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北東寺榛名と奇妙な世界  作者: 石表
61/81

緑玉の王子5

「ほらほらもっとお口に入るでしょ。えいえい。」


「うえ~~~ん。もう入んないよぉ~~~。

 苦しいよぉ~~~。お口が甘いよぉ~~~。」 紅い腕輪の踊り子ウサ






#############################






 1時間前。1万の蜥蜴人リザードマンを退けた大地の僧侶ハルナ達は、エメラルド王子(以下、王子)との決着を付けるべく白薔薇城へとやって来ました。その城はあと一歩で完全な美しさとなるにもかかわらず、そのひと欠片が足りないが為に不調和とサイケデリックさで頭が痛くなりそうな姿でした。ハルナ達は城門を破り、群がる小妖魔ゴブリンを蹴散らして、特にS戦士ブラック・サンダ―(以下BS)が必要以上に小妖魔をイジメて本城へと辿り付き、大きな鉄扉を開いて中へと踊り込みました。

 扉の中の大広間は奥に左右二つの扉がある以外は、拍子抜けするほど何もありません。そして左の扉は固く閉ざされ空けることは叶わず、右の扉のドアノブの下に毒の塗られた棘を発見したウサは、棘に触れないよう慎重にノブを回して扉を開けるのでした。


「気を付けろよ。」 ハルナ


「大丈夫。扉の向こうも床にも壁に罠は無いみたい。

 これも王子の愛よね~~~。」


 そう言って足を踏み出したウサ。扉をくぐったところで、ずどん。扉のすぐ後ろに上から石壁のシャッターが降り、ハルナ達と分断されてしまいます。ウサは仕方なく通路の奥へと進み、誘い込まれるようにやってきた部屋でチョウチンアンコウを人型にデフォルメした様な魔物に出くわします。

 一方、ウサが右の扉へと消えた後、開いた左扉の奥へと進むハルナとBS。そこは窓の無い屋内にもかかわらず、壁自体が淡く発光しているのでした。そして、やはり誘い込まれるようにやってきた部屋で、淡い部屋の光の中に浮かぶ暗黒。その暗黒の中で青白く燐光を発するのは顎の大きな魔獣の骸骨でした。



「何よ、アンタ!」


 ウサがそう言うと、アンコウは手をコネ始めます。警戒するウサ。しかし、その手の中からは一つのおはぎが現れます。


「お一つどうぞ。」 アンコウ


「え、罠じゃないの?

 でも美味しそうだから、一つくらいならいいかしら。パク。

 あら美味しい。塩が効いてて絶妙ね。」 ウサ


「お口に合ったようで良かったですわ。

 もひとつどうぞ。」



 そう言っておはぎを次から次へと出すアンコウ。大喜びで食べていたウサでしたが、次第にお腹も張り、お口も甘くなって来ます。


「も、もういいよ。

 そんなに食べれない。」 ウサ


「何ですって!?

 もっと食べて、ねえもっと食べてよ。ええいっ。」


 手の間から大量の餡子を吹き出すアンコウ。餡子が体にへばり付き、次いで部屋の壁に磔にされるウサ。アンコウはウサの口を無理矢理開かせると、おはぎを捻じ込んでくるのでした。



(冒頭会話挿入)



 一方、闇に包まれた骸骨に襲われるハルナ達。骸骨はハルナ達を噛み砕こうと、その大顎で迫ります。BSの鉄の剣と、ハルナの魔法の鎚で反撃しますが、それらの武器は魔物をすり抜けてしまいます。逆に、魔物の爪に触れられたBSの腕は酷い怪我を負うのでした。



その頃、水晶を見ていた魔王アナスタシア。


「通常の武器の効かない魔物もその身を隣接する魔法界に置いているならば、

 魔法の武器で傷付けられるハズです。ぱるなさん達を傷付けられるのだから、

 幻影でもありません。一体どこにあの魔物はいるのでしょう。



 ………もしや!?

 光とは波動と粒子の両方の性質を持ちます。

 それは尽き詰めれば極小領域の空間自体を伸縮させるエネルギーの伝搬。

 あの魔物の正体が光だとすると、他の光で干渉、

 その振幅を弱めダメージを負わせる事が出来るハズです。


 あの暗黒は他の光に対する防御癖。そして壁の光も善意ではなく、

 他の光を作らせない様にする罠。

 ドリルマン!」



 その時、ハルナ達が戦っている部屋のすぐ外の通路の角で床に大穴が空き、ドリルが現れます。そして、そのドリルの下からはサングラスを掛けてニヒルに笑う一人の男の顔が。


「承知!

 マイティぱるる~~~~~~!

 光だ!松明を使え!」 ドリルマン



「ん? 今何か聞こえたような?

 光だと!?」 ハルナ


 魔物は松明を振るわれると逃げ出します。追いかける二人。そして魔物を追い詰めた部屋では、ウサが餡子に羽交い絞めにされ、おはぎを食べさせられています。


「うーちゃん!」


 ハルナがそう叫ぶより早く、例の魔物がその大きな顎でウサにまとわりつく餡子を食べ始めます。餡子から解放されるウサ。


「まあアナタ。そんなにそのおはぎが気に入ったの?」 アンコウ


 アンコウはどんどんおはぎを出し、顎の魔物はどんどん食べます。ただし、おはぎは顎を抜けると骨の間からぼとりと落ちて行きます。



「こんな素晴らしい人を紹介してくれるなんて、感謝の言葉も無いわ!

 お礼にこの“深海の宝玉”を差し上げます。きっと何かの役に立つわ。」


そう言うとアンコウは提灯の部分から宝玉を外し、ハルナに手渡します。


「え、えっと。

 人じゃないし、それが取り外せるのも気になるし、餡子落ちてるし、

 まあいいやメンドクサイ。

 とにかく宝玉ありがとう!」 ハルナ






###############################





その頃、城の最上階。


「第1層を運命の力で切り開いたか。さすが運命の少女。

 その運命力で残りの3階層も突破して見せよ。」 王子

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