7 竜と火山の迷宮3
「はぁ~、饅頭うまいにょろん。」 ハルナ
「食べてるし^^
っていうか、食べられるんだソレ。」 ウサ
「まあ、わたくしまだ頂いておりませんわ。
追いましょう。」 サクラ
「…だから勢いで追ったらキケン。
…1人で残る方がもっとキケン…仕方ないです。」 アスハ
がこ。ばったん。
続く悲鳴。饅頭軍団を追う途中、石畳が真ん中からぱかっと割れて全員落ちてしまいます。5mも落下し、大ダメージを受ける4人。ハルナの治癒魔法とヒーリングポーション(魔法の傷の治療薬)で何とか回復するものの…。
「や~ん、全身粉まみれですぅ~。」 サクラ
「…これ、きっとあの饅頭の粉…です。大量に堆積してますね。
何ででしょう?」 アスハ
「深いな。そんな事より、今はとにかく登らなければ。
この中で一番身軽なのは、ウサか。頼むぞ。」 ハルナ
「ガンバってみるけど、登れるかな~。」
裸足になって穴の角で両方の壁に手足をつっぱり登るウサ。何度か滑ったものの、上まで登る事ができました。そして、登りきったところでウサの見たものは。
「ぎゃあ~~~っ(落下するウサ)!
む、虫!虫の大群!黒い奴!」 ウサ
「どうなさいましたの?」 サクラ
理由はすぐに誰の目にも明らかになりました。それは小さな黒い虫がびっしりと壁を覆い、穴の中へと降りてくるのです。穴の底へと降り切った虫達は明らかに、4人目指して這い進んできます。
「何ですの、この虫達!?」 サクラ
「…アリですね。今分かりましたケド、あの白饅頭は迷宮の中に天敵がいたのです。
だから自分達の粉をたっぷり積らせた穴に身代わりを誘い込み、
天敵から逃れようとしているのです。」 アスハ
「アリだったら、火か何か追い散らしたらいいんじゃない?」 ウサ
「この白い粉。可燃性じゃなければいいんですケド。
もし小麦粉と同成分なら下手をすると、粉塵爆発を起こすです。」 アスハ
「アリめ!
普通、饅頭を喰おうなんてするか!?」 ハルナ
「…ていう事になるかもしれませんよ。」 アスハ
「アブナそうなら行くのを止めに致しましょう☆
他にも路はございますし♪」 サクラ
「………、そ、だね。」 ハルナ
「えぇ~~~でも、気になるし。
向こうに何か宝物があるかもよ!?」 ウサ
「その可能性は考えてみたんだが、
第1の迷宮ではロック鳥の背にくくり付けられた宝箱以外、
何も発見できなかった。」 ハルナ
「…しかも、ヒーリングポーションとマジックポーション(魔力を回復させる薬)と、
ウサの持っている短剣だけという、しみっ垂れぶり…です。」 アスハ
「迷宮を作った奴のパターンから考えて、
そんな攻略者を有利にするような物を途中に置くとは思えない。」 ハルナ
「ん~~~、そう言われると、そうかな~。」 ウサ
こうして4人は饅頭をスルーして、迷宮の奥へと向かうのでした。
「くしゅん! どなたか噂してるのかしら?」 リコ
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