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北東寺榛名と奇妙な世界  作者: 石表
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怨念の巨人

 これはプラム城に囚われていた怨霊達を解き放ってしまい、辛くも城を抜け出た大地の僧侶ハルナ達のお話です。ハルナとS戦士ブラックサンダー(以下BS)が城壁に囲まれていたシュネーバルの街まで戻ってみると、もはやそこに城壁も無く、まともに建っている建物すらない程、破壊し尽くされていました。ほんの数週間前まで活気に溢れていた街の変わり様にショックを受けながらも、街の調査に踏み込む一行。しかし、倒壊した建物の隙間の影から、昼間にもかかわらずのっそりと現れる一体の怨霊がいたのでした。


「こいつ、実体化しているのか!?

 …さらにぐんぐん…。」


元々2mを超える大男の怨霊でしたが、次第に膨らんでいく怨霊。見上げるハルナ。


「もぉ~~~ん、ばぁ~~~ん(^0^)」 奇声を上げる怨霊、いえもはや巨人。


「60mはあるぞ。そうか門番の怨霊か。

 元々の巨漢ぶりが怨霊化で増強され、超大型怨霊巨人になったな。」 BS


「ええっ!? 何ソレ?

 確かにそれっぽいけど…。それでいいの?

 ねえったら、ねえ!?」 ハルナ




その頃、天空の城。


「魔王様、これをご覧下さい。」 羊執事




 巨人とハルナから数百km離れたある館の中、執務机の上で頬杖を突く一人の女性の姿があります。その横には彼女のスタッフと思しき一人の男性と彼の机もありました。そこに一人の兵士が太った壮年の男を伴って入って来ます。


「領主さま。村長を連れてまいりました。」 兵士


「領主さま、何とぞお許しを~。」 村長


「それで…どんな罪状だったかしら☆」 女性


「街の復興事業、及びその後の公共事業から金貨五千枚を横領しております。

 国の定める法によれば、金貨五千枚の返却、横領と同額の罰金、

 さらに金額が膨大な為、本人の死罪も検討せねばなりません。」 スタッフ


「まあ☆

 それで…村長さんが来る前は何について話し合っていたんでしたっけ?」 女性


「領地を横断する商道の舗装、および商道に隣接する山の斜面の整備でございます。

 全部で金貨一万八千枚が必要ですが、この財源がございません。」 スタッフ


「まあ☆

 一万枚の臨時収入は助かるけれど…。

 村長さんが死罪になった場合の財産はどうなるのかしら?」 女性


「はっ、罰金を払った後は、彼の親族の物となります。」 スタッフ



ここで、それまで青ざめていた村長の顔に、若干色が戻るのでした。


「領主さま。

 この私、今回の件で深く反省しており、

 もし叶うなら何としてもご領地のお役に立ちたいと考えております。

 差出がましいとは存じますが、私に善行を積む機会と、

 八千枚の寄付をさせて頂けないでしょうか?」 村長


「そぉ~ねぇ~☆」 女性


縋るような目で女性を見る村長。


「衛兵、連れて行きなさい。

 1週間後に刑を執行します☆」 女性


がび~~~ん


「ああ~~~っ、領主さま~~~、お慈悲を~~~。」 村長



「村長の部屋の窓から見える所に、絞首台を立てなさい。

 丁度6日で完成するよう、ゆっくりとね☆」 女性


「死刑になさるのですか?」 スタッフ


「そんなもったいない☆

 彼は元々ない所にお金の流れを作る才能があるのよ。

 その才能と財産で善行を積む機会を作ってあげなくちゃ☆

 そうね。南の沼地に貿易管理局を作って、彼をそこの局長にしましょう。」 女性


「あの、あそこは沼ばかりで産物も無く、

 貿易が出来るような物は何もありませんが?」 スタッフ


「きっと彼なら何か新しい産業を発明てくれるゎ☆

 いつだって国を潤すのは、勤勉な労働者でもなく、政治に長けた官僚でもなく、

 才能あふれる起業家なのですから☆

 一週間、絞首台を見ながら反省させたら、すぐに赴任させましょう。

 もちろん寄付は大歓迎だわ。」 女性



再び天空の城。


「これは、………サクラさん。」 天空の女王、魔王アナスタシア


「いえ、彼女と共にある剣が問題です。」 羊執事


「これは剣の王、魔王ムサシの物かしら?」 アナスタシア


「はい。

 "剣のマスターソード"と呼ばれ、当代一の剣の才能を持つ者以外は、

 触れれば呪われるという知性ある剣です。」 羊執事


「彼女が呪われているのか、………新たな魔王、

 ………剣の王になったのか確認しなければいけませんです。

 ……………………………………………………"テレポート"」 アナスタシア




「あら、ここはどこかしら☆

 …おっき~~~い。」


突如、巨人の前に現れたサクラは、それを見上げて感嘆するのでした。


「サクラ? どうしてここに!?

 兎に角、そこは危ない。その怨霊から離れるんだ!」 ハルナ


「あら、ハルナ☆

 これ幽霊なんですの? すばらしいゎ~~。

 ねぇあなた、私の領地で働かない?

 月給銀貨三枚、一日18時間労働、年間休日40日で如何かしら?

 幽霊だったら、ご飯もいらないし、疲れないからよろしいでしょ~~~?

もちろん、人権なんて言葉はご存じないわよね☆」 サクラ



「もぉ~~~ん、ばぁ~~~ん(`⌒´メ)」


サクラの上に足を踏み下ろす巨人。


「あら☆

 待遇に不満でもあるのかしら? あらあら、あらあら☆」


 潰されたかに見えたサクラは、巨人の足の下から腰を屈めて出てきます。良く見ると、巨人の足の裏には剣や槍、斧など無数の武器が生え、地面まで踏み下ろせないでいたのです。


「ご縁が無かったのかしら?とても残念だわ☆

 ん? エカチェリーナちゃん? 貴女を上に掲げるの?」


独りごちるサクラは、剣を頭上に掲げます。すると剣がぐんぐん大きくなって、ついに100mを超えるのでした。


ずんばらりん。


「もぉ~~~ん、ばぁ~~~ん(T∇T)」



三度、天空の城。


「………もういいわ。戻しましょう。

 これは…………考えないといけませんね…………。」 アナスタシア

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