学生になり挫折した。
キャッチャーにコンバートされピッチャーをやらせてもらえなかった。
余談だが、身長の増加が中学二年生で150センチ過ぎで激減これから成長しても160センチは行かないと思う
中学でキャッチャーにされたことで野球をやりつつサッカーも始めた。
サッカーでも身長がネックになった。
それに中学生から始めても技術面でもなかなか勝てなかった。
サッカーも諦め
体力を増やそうとボクシングジムに通うことにした。
ボクシングはいろいろ楽しかった。
ジムに二年通いそれなりに強くもなれた。
進学やめて一七歳になったらプロになるか考えていると伝えたら、言われたのは残酷な言葉だった。
「ミニマムもフライもスーパーフライもそのあたりの階級はウチのジムには世界チャンピオンが多いからわかるが、お前は行けて日本チャンピオンだ」
とジムのトレーナーに言われてしまった。
ジムは世界までは応援をしていないという事実だった。
日本チャンピオンでは生活は出来ない
また挫折をして高校へ進学することにした。
入った学校は底辺も底辺
公立高校で定員割れの名前さえ書ければ入れる
一年から二年に上がるまでに半分は消えていく
そんな学校だ。
野球はやっていなかったけど
受験の時の中学での部活は野球部のままになっていた。
未練だなとは思ったけど高校は帰宅部のつもりだからあまり考えてなかった。
受験の次の日高校から連絡があった。
「中本君、野球部の練習に来ないかい?…」
野球部の顧問から放課後と土日に練習に来ないかという誘いだった。
野球に未練があったのがいけなかったんだろう「行きます」と返事してしまった。
そしてポジションを聞かれたのでピッチャーと答えてしまった。
答えた結果、今に至る
「じゃあ投げてみてくれ。
彼は中学ではピッチャーだったみたいだ
私にはわからないから見てあげてくれ。」
顧問はそれだけ言って職員室に帰っていき俺はマウンドに立たされていた。
この身長で普通のまっすぐじゃ打たれると思ったので。
上に投げてみることにした。
イーファス・ピッチと言われる
メジャーリーガーみたいなパワーを持ち合わせてない日本人にはホームランには出来ない可能性が高い球だ。
うまくストライクゾーンに入った。
「ふざけてるのか」
バッターに立った高校生の先輩に怒られた。
「ふざけてません」
即座に返してピッチングを続けた。
山なりの時速五十キロ程度のスローボールだ。
「クソ」
先輩は空振らないが前にうまく飛ばないことにイライラしだしていた。
そこをついてクイックでスリークオーターのストレートで先輩を空振らせて終わらせた。
120キロ出てるか出てないかの一般のピッチャーからくらべたら遅いストレートで空振らせてみせたことが嬉しかった。
「よし」
思わず声が出てしまった。
空振りした先輩はバケツにイライラをぶつけていたがほかの先輩はおもしろそうに見ていた。
「ウチの四番を打ち取るとはやるな、帰り道で気をつけろよ」
ニヤニヤしながらとても不穏なことを言われた。
周りからも「可哀想に」とか「新しいパシリできたな」とかささやきが聞こえてきた。
あとから知ることになるが
顧問が勝手に部員集めを頑張ってるだけで
先輩たちはパシリが欲しかっただけのようだ
このあとも何人も三振や凡打を量産させることができた。
人にイーファス・ピッチを初めてやってみたけどとても楽しかった。
未練だとしても背が低くても生かせそうなピッチング調べといてよかった。
帰り道襲ってきた先輩も全員ボコボコにした。
一応これでもプロになれば日本チャンピオンまではいけると言われたくらいだ
お世辞だったとしても素人に負けることはない
素人にはまず一発目を出させる前にこちらが先に叩くこと
漫画や小説じゃ正当防衛とかで一発殴らせるとかよくあるが
素人は大体一発で決まる
先に殴った方の勝ちだ
殴られた方は痛みで止まりボクサーみたいに殴り返すことはない
もちろん一発目が弱ければ反撃されるがそんな弱い拳は出さない
ボコボコにした先輩の何人かはそれから来なくなったので先輩からケータイを借りて「練習に出てこないと家に行く」と言って無理やり練習に参加させた。
それでも来ない奴には家まで言って親に「入学したらパシリをやれと脅されました」と伝え
野球部の練習に出てもらい根性を叩き直したいと涙を一切流さずにお前は子供にどんな教育をしているんだと言わんばかりに文句をいった。
イーファス・ピッチもそうだ一発目は印象付けで投げてそのあとは細かい変化で翻弄する
相手も軌道がわからないからよく見ようとする
見ようとしてきたときは見やすい球を投げる
回転数が緩めでスピードも適度に早いとか
そのあとに投げる球はもっと遅く回転をかけた球を投げたり
逆に無回転に近い球を投げたり
入学までの空いてる時間をずっと先輩たちの打撃練習にあてた。
緩急に対応させるために俺のスローボールのあとに130投げられる先輩に投げさせたりした。
手が空いてる人は全員守備で打者は打撃練習それ以外は守備練習に
三振が出たら顧問が連続ノックするという二段構えでやった
時間はかかるが三振したらバッター交代なのでその時間を潰すつもりでやった。
その結果130キロの球に的を絞りヒットを出すようになっていった。
受験から一ヶ月でいろんな新鮮な経験を得た。
イーファス・ピッチにも自信が持てた。
高校野球に武器はこれだけでどこまで行けるかこれから楽しみになった。
最後まで読んでいただきありがとうございます