ヴァイオレット、入部
日の当たらない部屋が私たちの部室だ。
「ぐひっ、ぐひゃひゃ」
その部室から変な音がする。変質者か!? ならば、この私が成敗してくれる。
「たのもぉおお!」
「ぐひ……」
それを目にしたとき、私と相手の中で時間が止まった。
「……ヴァイオレットじゃねぇか!」
そこにはバイオのキャラクターがプリントされた抱き枕を天高く掲げ、変な踊りをしている同級生の姿があった。
「あー、何でここにいるんだ?」
「し、失礼しましたっ」
急いで逃げようとするヴァイオレット。しかし、ここの管理者である私が簡単に帰すわけにはいかない。ヴァイオの袖を掴み椅子に座らせた。気になることは多いが少しずつ聞いていくことにする。
「ここはうちの部室なんだが?」
「ええ、知ってます。入部したかったので夜見さんを待ってました」
「なるほど。まともな返答だな。さっきの奇行がなければ」
なぜここにいたのかは分かったが先程の行動は意味が分からない。
「いやぁ、楽しいじゃないですか?」
「同意を求めるな!」
分かった、こいつは変態だ! しかし、身に付けているアクセサリーからそこはかとないゾンビへの愛が感じられた。私と同じぐらいか……。
「入部希望か。ならばゾンビへの愛を体で表現してみろ」
「はい!」
……それからまた変な踊りが始まった。かくして(何が「かくして」かは分からん)、ヴァイオレットはゾンビ愛好会に入部したのだ。