偶像の踊り子
古のプラム王国王城を後にした大地の僧侶ハルナ達は、シュネーバルの街への帰路の途中、森の中で一夜を明かします。そして翌朝。
「どうしたんだ、ウサ?
神妙な顔をして。」 ハルナ
「…私、今回の事で戦うばかりが解決方法じゃないって…、
気付いたの。」 赤い腕輪の踊り子ウサ
「まあ、確かに踊りで亡霊の怨念を解くっていうのはスゴかったな。」 ハルナ
「だから私…。」
そう言って、地面にそっと魔法の短剣を置くウサ。
「私?」 ハルナ
「私、この世界でアイドルになるって決めたわ!」 ウサ
「はぁ~~~!?」 ハルナ
「私もそれがいいと思うよ。」 仮面の王子エメラルド
「なぜ、即同意できる?」 S戦士ブラックサンダー(以下BS)
「これから違う道を行くけど、私は私の戦いを頑張るから、
ぱーちゃんもぱーちゃんの戦いを頑張って!」 ウサ
「よし、まずはアイドルを目指して特訓だ!」 王子
「はぁ~~~????」 ハルナ
所変わって別の国の王宮。貴族たちが集まる晩餐会の会場。
「僕の援助でキミの領地の治水工事は順調に進んでいるよ。
さあ、僕の妻にという話、返事を頂けるかな?」
「まあ、チャララ男爵☆
お陰様で川の方も収まりそうで領民達も安心しておりますわ♪
でも突然のお話で、適当なお返事ができませんゎ?」 黒猫の騎士、女男爵さくらこさま
「いや、突然も何も、もう3か月前から…。」 チャララ
「ちょっと待った~~~!
僕はロック鳥の被害で壊滅した君の街の再建の為、
一年以上前から支援してるんだぞ~~~。
お陰で我が家の家計は大変な事にぃ。
僕の申し出の返事こそ、いい加減してもらわないと!」
「あらあら、アララ伯爵☆
お陰様で街は復興し、それ以上に住民も増えて、
むしろ領地がちょっち足りないくらいでございますわ♪
このご恩には何とお礼を申し上げたら良いか。
本当にこの感謝の気持ちは言葉にも出来ないほどでございます。
それでお申し出の件ですが…。」 さくらこさま
「やあ、我が王国のアイドル、黒猫の騎士ちゃん。」
「まあ、これはこれはフシャール公爵様☆
そんなアイドルだなんて、とんでもございませんわ♪」 さくらこさま
「それはそうとアララ。ちょっとこっちに来給え!」 フシャール
「これはフシャール公爵。
申し訳ございません。今、少し取りこんでおりまして…。」 アララ
「いや、君に拒否する権利はないんだ。この書類を見給え。」 フシャール
「一体何事でございます…げっ!?
これは何かの間違いでございます!
私はそんな事は決して…。」 アララ
「衛兵、アララ伯爵を拘束しろ!」 フシャール
拘束されるアララ伯爵。
「放せ~~~、無実だ~~~!」 アララ
「一体どうなさったのですか?」 さくらこさま
「アララ伯爵に横領の嫌疑がかかっていてね。もし事実なら伯爵領は取り潰しだな。
だがそうなると彼の領地を誰が管理するか…そうだ猫ちゃん。
キミはアララ伯爵領の隣だし、ついでに彼の領地も面倒を見てくれないか?
う~ん、そうなると男爵というわけにもいかないな。
アララ伯爵の爵位、キミに譲渡できないか私から王に少し働きかけてみよう。」 フシャール
「まあ何てことでしょう!?
アララ伯爵には大変お世話になっていたし、とても良い方だと思っておりましたのに。
ええ、分かりました。
伯爵のご領地はご恩返しの意味でも私が管理させて頂きます☆」 さくらこさま
「ところで今度、我が領に100haの花の咲き乱れる庭園を造ってね。
興味があれば見に来ないかい?」 フシャール
「ええ、ぜひ伺わせて頂きますわ☆」 さくらこさま
「(くっそ~~~、公爵め。
花園か?花園を造ればいいのか!?)」 チャララ
再び所変わって、ウサの立ち去ったハルナのキャンプ。
「なあ、幽霊退治押しつけられてね~?」 BS
「…。」 ハルナ
お読み頂きありがとうございます。
よろしければ評価を押していただければ幸いです。