9 竜と火山の迷宮5
「じゃじゃ~ん。私、こんなの持ってきたんだ~^^」
登山用の鉄杭と槌を取りだすウサ
「15本あるけど、だいたい壁の高さ1mくらいのところに1mおきに足場用の杭を打って、
それから作業時に体を固定するロープを繋いだりする杭を高さ2.5mくらいのところに、
2mおきくらいに打って行けば向こうまで行けるんじゃないかな~。」
池の奥へとx座標を取り、水面からの高さをy座標とすると、(0,1)、(1,1)、(2,1)、…、(9,1)と(0,2.5)、(2,2.5)、…、(8,2.5)に打つ計算です。
「いや、水面から1mでは水中からの攻撃を受けやすくなる。杭の数は厳しいが、
高さ2mに足場がある方がいいだろう。」 ハルナ
「う~ん、じゃあ上の杭は3mおきかな~? 最後の2mはロープで降りるとして。
これなら上の杭から腰につなげたロープを作業ギリギリすれば、
万一足を滑らせても水の中には落ちないかぁ。」 ウサ
同様に(0,1)と(0,2)、(1、2)、(2,2)、…、(9,2)と(0,3.5)、(3,3.5)、(6,3.5)、(9,3.5)です。
1時間半ほどで作業が完了し、ウサは池の反対側へ渡るのでした。続いてハルナも無事通過。しかしアスハが池の真ん中まで来た時、突然池の中から黒いゴム人間が4体、大きなハンマーを持って現れます。アスハの足元に殺到し、ハンマーで殴りつけてくるのでした。
「アスハさま!」「アスハ!」「あっちゃん!」 サクラ、ハルナ、ウサ
「(ん?最後のも私の事かな?)
…2mあるのでギリギリ届かないです。
それより稲妻は効かなさそうですね…。そうだ…。」
鞄からランプ用の油を取り出し、足元のゴム人間に降りかけるアスハ。
「ウサさん、たいまつを投げて下さい…です。」
「そっか! よ~し、私も!」
ウサがたいまつをゴム人間に投げると、彼らと水面が燃え始めます。さらにウサも油瓶を取り出して、杭のロープに取り付こうとします。
「あっ!?」
ゲーム開始前。
「池の中央のゾンビに注意が集まったところで、第2の罠発動。
そして増援ですわ☆」 リコ
突然、暗闇に覆われるハルナ達。
「…ゴムの焦げるクサイ臭いと熱気。
火が消えたわけじゃなく、魔法の暗闇ですね。
だったら、光の魔法で相殺できるかも…です。
…………………………“灯光”」 アスハ
暗闇が取り払われ安堵したのも束の間。
「サクラ、後ろだ!」「ハルナさま、後ろぉ~~~!」「にょろん?」「えっ!?」
ハルナとサクラの背後に、それぞれ2体のゾンビが忍び寄っていたのでした。
「サクラ! 杭に登れ!」
そう言いながら、自らもウサの後を追って、杭に登り始めるぱるなさま。
「重さが集中するとマズイから、1人ずつ別の杭に乗って!」 ウサ
ハルナとサクラが杭を登って行くと、それを追うようにずるずると水の中に入って行くゾンビ達。
「やはり動きは遅い。それに杭を登るほどの知恵や器用さはないか。」 ハルナ
「の~みそ腐ってますからねぇ~☆」 サクラ
「…ゴム人間もゴムに穴が空いて、どうやら中身はゾンビの様です。
それに後から来たゾンビはゴムを着ていませんね。
チャンスです。…………………………“小さな稲妻”」アスハ
半身を水から出して、びりびりと悶えるゾンビ達。ゴムゾンビはそれで沈みます。残るゾンビもウサの油と放火、杭の上から槍でざくざく刺すサクラによって沈むのでした。
「アスハが素早く暗闇を解除してくれたから良かったが、
一歩間違えると危なかったな。」 ハルナ
「水中や暗闇でゾンビに取り囲まれるなんて、
想像したくないよ~。」 ウサ
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