幸せの刻
君と過ごした時間はあっという間だったね。時には喧嘩もしたけど、一緒に過ごした時間は自分は幸せだったよ。
君はどうかな?
最後には立ち会えなかったけど、君は幸せそうに眠っていたね。
遅くなったから、ふて寝かな?
眠る姿はいつもと同じで腰を丸めて手を顎のしたに置いて、直ぐに起きれる体勢だったからいつもと同じように飛び起きるかと思ったよ。
だから、わざと音をたてて、好きな物を鞄から出してみた。けど、君は目を開けることはなかった。
君の大好きなやつだよ?一緒に食べる?
問いかけても返事はなく、君は体勢を変えずにそのまま寝ていた。
そうだよね、夜も遅いし今は寝る時間だもんね。ここに置いておくから後で一緒に食べようね。
そっと置いて身体を触る。その身体は冷たく彫刻のようだった。母がかけてあげたのだろう、タオルが布団のようにかけられていた。母も感情を抑えて仕事に行ったのだろうフローリングに大粒の雫が落ちていた。
自分はカーペットに落ちてたっぽいから、わからなかったがフローリングだったら湖ができていたんだと思う。
結局、日付が変わるぐらい泣きつづけた。君に恨み言を少し言いながら
せっかく、遊びに来たのに寝てばっかじゃん。ご飯も食べずに遊びにきたんだぞ?やっぱり持ってきたの今食べない?食欲ないのにお腹がなるよ。
身体は白状である、溢れ流れる思いとは別に生きるために感情無くただ活動する。同じ個体なのにこうも、違うのだ。
ふと、心が落ち着いたときに思った事があった。
普段、毎回ではないが霊成るものがたまに見える。もしかしたら、見えるかもと
目を擦り、辺りを見回す。
上、右、後ろ、左、君の身体
見えない。こんな時に見えない。何て役立たずの目なんだ。この目で恐怖体験もある。なのにこんな時にこんな時だからこそ役にたてよ。
自分を呪った。自分のタイミングでは見ることは叶わないことに。
結局、涙で視界が歪む。目の錯覚なのはわかってる。視界の歪みが君の顔、身体、手が動いた・・・ように見えた。
頭ではわかっているでも、触らずにはいられなかった。そんな事を続けていた。
結局、時間は過ぎて自分も次の日、仕事があるので帰らなくなった。
日付が変わった今日、彼は旅立つ。正確には旅立っているが、自分と触れあえるのは今日、この刻以外は無いのだ。
彼に顔を寄せて、彼の匂いを彼の体格を心に刻む。もちろんその時も
今、食べなくていい?持って行って食べる?
最後に一緒に食べない?
そんな問いかけをしながら、やっぱり涙が止まらない。
仕事から飛んで来て、入り口に置き去りにした、コート、マフラー、スマホ、鞄をとぼとぼ取りに行く。もちろん、君を見ながら。
結局、帰る用意してたけど君は「見る」ことは叶わなかった。
コートを羽織り、マフラーを巻き、鞄をもって君に近づく。そして言葉をかける
いっぱい怒ったし、笑ったし、楽しいことも君と過ごして多かった。君といた14年は幸せな時間だった。もし、次があるなら君も怒ってる事もあると思うから殴っていいよ。
でも、僕は君の・・・陸の事大好きだよ。
そう行って立ち上がり、部屋の扉の前で振り向く。未練が未練しかないからだ。
それじゃ、帰るからね。眠いからお迎えは無しかい?
まだ、やっぱり未練が消えない。諦めて玄関にとぼとぼ歩いてると
トトトトトッ
自分に向かってくる足音が聞こえた。
たぶん気のせい、幻聴、妄想、そんな事あり得ない。連勤の疲れ、良いように勝手に解釈しただけ。
でも、全身が鳥肌がたった。その音は紛れもなく陸の足音。バタバタ程ではなく滑るフローリングを上手いこと走る音。お見送りの時の足音。
振り返るしか思い付かなかった。もちろんそこに誰の存在もなかった。けど、陸がお迎えに来てくれた。
ありがとう、ありがとう。
結局、自分の家に帰る途中も人目を気にせずに泣きながら帰った。
今度、また、美味しいおやつ持っていくね。
これは物語でもなく、詩でもない。ただ、起きたことを自分が忘れない為の物です。妄想、妄言に聞こえると思います。私が陸と最後に過ごした瞬間の事を思いでとして書いたもの、帰った次の日の朝に思い付いて行きの電車で書きはじめました。思い出しながらなのでやっぱり泣きながらかいてました。昼の休憩の時もやっぱり手が震えながら泣くのを我慢して書きました。
今、12時47分。母からメールで「陸がお骨になって帰ってきました」とメールが来ました。泣きそうです。でも、仕事中に泣くこと叶わず、我慢してます。
誰かに聞いてほしい、議論したいとかはなくてこの話によって他の人にどう思われてるかは考えません。でも、コーギーの陸を私が大好きだったと伝えたかっただけです。
読み返さず書いてます。だから、無茶苦茶かもしれません。読み返せばやっぱり泣いちゃうので粗雑な文ですみません。
ご視聴、ありがとうござます。
ただそれだけです。
2018年1月5日