0-7
「やっぱり目の錯覚?」
他に誰かいれば確認出来るのだが、元々人通りの少ない路地で、辺りには誰も見当たらない。少し怖いような気もするが、興味の方が勝り小走りで公園へと向かう。
数秒後公園に着くが、やはり気のせいだったのか光など無く、少ない街灯に照らされるいつもと同じ公園がそこにはあった。
「一体何だったんだ?」
そう呟きながら頭をかく。幻覚だったのならそれでいいのだが、あれぐらいの酒量で幻覚を見たのならそれはそれでショックだし、これから気を付けなければならない。そんな事を考えている最中、ふと瞳の端に倒れている人の姿が見えた。
これも幻覚じゃないよな?
そう心の中で確認しながら、倒れている人間に近づく。倒れているのは女性であったが、その姿には何とも言えない違和感があった。
まずはその長い茶髪と綺麗な白い肌が目に入ったが、それと同時に顔や手足にいくつもの小さな傷が確認できる。倒れている状況なので、何かトラブルに巻き込まれている事が想像出来るが、傷は決して新しくなく、古くから付いているように見える。
そしてなんといってもおかしいのはその格好だ。俺は正直ファッションというものには疎いのだが、この女性が着ている物は、控えめに言って世の女性が好んで着る服装にはとても見えない。
服はボロボロで、その上から胸当?のような物を着けている。腕や足にもレガースのような物を着け、腰には小物入れというか、小汚い巾着袋のような物が結んである。
全体的に、なんというかRPGのゲームで見るようなファンタジーな服装をしており、その素材感や雰囲気から何まで、現代社会ではあり得ないような奇妙さを感じる。
「あの、大丈夫ですか?」
変な女性だからといっても倒れている人をそのままには出来ない。問いかけるながら状態を確認する。返事は無いがどうやら呼吸はしているようで、少なくとも女性がまだ生きているという事は確認できた。