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北東寺榛名と奇妙な世界  作者: 石表
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占いの勝利者

「(………いけませんね。

 だいぶ魔力を減らしたとはいえ、

 まだ2~3回は奇跡を起こす余力を残してそうです。)

 エンゼルさん、どうやら貴女の予言の方が優れている様です。」 占い師アスニア


「あははははははっ、やっと分かったのぉ~~~?」 死の予言者エンゼルクリーム


「ハルナさん、これは私の形見になりそうです。」


そう言うと、大地の僧侶ハルナの方に水晶玉を転がすアスニア。


ころころころ。


「ばっかねぇ~~~、その女だってすぐに死ぬわ。

 そう、予言に出ているもの。」 エンゼル



「(とにかく、彼女に殺されながら生き残らねばなりません。)

 ………私についての予言はどうですか?

 なるべくなら火に焼かれるとかよりも、

 喉が詰まるくらいの方が良いのですが………。」 アスニア


「へぇ~~~、苦しそうだけど、そんなのがいいの?

 そうね、そうね、そんな予言が出るかもしれないわ。

 ええ、あなたは喉が詰まって窒息するわ、私の予言よると。」 エンゼル


「………ぐぅっ!?

 (舌が巻き込んで喉に詰まった!

 息が出来ません。

 人は肺の酸素が無くなれば、僅か数秒で脳に重大な損傷が出始めると言います。

 これを凌がなければ………。)」 アスニア


「アスニア!?」 ハルナ


 喉を抑えて倒れ込んだアスニアは、ばたばたともがいた後、エンゼルに背を向けて動かなくなります。良く見るとその喉元には一本の棒が刺さっています。



「あ~~~あっ、最後に残っちゃったわねぇ~~~。

 怖いでしょう?恐ろしいでしょ?泣きそうでしょ?

 死にたくない?

 でも、ざぁ~~~んねぇ~~~でしたぁ~~~。

 貴女の死は決まっているのよ、私の予言によれば。

 そう…。」 エンゼル


アスニアの水晶玉を拾って立ち上がるハルナ。



「すぅ~~~はぁ~~~すぅ~~~はぁ~~~~。

 (………ギリギリでしたが、

 頸動脈を避けて気道にストローを刺す事が出来ました。

 これで喉が詰まっても呼吸出来ます。

 そしてその水晶玉には、エンゼルさんの過去をサーチしたデータをセーブ済みです。

 あとは、ハルナさんが彼女を追い込めれば………。)」 アスニア


水晶玉を拾い上げる一瞬で高速に映し出される映像が、ハルナの頭脳にエンゼルさんの半生をインプットするのでした。


「私の死が決まっているのならば、祈る時間くらいはもらいたいものだな。

 私の事を、みなの事を、世界の事を、そしてお前の事を、

 例え燃えながらでもゆっくりと。」 ハルナ



「つくづくおかしな死に方を望む女たちね!

 でも、そうね、そうね、願いが叶うといいわね。

 もうすぐ終わりなのだから。」 エンゼル



炎に包まれるハルナ。


ぶん


がしっ


一瞬でエンゼルの背後に回り込んだハルナは、後ろからがっしりと羽交い絞めにします。


「ゆっくりと祈らせてもらおう。私の事を、お前の事を。

 お前の予言が当たるなら、私達はもうすぐ終わりなのだから。」 ハルナ


「きゃぁあぁ~~~~~~~~!?

 熱いわ、熱いわ、離れなさいよ、離れなさいよ!」


自分の身に付いた炎にパニックを起こすエンゼル。しばらくして炎は消え、ハルナが腕を放すのと同時にずるりと地に倒れ伏すエンゼル。



「どうやらお前の予言も外れたようだな?」


顔の煤を拭き取りながら、エンゼルに詰めよるハルナ。


「いやぁ~~~~~~~、そんな事って、そんな事って…」


両掌を見ながらガクガクと震えて狼狽するエンゼル。その時、ぴくりと動くS戦士ブラックサンダー(以下BS)。


「お前には同情する、哀れにも思う、違う生き方をさせてやれるならそうしたいとも思う。

 お前は純粋だ。

 だが、無邪気ではない。決して。

 そう、お前は邪気そのもの。純粋な悪意の塊だ。

 お前がしてきた事は決して許されない。

 世界はお前を許さない。

 お前は今ここで滅びねばならない。」 ハルナ


「うぅわぁあぁぁぁ~~~~んんんっ!

 死ぬわ、死ぬわ、あんたなんか必ず!」


泣き叫ぶエンゼルの肩をがっしりと掴んで引き起こすハルナ。


「そう私は死ぬ。

 ………………………だが、今じゃない。

 私の見た未来を見てみろ!

 これが真実の未来!

 世界の意思!

 私が世界の意思だ!」


 ハルナの心を覗き、真実の近未来を見るエンゼル。そこではぬるりと立ち上がったBSが、背後から巨大な斧を振り下ろし彼女を骨の髄まで断ち切るのでした。

 でも本当は、真実の未来などエンゼルにはまるで関係が無かったのです。なぜなら彼女の力は真実の未来を彼女の妄想の偽りの未来に書き換える力。どんな真理も真実も彼女の力を脅かす事はできないのです。

 しかし彼女は知りませんでした。彼女は自分が真実の未来を見て予言するのだと思い込んでいたのです。だから、ハルナの心を通して真実の未来を見てしまった時、それ書き換えようなんて思いもしなかったのです。



 そこはエンゼルの家でした。でも全く違っています。いつも冷やかな目で見下ろす姉達の顔は笑顔に溢れ、陰鬱な顔しか見せない父は微笑みを返し、一度として顔を見せなかった母は、その彼女と瓜二つの美しい顔に愛を浮かべて見詰めています。そこではエンゼルは幸せでした。



エンゼルが最後に見た物は、偽りの未来ではなく偽りの過去でした。そして真実の未来がやって来ます。


だん。

お読み頂きありがとうございます。

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