10 竜と火山の迷宮6
ゾンビの罠を抜け出した私達でしたが、突然現れた風魔王ゼファーを名乗る魔物に第2の迷宮の秘宝に続く通路の大扉を閉ざされたのです。ゼファーを探して路を引き返す私達は結局饅頭が逃げた通路まで戻る事になり、そこでも大変な罠に陥れられヒーリングポーション(傷を治す魔法の薬)を使い切りました。そしてついにある大広間でゼファーを見つけた私達は戦いを挑んだのです。(ナレーション:アスハ)
「え~~~い、とぉ~~~!」
サクラの振るう剣は、全くゼファーに当たりません。
「ぶわはははははは、ぶわは、ぶわは、
当たらん、当たらん、当たらんぞぉ~~~、
俺サマは七大魔王の1人、風魔王ゼファーさまだぁ~、
俺サマは速い、速い、速い、すぴ~でぃ~で、らぴどりぃ~、
速ない、速ます、速る、速れば、速い、速すぎるんだぁ~、
よ~~~そ~~~ろ~~~。」
「(馬鹿っちょいくせに)ふん!」
ハルナの棍棒がゼファーを捉えます。
「おおっとぉ、だが軽い、軽いぃ~~~、
そんな蚊の様な攻撃じゃ~~~、ちぃ~~~とも効かんぞぉ~~~!
ほれ、もうビリビリせんのか、ビリビリ!」
「アナタには必要ないだけ…です。
(マジックポーション(魔力回復の薬)も使い切って、
魔力もあと“小さな稲妻”2回分です。
まだどちらに転ぶか分からない状況で魔力は使い切れないです。)」 アスハ
「え~~~んっ、ちっとも当たりませ~~~ん。」
「(ナイトとはいえ、
リアで武道の経験のないサクラではコイツに当てるのは無理か。
ナイトに攻撃力で劣る僧侶では大したダメージは与えられないが、
ここは私がやるしかない。)にょろん!」
ほぼ、ハルナとゼファーの一騎打ちと言っていい状態で数十分も戦いが続きます。ゼファーもハルナを集中して攻撃するため、ハルナは自分の傷を自分の魔法で回復させながら戦い続けましたが、その魔力も尽きるのでした。
「ねえ、さっちゃんよりはーちゃんの方が速いっていっても、少しだけでしょ。
何であんなに差がつくの?」 ウサ
「…(生徒会長さんとハルナさんの事かな?)
格闘の事は分かりませんが、多分リアでの経験の差…です。」 アスハ
「ハァハァ、(そうか、戦い方をサクラに教えれば)」 ハルナ
「(どうしよう?私にできることはないの?
踊り子の私だったら、速さだけならはーちゃんより速いのに。
何か攻める手段は?
そうだわ!
ロック鳥の宝箱から出てきたこの短剣!
ひょっとしたら何か魔法の力があるかも!?)」
ゲーム開始前。
「ヒドイ、いえ、すばらしいわ、リコさん!」 姫子
「でしょ☆」 リコ
「初めて出てきた宝箱で、
第1ステージのボスの持っていた物なのに、
いきなり呪われてるなんて、素晴らしすぎるわ!」 姫子
「あっ…ダメ…意識が遠のく…。」
ゼファーとハルナの戦いにみなさまが気を取られている時、短剣を抜いたウサはしばし呆然とした後、音もなくハルナの背後に忍び寄るのでした。
「ぐはっ!?」 ハルナ
背中に激痛を感じてそのまま仰向けに倒れて行くハルナ、スローモーションのように視点がゆっくりと遷り変わる中で、短剣を持ったウサが映るのでした。
「(この目は…、正気じゃない!)」 ハルナ
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