001 少女との出会い
初めまして、神木そらです。
初投稿ですがよろしくお願いします。
高校1年目の生活が終わり2年になろうとしてる始業式当日、相変わらず朝が嫌いな僕は妹の電話で目が覚めた。
「あ、お兄ちゃん?やっと起きた!もー何回も起こしたのに全然起きないんだからー」
時計を見るとすでに8時を回っている。
「やべっ!月夜!なんでもっと早く起こしてくれなかったんだよ!」
「だから何回も起こしたって言ってるでしょ。叩いたり踏みつけたりしても全然起きないから先に家出ちゃった」
「おい、お前僕が寝ている間になんてことしてるんだよ...」
確かに何かに踏みつけられる夢を見たような気がするけれども。
「いいじゃん!結局起きたんだし」
妹との雑談はさておいて急いで学校への支度を済ませる。電話越しから「もしもーし」と妹のけだるそうな声が聞こえる。
「もう家出るし、またな」
そういって僕は電話を切り、家を出た。
僕は昔から朝は嫌いだった。高校へ入学してからさらに朝が嫌いになった、いや、朝というよりは陽の光が嫌いになったというのが正しいだろう。そう、高校1年目の夏休み、僕は一人の吸血鬼と出会った。
―――――吸血鬼イヴ
彼女と出会ってから僕はまるで地獄のような生活を過ごした。すべてが彼女のせいなわけではない、むしろ僕は彼女に感謝しているほうだ。
僕は彼女に命を救われた。
ただその代償として僕は吸血鬼となってしまったのだ――――
校門前まで到着すると既にチャイムはなり終わる寸前だった。校門前で呼吸を整えて再び走りだす。校内へ入るがもちろん生徒は皆体育館に集まっているため遅刻者の僕以外誰一人としていないはずだが、1階から2階へと階段を登っていく途中にただ一人だけ女子生徒がいた。
その姿は小柄で細く、ふんわりとした艶のある色素の抜けた髪、とてもかわいらしい少女だった。この子も僕と同じ遅刻者だろうと思ったが何かおかしい。もうチャイムが鳴り終わっているはずなのに平然と踊り場の掲示板を見ている。授業をすっぽかす気なのだろうか、そんなことを考えながら僕は彼女に話しかけた。
「おい、もうチャイムなり終わってるぞ」
彼女は僕の声に驚いたのか、ゆっくりと僕のほうを向いた。目を丸くして口を開けている。そんなに驚くこともないだろうと思ったが、彼女が発した言葉は意外な一言だった。
「―――私のこと、見えるの?」