魔王の夢2
魔王“終焉の騎士”復活の鍵となる少年アスパラガスと、“終焉の騎士”復活を目論むブロッコリー伯爵から彼を庇った大地の僧侶ハルナ。風魔王ゼファーは風となって二人をブロッコリー伯の目の前からさらい、世界の西の果ての孤島にある彼の居城へと連れて去りました。同様にして“終焉の騎士”を封印していた秘宝の一つ、聖剣ブランチュールを持っていた紅い腕輪の踊り子ウサも、煙へとその姿を変えた妖術士カリフラワー女子爵の手によって、ゼファーの城へと運ばれるのでした。
「カリフラワー! 生きていたのか!?」 ハルナ
「ええ。貴女達が壊したのは私の心臓の右半分だけ。
左半分は別の場所に隠しておいたの。」 女子爵
「何故、私達を助けた?」 ハルナ
「“終焉の騎士”に復活されては困るのでね。
ブロッコリーの目をお前たちに向けさせて、 まんまと復活の鍵を盗み出したわけだ。
お前たちはそのオマケさ。」 ゼファー
「どーいうー事?」 ウサ
「私は単にその子を守りたかっただけだケドね。
それで剣の代わりに彼を助けるって、ゼファーと契約したの。」 女子爵
「アスパラは貴女の子ではないぞ。」 ハルナ
「分かっているわ。
でも息子の代わり、っていうわけじゃないけど、
やっぱり放っておけないのよ。」 女子爵
七大魔王は決して互いに友好的な訳ではなく、むしろ互いに世界征服の障害としていがみ合っていたのです。彼らは人間の国とは別に世界を7つの領域に分け、それぞれ拡張を目論んでいます。何故ならある魔王の領域の中では、別の魔王とその配下の魔物はその力を1/10~1/1000に封じられてしまうのです(強い魔物ほど、制限される割合が大きい)。
「だからアンタ最初に会った時、秘宝の探索を邪魔したケド、弱かったのね~。
ん…? アンタの領域ってこの西の果てよね。一瞬カッコいいけど、
もしかして人っ子一人住まないこんな所で寂しん坊さんなの?」 ウサ
「…そんなことないじょ。」 ゼファー
「(何だ今の間は)いや、それよりもアスハは!?」 ハルナ
「もう一人の子は連れて来る理由が無かったわ。」 女子爵
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ブロッコリー伯の館の地下牢。
「…私だけ捕まっちゃいましたね。
まさかこれでゲームオーバーではないですよね。」 青い魔導士アスハ
コツコツコツ。地下牢に響く足音。
「ええ。でもあと1回選択を間違えるとゲームオーバーよ。」
「その声は織田姫子さん。」 アスハ
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