光の森の魔法使い7
ひび割れて行くカレンタインの石像。しかし、剥がれ落ちる石の欠片の内側からは眩しい程の光が漏れ広がり、周囲を包み込みます。
「何? 何なのこの光は!?」 ウサ
「これは魔法を使う際に魔術師の体がほんの僅かな燐光を発する、
アレと同じ物です。」 アスハ
「僅かな燐光!? 私達、完全に光の中にいるじゃない!
何かの大魔法!?」 ウサ
「いえ、恐らく普段意識的に隠蔽している魔力を現しただけ。
…これが光の魔術師の魔力…。」 アスハ
「あの娘の魔力ではわしを石化など出来はせん。
冷静に考えれば分かったハズなのだが…。」
やがて石が剥がれ切った時、光の魔術師がその姿を現すのでした。
「でもさ、表面の石が剥がれたみたいだけど。
ちょっと小さくなっちゃったのかな!?
それとも石化の時に少し膨張してたのかな!?
気になるぅ~~~っ。」 ウサ
2時間後、麻痺を解かれたハルナ、JBと共に弟子の弱点を教える事を渋るカレンタインを説得し、その心臓が女子爵の館の地下の鉄の箱に入っている事を聞きだすのでした。
「それで…彼女はどんな人物だったんだ?」 ハルナ
先代の子爵に預けられた彼女は聡明で優しく、10年後に領地に戻ると家督を継ぎ、魔術で領民を助け、領民からも慕われていました。しかし自分の子を幼くして亡くすと、館に引き籠る様になり、やがてその館を幽霊が囲み、領民の前に姿を現す事はなくなったそうです。
「どうやらその時に心の平衡を失ってしまったようだ。
落ち着いて見えるが、決して冷静に考えて行動しているわけではない。
いつか目を覚ましてくれれば良いのだが…。」
ふと部屋の隅に置かれた鎚に気付くハルナ。
「そうだ。途中で武器を無くしてしまって。
あれを貸してくれないか?」
「バーチ・ディ・ダーマか…使うあてもないから構わんが。」
「ええっ、ずる~い!私も!!」 ウサ
「…でしたら、私も…。」 アスハ
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