26 魔導士と貴婦人6
後ろに下がる青い魔導士アスハ、左から回り込もうとする踊り子ウサ。
「…………………………“瞬間高電圧”」 アスハ
伯の近くに小さな電光が走るも、一瞬でかき消えます。
「やはり、
この手の術は魔力差があるとキツイです。」 アスハ
「あの程度の魔力では、俺の脅威には成り得ない。
ならば、畳みかけるか。
…………………………“炎の竜”」 セロリー伯
伯の右腕から、竜の頭の形をした炎を先頭に炎の渦がサクラ目掛けて放たれます。
「そんな、気を失っているさっちゃんを狙うなんて!?」 ウサ
「…………………………“火への加護”」 大地の僧侶ハルナ
「自分に掛けた!?」 陰気な騎士ジョナゴールド
サクラと炎の渦の間に飛び込み、立ちはだかるハルナ。
「間に合って!
…………………………“炎熱防御”」 アスハ
「確かに気を失っている騎士より、
魔力の高い僧侶が二重の障壁を張って受ける方がダメージは少ない。
が、俺の魔法はそんなに甘くない。
燃え尽きよ。」 セロリー伯
「燃え尽きるものか!」 ハルナ
炎の竜がハルナを包み込み、大きく膨れ上がります。
「…………………………“大地の癒し”」
渦巻く炎が消え去った時、中から現れたハルナがゆらりと倒れ伏します。
「はーちゃん!?」 ウサ
「ほう。形が残るとは、大したものだな。
だが、生きてはいまい。」 セロリー伯
「(いいや、生きているとも。被弾と同時の治癒魔法で死なずに済んだのだ。
…だが厳しい。
吸血鬼伯の異名は伊達ではないか。
もう防ぐ手立てがない。)」 地に倒れ伏すハルナ
「ええええっぃぃいぃぃ!」
短剣を抜いてセロリー伯に突進するウサ。
「…あれは、呪われていた短剣。」 アスハ
お読み頂きありがとうございます。
よろしければ評価を押していただければ幸いです。