亡国の王女2
プラム城から一陣の黒い旋風が噴き出し消えた後、その一帯に低い地鳴りが響きます。それが地震となって大きく揺れ、そして収まった時でした。
うぉわぉ~~~~~~~~~~~~んん
城から無数の怨霊が溢れだし、広がって行きます。
天空に浮かぶ城の一室。
「パターンレッド!
大沼の魔王マテレベクヮニとの戦線上に敵性霊体出現!
その数888です!!」 羊執事
「…ダメでしたか。
第一防衛ラインを放棄、第二防衛ラインに結界を展開。
急がせて。
…666の方が終末っぽいので、200体くらい負からないかしら?」 天空の魔女・魔王アナスタシア
「第一防衛ライン上に4つの街と13の村、
合わせて2000人余りがいますが、よろしいのですね。」 羊執事
「…既に変えられない事象を思い煩っても仕方ありません。
代わりに第二防衛ラインを死守します。
それにあの悪霊たちは全ての生者の敵。
沼の魔王側も損害を免れないでしょう。
…ハルナさん達なら、きっと無事…信じていますよ。」 天空の魔女
「ところで今抱いてらっしゃるぬいぐるみは、
一体何のモンスターでございますか?」 羊執事
「…ダイオウグソクムシ。
…表参道のお店のオンラインショップで買ったの。
…今が旬。」 天空の魔女
「(旬とかあるんだ…。)」 羊執事
1000年前。眩しい太陽の光に照らされ、緑溢れるプラム王国。
ぱーっぱらーっ。
「おお、あのラッパの音は王女様の儀仗兵!」 国民A
「プルーン王女様がいらっしゃったんだ!」 国民B
「称えよ、称えよ、称えよ。王女様のお美しさを。
喜べ、喜べ、喜べ。王女様の健やかなる事を。」 儀仗兵。
「プルーン王女様ぁ~。」 国民C
やんや、やんや。
1000年後。深夜、古のプラム王宮の廃墟。
ぼおおおっ、ぼおおっ。
「何だあの地の底から響く様な恐ろしい音は!
角笛? …いやラッパか?
まるで魂を引き裂かれる様だ。」 大地の僧侶ハルナ
「嘆け、嘆け、嘆け。王女様の死を。
恐れよ、恐れよ、恐れよ。世界の終りの笛の音を。」 儀仗兵の怨霊
「ま、王女が死んだのは1000年前だがね。
それに王女が死んだくらいで世界は終りはしねーよ。
こいつら6人…いや、6体か。
それにしてもこの音、耳を塞いでも聞こえてくるんだな。」 S戦士ブラックサンダー
「あああああっ、いやぁあああぁああ!!
王子!誰か助けて!もう私ダメ~~~!」
耳を抑えて転がり回る赤い腕輪の踊り子ウサ。
「しまった!
速さを生かした剣撃や低レベルの魔法を使えるとは言え、
踊り子は元々非戦闘ジョブ。
防御力は物理的にも、魔法的にも弱い。
この音を何とかしないと、ウサがまずやられる!」 ハルナ
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