8 竜と火山の迷宮4
「これはまたキツイ…です。」 アスハ
「黒い水溜りですゎねぇ。
私、水の中に入るのなんてイヤですゎ。」 サクラ
迷宮を進むハルナ達を、通路いっぱいに広がった池が阻むのでした。
「そうだな。
何がいるか見通せないという事は、何かが潜んでいて不意打ちをくらう可能性がある。
その上こちらは、水中や足を水に取られてでは、戦うのも逃げるのも難しい。
さらに装備を水に浸けてしまったら、食糧などは食べれなくなるし、
濡れたままでは熱を奪われて体力を消耗する。
かと言って、抜けてから火を焚いて乾かしていたら、
別の脅威を呼び寄せる事になるかもしれない。」 ハルナ
「じゃあ、汲んじゃって、空にしちゃうのはどうかしら?」 サクラ
「無理じゃないかな~。私達が持っている水筒で2Lの水が汲めるとして、
路の幅が6m、水溜りの奥行きが10m、仮に深さを1mとしても、
3万回は汲まなきゃいけないでしょ。1分で汲んでどこかに捨てて来れるとしても、
4人で休みなくやってもざっくり5日はかかるよ~。」 ウサ
「あっ、ウサさま、け~さん早~い☆
頭いいんですね~♪」 サクラ
「ん? 軽くバカにしてる?^^
これでも理系よ?」 ウサ
「とにかく、サクラ。その槍で水の深さを測ってくれ。
何が飛び出すか分からないから用心しろよ。」 ハルナ
「はぁ~~~い☆」 サクラ
「…待つです。今、水が揺らぎました。
…ちょっと離れていて下さい。
本来1体にしか当たらない魔法ですが、今なら水を伝わって、
…………………………“小さな稲妻”!」 アスハ
ばち、ばりばり。
アスハの指先から小さな稲妻が迸り、池へと放射されます。しばらくして体長20~30cmほどの魚が何匹も浮かんでくるのでした。
「肉食魚か、見えない水の中から攻撃されたら、
厄介な相手だったな。」 ハルナ
「これで、池に潜んでいる敵は倒したのかな?」 ウサ
ゲーム開始前。
「池に肉食魚って普通じゃない?」 姫子
「もちろん、肉食魚はいわばフェイント。
真打ちは池の中央の金属の棺に隠れているゾンビx4。
しかも水中工事用の高電圧耐電スウェットスーツを着用していて、電撃無効。
スウェットがあるから噛んだり、引掻いたりは出来ないけど、
その分重量級のハンマーを持たせてあるわ☆
二人通過したところで棺が開いて、襲ってくるの。
動きの遅いゾンビだけど、半身水に浸かった状態では、
逃げたり、避けたりも難しいでしょう。うふふふふふっ♪」 リコ
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