4 怪鳥と迷宮の魔女4
広げられた両の翼で村一つを暗闇に閉ざす程の巨鳥。悠然と飛ぶその姿を、小高い丘の上から凛とした瞳で見据える騎士がいました。彼女が腰に差した小剣を颯爽と抜き高々と掲げ上げると、陽の光を浴びて黄金色に輝いたのです。
「邪悪な異国の魔女と、人々に仇なす異形の怪鳥よ。
今こそここで、悪の根源たる汝らを成敗致します。」 サクラ
1年前。
「イタたたたたっ。ここってどこ?
ジェニー先生と魔物はどうなったの?」 ウサ
「…ここは私の召喚したマンホールの中…です。」 アスハ
「ロック鳥が迷宮を崩落させる瞬間、アスハのマンホールを未来視したので、
とっさに私が二人を引っ張り込んだんだ。」 ハルナ
「あら?お二人はゲームの外の力が使えますの?」 サクラ
「あみぐるみは作れなくなった…です。
それに召喚カードも1回使うと壊れるみたいで、
アレを同じ手で避けるのはもう無理…です。」 アスハ
「北東神拳に必要な超神速はできないし、
“近未来予知”も、しばらく使えそうにない。
何にせよ、作戦がいるな。」 ハルナ
現在。
「なんてね☆ てへっ♪」
小剣で足元の岩に巻き付いたロープを切るサクラ
迷宮崩壊から1ヶ月後。
「は~い、こっちこっち。
1mm以下の精度の工作は出来なくなったけど、
梃子や滑車の基本的な原理を忘れたわけじゃないから、
みんなの力を借りて時間を掛ければこれくらいの装置、楽勝よ!!」 ウサ
ロープを張って木をしならせ、そのロープにひと一人程の大きさの岩を結びつけ、投石器を設置して行くハルナ達。
「それ~~~☆、いけ~~~♪、みんなガンバれ~~~!」 サクラ
4頭の白馬達は、ここでも力仕事にお役立ち☆
現在。
しゅるしゅるとロープがやぶの中に引き込まれます。
……(し~ん)……、びゅん、びゅん、びゅん。
しばらくすると森の中から無数の岩が打ち上げられるのでした。
迷宮崩壊から3ヶ月後。
打ち上げられた無数の岩が、ロック鳥を襲います。
「何よコレ!?ひょっとしてあの子達がやってるの?
いけーっ、ロック鳥。“押し潰し”!!」 ジェニー
ずっし~ん。
岩が発射された辺りの森、半径2kmが押しつぶされます。そこからさらに3km離れた木の枝の上で、腕を組みながらその様子を眺めるハルナ。
「やはり、アレか。
リモートしていてよかったにょろん。」
3ヶ月後。再び投石攻撃の後。
「おかしいわね。あの子達、どこか遠くにいるのかしら?
う~ん、仕方ない。
あの子達がいそうな村を潰していきましょう。」 ジェニー
翌日、近隣の村。
「う~ん、
メゾンカイザーのフランスパンが美味しいです。あむ、あむ☆」 サクラ
「やばいっ、やばいっ。来たわよ~、ロック鳥!」 ウサ
「大丈夫ぅ☆ 20秒でフルスロットルいけますゎ♪
みなさん乗りました? ゴー!!!」 サクラ
19・18・17…(中略)…3・2・1 ずし~~~ん。
押し潰される直前に森に逃げ込むピンクの馬車。
「殺人的な加速だ。」 ハルナ
「うえぇ~~、酔うようぉ、気持ち悪いよぉ~。」 ウサ
「ガブリエルさんはいなくなったけど、
元々のドライビング能力とナイトの“馬術”との相乗効果で、
大変なことになってる…です。ケロケロ。」 アスハ
それから半年の間に3回交戦し、5つの村や街が崩壊したのです。
度重なる投石攻撃に傷ついたロック鳥。ついに1つの岩が致命傷を負わせ、怪鳥を撃墜しました。
「ど~~~だ~~~、参ったか~~~☆
えっへん♪」 サクラ
お読み頂きありがとうございます。
よろしければ評価を押していただければ幸いです。