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北東寺榛名と奇妙な世界  作者: 石表
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伯爵再び2

 深夜、ブロッコリー伯の屋敷へと戻り、開かれていた開かずの扉をくぐって地下室へと降り立った青い魔導士アスハ達。幾つかの罠の仕掛けと魔物達を乗り越えて、最奥の間へ辿り着いた時、祭壇の上で眠るアスパラガスと、禍々しいナイフを持ったブロッコリー伯の姿を見つけるのでした。



「何をしている!」 大地の僧侶ハルナ


「おや、余計な処を見られてしまいましたね。

 まあいいでしょう。貴女方には随分と協力して頂きましたし。

 少し説明しましょう。」 ブロッコリー伯



 事の発端はアスハ達が、火山の洞窟からラング・ド・シャの秘宝を持ち出した時でした。このとき、洞窟に封じ込められていた魔王の意思が目覚め、ブロッコリー伯に知識を与え、伯は魔王を復活させる代わりに同化してその力を得ると言う契約を結びます。

 伯は直ちに魔王の魂が封じ込められたラング・ド・シャの秘宝を探し、アスハ達を屋敷へと招きました。伯は誘拐された息子の救出を依頼すると同時に秘宝を聖剣ブランチュールと交換します。実は聖剣は魂の封印の蓋の役割をしていた為、秘宝から引き離す必要があったのです。

 そして魔王の魂を復活させた伯は、最後の封印解除の為、魔王の肉体の眠るこの祭壇で、連れ戻された肉親である息子を生贄に捧げようとしているのでした。



「う~ん、話がごちゃごちゃして頭がこんがらがりそうだけど、

 つまり騙していたのね!?」 紅い腕輪の踊り子ウサ


「いつ、私が騙したね?

 仕事を依頼し報酬を渡した。それだけだろう?」 伯

 

「貴方は…、自分の子を平気で殺せるのですか?」 アスハ


「私だって辛いさ。

 赤の他人千人を殺すよりも辛い事だ。

 だが、やらねばならん!」


そう言って血の涙を流すブロッコリー伯。



「この感じ…、

 セロリー伯の全てを燃やし尽くすような冷徹な意思と苦悩よりも、

 ずっと強い!?」 ウサ


「カリフラワー女子爵の闇に引きずり込むような執念と悲しみよりも、

 …もっとに恐ろしいです。」 アスハ


「何か、全てを無に帰す終焉の前にいるような、

 そんな絶望感を感じる…くっ!」 ハルナ



その時ウサは、祭壇の間の隅に聖剣ブランチュールを見つけます。


「あれで…、流れを変えなきゃ!」


飛び出すウサ。


「もう遅い。この子の命で、最後の魔王“終焉の騎士”は甦る!」


ナイフを振り下ろすブロッコリー伯。


「させるかーっ!」


アスパラガスとナイフの間に体を滑り込ませるハルナ。ナイフがその背に突き刺さる瞬間…。



「ぶわはははははは、ぶわは、ぶわは、

 俺サマは一陣の風、速い、速い、すぴ~でぃ~で、らぴどりぃ~、

 速ない、速ます、速る、速れば、速い、速すぎるんだぁ~。」


突風が吹き去った後、乾いた音を立てて祭壇に突き立てられたナイフ。アスパラガスとハルナはどこにもいません。



「何が起こったの!?」


そう言うウサの背後で黒い煙が湧き立ちます。


「その剣をしっかり持っていなさい。」


 煙の中から伸ばされた白い女性の手がウサを掴むと、煙がウサと聖剣を包み込み、そしてその煙も消え失せるのでした。

お読み頂きありがとうございます。

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