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北東寺榛名と奇妙な世界  作者: 石表
17/81

17 ハイエナの遠吠え2

タイトル変更しました。

「扉を開けなさい、ぴ~まん男爵!」 ハルナ


「ハルナさま、声大きぃですゎ☆」 サクラ


「ボンジュルゥ~。そのまま押し潰されるがいい。

 がはははははっ。」 部屋の外から男爵の声


ごごっごごご。


「こんなことをして…。

 ブロッコリー伯爵の子も、あんたがさらったんでしょう!?

 あんたの馬車から子供の泣き声が聞こえたって人もいるのよ!」 ハルナ


「ブロッコリーの子など知らんよ。

 どこの世界でも子供は高く売れる。それだけだ。

 ぴ~まん。」 男爵



ごごっごごご、ぴた。


「天井が止まりましたゎ☆」 サクラ


がこっ。ごごごごっごごごごごご。


「…天井が加速したです。」 アスハ


「一気に止めを刺そうというの!?」 ハルナ


「あれ? いや、その通りだ!」 男爵



「きゃぁ~~~。

 入れ替えた歯車、逆だった~~~。」 ???(どこか別の場所)



ばきばき(天井がテーブルやイスを押し潰していく音)


がったん。


すでに仰向けになているハルナ達の目の前で止まり、するすると戻って行く天井。


「みんな大丈夫!?

 扉のロックも解除したよ!」 天井の隅が開き、顔を覘かせるウサ


「あら。じゃあ、あの長椅子で寝ている方は?」 サクラ


「トイレに連れて行ったときに毛布を巻いた人形と入れ替わり、

 伯爵の子を探しに行ってもらったのさ。」 ハルナ


「大声はウサさまに気付かせる為だったのですゎね☆」 サクラ


「ちなみに、加速したのは?」 ハルナ


「てへぺろ(・ω<)」 ウサ


「とにかく脱出…です。」 アスハ



 月夜の中、館を飛び出すハルナ達。しかし、その前に現れる男爵とその手下。男爵が獣のように吠えると、彼らの顔や手が毛に覆われ、びしりびしりと服を裂いて体が膨れ上がり、そして耳は長く伸び、口からは牙が生えるのです。


「まさか、…狼男?」 アスハ


そう、そこには。



「ぶちハイエナ男だも~ん。者共、かかれーっ。」 男爵


「も~ん、じゃない!」 ハルナ


「…チャンス。

 …………………………閃光。」 アスハ


 アスハの手元から放たれる光に目を眩ませる男爵達。襲いかかるハルナ達。


「…チャンス2☆」 男爵達の間を走り抜けるウサ



「ぐぬぅ、小賢しいマネを。

 だが夜の森で獣人に勝てると思うなよ!

 行け!」 男爵


やっと目が戻った二匹の獣人がサクラへと迫ります。


ぴん。ばたん。


「よし!かかった。」 ウサ


 ウサが引っ張るロープに足を取られる二匹。ロープは木の根に結ばれています。


「うふ☆」


 がつん、がつんと二匹の頭を剣で殴り付けるサクラ。



「えいっ、よぉっ、とうっ。」 ウサ


 仕掛けられた幾つものロープが獣人達を阻み、ハルナ達を助けます。


「馬鹿な!

 そんな小細工だけで、小娘数人が獣人に勝てるハズは…。」 男爵


「ふん、まだ気付いていないのか。

 サクラの持つ聖剣ブランチュールが悪の力を減じている事に。」 ハルナ



「…時価金貨千枚程度。

 ラングドシャの秘宝をデポジットにブロッコリー伯から借りました。」 アスハ


「え~っ!?

 じゃ、それを持って逃げればいいんじゃない?」 ウサ


「…ラングドシャは、時価金貨二千枚です。」 アスハ


「ブロッコリーの野郎~~~。」 ウサ



わおおおおぉ~~~ん。(遠くから)


「む、増援か?

 ここらが潮時。撤退する!」 ハルナ


「えぇ~~~。」 ウサ


「えぇ、じゃない。いくぞ。」


撤退するハルナ達。

お読み頂きありがとうございます。

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