12 竜と火山の迷宮8
ハルナ達が辿ってきた地下通路は、幅50mを越える地下世界に広がる深い谷に隔てられ、その向こうにさらなる通路とそれに続く大広間が見えるのでした。谷の底は暗闇に閉ざされて見ることは叶わず、身を乗り出して見回しても谷が左右にどれ程広がっているか窺い知ることはできませんでした。
「…ひょっとして…下がってください…です。」 足元から砂を拾い集るアスハ
「一体どうなさいましたの?」 サクラ
「インディ―ジ○ーンズの映画に、谷に掛る透明な橋の話が出て来ます。
砂を掛けて試してみるです。」 アスハ
「砂を掛けるだけなら、大丈夫じゃない?
どう思う、はーちゃん?」 ウサ
「…ん? (私の事か?)
え~っと、だいじょうぶなんじゃないか。」 ハルナ
「傷が痛みますの?」 サクラ
「え~~~ん、ごめんよぉ~~~(┬_┬)」 ウサ
「大丈夫だ。神経も臓器もやられていない。
魔力が回復して、魔法が使えるようになればすぐ治せる。
それにあれは呪いのせいだ。気に病む事はないにょろん。」 ハルナ
「どうなっても知りませんよ。」 アスハ
ばさっ どかーーーーん
砂を谷間に投げると、崖の間際に集まるハルナ達の後ろで大爆発発生。
「なに、後ろ?」 ウサ
「ほう、なるほど。」 ハルナ
「誰もいない後ろなんて、一体なぜですの?」 サクラ
「つまりこういうことです。
これまで罠ばかりだったので、
普通なら警戒して砂を投げる人間以外は用心して後ろに下がっている、
この罠はその後ろに下がった人間を狙ったものなのです。」 アスハ
「油断していたので助かった…というわけだ。」 ハルナ
ゲーム開始前
「よくそんなぷよぷ○の連鎖みたいな事、思いつくわね~。」 姫子
「おーほっほっほっ☆
爆発は“アレ”を目覚めさせるための警報よ♪」 リコ
砂を撒かれた谷間には、一筋の路が浮かび上がるのでした。
「…。」 ハルナ、アスハ
「なに、どうしたの? 早く渡ろうよ。」 ウサ
「…これは映画に出ていた仕掛けです。
あのリコさんがそのまま使うでしょうか?」 アスハ
「ああ、例えば砂を撒くと“一見”渡れそうな路が現れるけど、
渡ろうとすると真ん中まで行った時、路が割れて落ちるとかな。」 ハルナ
「え~っ、そこまで…」 ウサ
「きゃあぁ~~~~~~っ!」 サクラ
「どうした!?」 ハルナ
サクラの視線の先、そこにはこれまで辿ってきた迷宮の通路から這い出して来る爬虫類がいたのです。その爬虫類は体長約20m。全身を鱗に覆われ、コウモリの様な羽、長い首と太く短い胴体、鋭く短い前足と、その巨体を支える太い後ろ脚、長い尻尾と角と牙の生えたワニの様な頭を持ち、その口からはチロチロと炎が噴き出されているのでした。
「…ドラゴンですね。」 アスハ
お読み頂きありがとうございます。
よろしければ評価を押していただければ幸いです。