亡国の王女1
「プルーン姫。
どうやら間に合ったようだね。」 エメラルド王子?
「ドレイク王子。私達の1000年の愛の成就が、
呪いに縛られた臣下達を解き放ってくれるわ。」 プルーン王女の幽霊
「行き倒れ、地に縛られていたドレイク王子の霊。
エメラルド王子に取り憑く事でプルーン王女の霊に会えた。
これで、プルーン王女の為に世界を引き裂いてでもドレイク王子を探そうとし、
悪霊となった彼女の臣下達を昇天させる事が出来る。
そう、プルーン王女の1000年の思い、ただ一度のキスで。」 大地の僧侶ハルナ
「めんどくせー状況だな~。」 S戦士ブラックサンダー(以下BS)
プルーン王女の霊に体を寄せ、その唇を近付けるエメラルド王子。ぐっと眉間に皺を寄せ、下を向き目を閉じる紅い腕輪の踊り子ウサ。
「やっぱりだめー!
その体は私の王子、エメラルドなんだから!」
突然飛び出して、エメラルド王子の体を引き離すウサ。そのとき満月は天頂を過ぎ、呪われた日からちょうど1000年の経過を告げるのでした。
うぉおおおおぉぉぉん
一瞬で干からび、骨へと変わるプルーン王女の霊。そして、渦を巻いて消え去るのでした。
「なんばしよっとね~ん!?
やっと災厄が避けられる所だったのにぃ!」 ハルナ
「ま、大惨事確定だな。」 BS
3日前。白薔薇城から森を抜け、街へと帰ろうとするハルナ達一行。そのとき、誰も気付かなかったのですが、一本のバナナの皮が道端に落ちているのでした。エメラルド王子(以下王子)と腕を組んで浮かれるウサ。
つるっ
そんな彼女は見事にバナナに足を取られ転ぶのでした。
どん!
転んだ拍子にウサに突き飛ばされる王子。
「うわっ!?」
森の小路を外れ、斜面を転がり出す王子。
ごろごろごろ………。
斜面に空いた穴に転がり込む王子。
ごろごろごろ………。
穴の底でやっと止まるのでした。
「ふむぅ~ん、これも愛の試練か。」
体に着いたほこりを払うと、前髪を掻き上げる王子。そんな彼の前には、1000年近く前の物と思われる古い人の白骨。
3時間後、王子は斜面を登りハルナ達と合流するのでした。
「ごめんなさ~い。
大丈夫だった~、私の王子?」 ウサ
「いや、
私は君の王子ではない。」 王子
「ええっ~~~っ、そんなぁ~~~!?」 ウサ
「何かおかしい気がする…。」
そう言うと両手の親指と人差し指でそれぞれ輪を作ると、手のひらを返す様に手首を上、指を下にしてメガネの様に目の周りに当てるハルナ。
「『聖なる視力』! (ピカーッ)
むぅ!?
王子の身に死者の霊が取り憑いている!?」 ハルナ
「お前、そのポーズなんか変だぞぉ。
ついでに足を開いて、股の間から見たらどうだ?」 BS
「魔法に必要なんだ!
余計なツッコミは止めてもらおう!」 ハルナ
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