20 幽霊の森3
サブタイトル変更しました。
サクラ日記♫彡。.:・¤゜♫彡。
パパ、ママ。
私今日はお留守番なの☆ 幽霊の森から帰った後、ウサさまは高熱を出して丸1日目を覚まさなかったのよ。目が覚めてもさらに2日は熱が続いてベットから出られませんでしたわ。ハルナさまは意外と面倒見が良くて、お水を飲ませてあげたり、お粥を食べさせてあげたりなさっていましたの。でもベットから出られるようになるとすぐに、お二人はロバと森を通れる車幅の狭い荷車を借りて、猪の回収に幽霊の森に戻っちゃいました☆ アスハさまも結界張り係としてお連れになって、それから…。
大繁盛の屋台の中。
「いや~美味いね、美味いね~。猪鍋なんて久しぶりだよ~。
この辺じゃ、猪なんて獲れないからな~。」 マイク
「(ぴく)」 ハルナ
「そういえば、幽霊の森には大きな猪がいるみたいだぜ。
まあ、あんな所に行く奴なんていないし、
第一食べたら祟られそうだしな~。」 ジェイコブ
「(ぴくぴく)」 ハルナ
「それにしても美味い。出汁が効いてるね~。
お姉ちゃん、この猪どこのだい?」 マイク
「…北海道。」 ハルナ
「ホッカイドウ?それってどこか他所の国かい?」 ジェイコブ
「う~ん、何だかこの肉。幽霊の森くさ…。」 カパ太郎
どん。ハルナが屋台の板を叩くと、梃子の原理で跳ね上がり鍋に墜落するカパ太郎。
「煮るぞ。」 ハルナ
「もう煮られてます~。というか溺れる、あばばばば。」 カパ太郎
数日後、さらわれたブロッコリー伯の息子、アスパラガスを探してセロリー伯爵領境界の森へと踏む込んだ一行は、山賊の待ち伏せに遭い、十数本の弓で狙われながら通行券を押し売りされます。
「…さて、払うのか払わないのかどっちなんだ?」 山賊のお頭
「仕方ありませんね、ウサさん。
あの腕輪をあげましょう。」 アスハ
「ええ~っ、もったいないよぉ~。」 ウサ
「命には代えられません。これを、どうぞです。」 アスハ
「待て、何だか胡散臭いな。
お前それを嵌めてみろ。」 山賊のお頭
「えっ、私ですか?分かりました。」
そう言って腕輪を嵌めるアスハ。すっと目を閉じて集中すると、その後ろに鎮座した10m近い巨大なトラが現れます。そして、懐からカードを取りだすと絵柄も見ずにみんなの方に向けるのです。そのカードには薬壺の絵が。
「そう。この子の名前は、タイガーバーム。」
「なんじゃコイツは~!?」 山賊のお頭
「弓で狙ってるんだぞ!おかしなマネはするなよー!」 山賊A
「お待ち下さい。この子の前脚の裏をよ~く見て下さい。
立派な肉球があるでしょう。ちょっとごわごわざらざらしてるけど、最高です。(ぷにぷに)
それに一度やってみたかった、虎さんの毛に包まれてわふっと…。ああ~っ。」
満喫なさった後、タイガーバームを消して腕輪を渡すアスハ。
「すげ~じゃね~か!よしっ!
うっ、うわ~っ!?」 山賊のお頭
「ウサさん、よく見ていて下さいね。」 アスハ
黒い煙が立ち上ると、どくどく脈打つ醜悪な黒い肉塊となって半ば山賊のお頭を挟み込みます。ぎちぎち。
「うわ~っ!」「ぎゃ~っ!」「ひえ~っ!」
肉塊から一瞬のうちに触手が伸び、その先端が膨れ上がると手下達を包み込んで肉玉となります。触手は一行に向けても伸びてくるのですが。
「…………………………対霊結界。
悪霊や精霊の類を阻みます。」 アスハ
触手は結界を越えられず、その周りをぐるりと押し包もうとします。そのすぐ脇にはたまたま難を逃れたものの、恐怖に腰を抜かして座り込んだ山賊が。
「おい、賊!死にたくなければ結界の中に入れ。
サクラ頼む。」 ハルナ
「は~い☆ こちらにいらして下さ~い♪」
手招きするサクラの所まで這い進む山賊。安堵した彼の顎の下に剣を突きつけるサクラ。
「ヒィーッ!?」 山賊A
「おかしなマネはなさらないで下さいましね☆
悪人さんとはいえ、せっかく助けた命を地獄にお返しするのは、
気の滅入る事なんですのよぉ♪」 サクラ
しばらくすると血を噴き出しながら収縮する肉玉。そして、唐突に朽ち果て始める肉塊。ボロボロと崩れ落ちて灰になり、風に吹かれて消えた時、干からびた山賊のお頭の遺体が残るだけでした。
「うわ~っ、ひっさ~ん。でも、山賊のお頭の精神力が強くて、
フレンドを操れたらどうするつもりだったの?」 ウサ
「悪人は、心が弱いから悪人…。
そういうことです。」 アスハ
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