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北東寺榛名と奇妙な世界  作者: 石表
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天空の魔女

「…美味しい紅茶とクッキーです。

 さて、魔王としては一体何から始めたらよいのでしょう?」


 雲の上の何処まで抜けるような青い空を眺めながら、居城のテラスで紅茶を楽しむ一人の女性。白いテーブルの上の銀のプレートには可愛らしい形のクッキーが並び、白い陶器のカップには明るい色のティーが注がれています。


「えぇ~~~っとですね~~~、

 魔王の主な仕事としてはぁ~、周囲の魔王と争って領域を拡張することとぉ~、

 その為の軍備の増強にぃなります、はい。」


傍らに立つヒツジのかぶり物を被せたような黒衣の人物が答えます。


「配下の魔物ですね。

 貴方みたいに元々ここにいた人以外は、どうしたら手に入るのですか?」 魔王


「毎月の行動とイベント、サービスキャンペーンで魔王ポイントを貯めると、

 魔物と交換できます。他にもイベントで手に入る事もありますが、はい。」 羊執事



と、そこへ殺気立った数人の人物が乗り込んで来ます。


「一体、あなた方は誰ですか?」 魔王


その中の一人、禿げ頭で厳つい体格の大男が大声を上げるのでした。


「俺は”嵐の神官”ゼウス(LV160)!

 女神を騙って人を誑かす邪悪な魔女め、

 今、天の裁きを喰らわせてやる~!」


「…騙っていませんが…。」 魔王


続いて、ゆらゆらと形の変わる銀色の杖を持つ女性が悲痛に叫びます。


「私は”水銀の魔法使い”メルキュリア(LV99)!

 貴女の遊戯に巻き込まれて死んだ弟の敵、討たせてもらうわ!」


「…それ、私じゃないです…。」 魔王


さらに、ドリル状のヘルメットにサングラスを掛けたような、奇天烈な男が奇声を発します。


「俺サマは“一撃粉砕”ドリルマン(LV137)だぜぇ~、ドリドリ~!」


「…アナタ、明らかにオチ担当ですよね…。」 魔王



最後に大きな剣を構えた長身の美青年が滔々と語るのでした。


「僕は“戦神の子”アキレス(LV256)。

 決して傷つかない体のせいで、化物扱いされ、忌み嫌われ、

 迫害されていた子供の頃は、この体を恨み、呪った事もあった。

 でも僕はもう迷わない。

 お前を倒しこの地を人類の手に取り戻す!それが僕の生まれた運命なんだ!」


「…アキレス…?」 魔王






##########################






2か月前。


「新七大魔王“天空の魔女”アスハの誕生ね。」


「…これが!?」


レベル6、7、8、9、10、…、99、100、…、700、789。






##########################





魔王の瞳が赤く光ると、紅い怪光線がアキレスのふくらはぎと踵の間を打ち抜きます。


「バカなぁ!

 何故、僕の唯一の弱点を!?」 アキレス


「…分かるなと言う方がムリです…。」 魔王


さらに怪光線が彼の仲間を薙いでいきます。


「うわぁ~!」 「きゃ~!」 「ドリドリぃ~!?」



そして…。


「手下になりますから、命だけはお助けを~。」 アキレス


「えっ、前の天空の魔女は死んでいる?

 そうですか、それは大変な人違いを~。」 ゼウス


「すいません。

 弟とは無関係だったのですね~。」 メルキュリア


「ドリドリぃ~。(平身低頭)」 ドリルマン


「イベントをクリアしたので、

 “止めを刺す”か“配下に加える”を選ぶ事が出来ます、はい。」 羊執事


「こうして手下を増やすのですね。成程成程。」 魔王



「魔王様より今後の方針についてご説明があります。」 羊執事


「前の天空の魔女は流れの怪物を配下に倒させて、

 人々から女神と奉られ、英雄を自分の戦士へと勧誘して来ました。

 私は一歩進んで、怪物を人間の勇者に倒させる支援をして英雄を育成、

 そして育った英雄を配下に加えて行きたいと思います。」 魔王


「ところで魔王様、お名前を伺ってもよろしいでしょうか?」 アキレス


「私はアス…いえ、天空の魔女アナスタシアです。」 アナスタシア


「はは~っ。」 アキレス


「魔王アナスタシア様、ばんざ~い。」 ゼウス・メルキュリア


「やんや、やんや!」ドリルマン



「さて、人間界から見どころのある勇者を探さねばなりませんが、

 貴方達の中で隠密・諜報活動に優れているのは誰ですか?」 アナスタシア


「でしたら、“螺旋の怪盗”ドリルマンです。」 アキレス


ずるっ、魔王の肩が下がるのでした。


「ドリドリぃ~♪」 ドリルマン

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