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北東寺榛名と奇妙な世界  作者: 石表
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魔王の夢

 蒼天の中、どこまでも続く雲海の上を行く浮遊城。その玉座では、城の主が憂いを帯びた瞳で水晶玉を眺めていました。水晶玉に映るのはその雲海の真下、雷雲に覆われた暗闇の中を進軍する魔物の群れ。


「………射程距離に入ったようですね。

 雷系最上位魔法……………………神の雷。」 城の主


 魔物の進路の先にある王都。その城の一番高い塔に一筋の稲妻が落ちて、屋根を破壊します。しかし、続けて1つ2つと稲妻が落ち続け、城のそこここが粉砕されます。轟雷に耳が塞がれますが、それでも稲妻は落ち続け同時に幾本もの光の筋が見えます。光の筋は広がって光の束となり、光の柱となって城を、そして都市を覆い尽くします。やがて、光と音が消えた後、かって王都があった場所には直径10kmに及ぶクレーターが出来上っていました。


「世界征服まであと少し…………」 城の主


 城主が呟いたその時、カツーン、カツーンと石畳に足音を響かせて、玉座の間の隅の闇から一人の少女が進み出て来ました。


「神話では悪徳の都市ゴモラを滅ぼしたと言われる神の雷。さすがですね。

 貴女が7大魔王の一人、蒼天の魔女を倒して、自らが蒼天の魔女となってから3年。

 順調ではありませんか。」 少女


「…ハルナさん達には少し気の毒な事をしました。」 城の主


「仕方ありませんわ。

 現実世界に戻る方法は2つのみ。

 7大魔王を倒して、この世界の神になる試練に成功するか、

 魔王となってこの世界を征服するかです。」 少女


「………10年近くが経つのに姿が変わりませんね。」 城の主


「現世ではまだ10日も経っていませんわ。

 あちらに戻れば貴女も元の年齢に戻れます。」 姫子






########################






「はっ、今のは予知夢!?

 いや、アスハに限ってそんな馬鹿な。只の夢だな。」


珍しく寝坊した彼女に、階下から呼ぶ声が聞こえます。


「ハルナさ~~~ん、

 サクラぁお腹が空きましたぁ~~~☆

 早くお昼ご飯を食べに行きましょ~~~うぅぅぅ♪」 サクラ



フレンチの店レ・クリスタリーヌでランチを取る一行。


「って言うかさぁ~。こっちの世界にもフランスってあるのぉ~?」 ウサ


「は~い☆

 私、イタリアンコースにしますぅぅぅ♪」 サクラ


「……フレンチの店でイタリアン。

 ………イタリアもあるんでしょうかね?」 アスハ


「それにしても、あの不死身っぷりはどういう事だ?

 魔力でバリアーを張っているとかじゃない。

 剣が体に刺さっているのに、何ともなかった。

 しかも刺さったのは聖剣だ。ゾンビとか吸血鬼の類でもない。」 ハルナ



「ああ、それは妖術で心臓をどこかに隠してるんじゃねぇ~~~?」


 突然会話に入り込んできたのは、ハルナの後ろの席でうどんを啜る長い金髪の美青年でした。


「なんだお前は?」 ハルナ


「ええっ!?

 ほら、俺だよ!忘れたのか?

 あっ、そうか。今、人間に身を窶してるしなぁ~。

 俺の正体は秘密なんだが、ちょ~と耳を貸してみ。」 美青年


4人が耳を寄せるとゴニョゴニョと呟く青年。


「ええ~~~っ、ゼファー!!?

 アンタこんな所で、ナニうどんなんか啜っているのよぉ~~~?」 ウサ



「何だ?

 魔王が、きつねうどんを食べてはイカンという法律でもあんのか?」 ゼファー


「魔王じゃなくても、フレンチの店で、

 きつねうどんを食べるのはどうかと思います。」 アスハ


「何のつもりだ。敵に塩を送るつもりか?」 ハルナ


「いや、お前らとは、ずる~~~。

 いずれ決着を、ずる~~~。

 付けなきゃイカンし、ずる~~~。

 他の奴に殺されても、ずるずるずる~~~…。」 ゼファー


「喋るか、食べるか、どっちかにしろ!」 ハルナ


「ごちそうさん。

 じゃあ、ここに置くぜ!」 ゼファー


「ちょっとアンタ、うどんでどうして金貨を置くのよ!」 ウサ



「魔王ともあろうものが、ケチなマネができるか。」 ゼファー


「………小銭を稼いだチンピラみたいです…。」 アスハ


「ちょっとオーナー、こいつ魔王よ!」 ウサ


「ああ、すいません。

 ちょっと今日は耳の調子が悪い様で…。

 ゼファールさん、いつもどうも。」 オーナー


「こいつ魔王だってば!」 ウサ


「おおっと、あちらのテーブルで呼ばれているようで。

 では、失礼しますね」 オーナー


「おう、じゃあまたな!」 ゼファー



「………絶対、とっくにバレてますね。」 アスハ


「取りあえず、有力?な情報は入ったか、

 ………さくらこ?」 ハルナ


「ふぁい、もぐ。

 なんで、もぐもぐ。

 すか、もぐもぐもぐ。」 サクラ


「ここにもいたか…。」 ハルナ


「ふぐぅ?」 コクリと小首を傾げるサクラ

お読み頂きありがとうございます。

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