1 怪鳥と迷宮の魔女1
学園を舞台にした拙作『藤凰院理子』の続編であり、最終話からダイレクトに繋がります。が、おそらく前作を読まなくてもお楽しみ頂けると思います。
学園のコンピュータ室に呼び出されたハルナ達は、そこで立ち上がっていたコンピュータでゲームを始めたところ、ゲームの世界に引き込まれたところから始まります。
ゲーム開始時、ゲームのキャラクターとしてハルナは僧侶を、サクラはナイトを、アスハは魔導士を、そしてウサは踊り子を選ぶのでした。
そこは美しい丘でした。遥か彼方には頂きに雪の白を載せた急峻な青い山が望まれ、足元から続く野花の絨毯の丘は、所々に陽光に満ち溢れた常緑樹の森を抱え、森によって途切れ途切れとなった小川の先には、小さな白い村が見えたのです。木立の上では鳥たちが楽しげにさえずり、芽吹いたばかりの草の匂いには優 しい小さな花の香りが混じります。
「綺麗な所ね~。ゲームはちょっと置いといて、
ここに美しい城を建てて、しばらくゆっくりするのはどうかしら?
そう、ほんの3ヶ月くらい。
景色を眺めたり、詩を書いたりして過ごすの~。」 サクラ
「ああ、そうだな。あんなのさえいなければ、それもいい。」 ハルナ
ハルナの同意と共に、木陰から緑の生き物が3匹出てくるのでした。それはカッパちゃんと猿を足して、4階から飛び降り顔面から着地したような、ちょっとハンサムな魔物です。
「私が片付けるから見ていてくれ。」 無造作に魔物へ近づくハルナ
「北東神拳コブラツイ…」 ハルナ
「カッパパ~ンチ。(ドカドカ)」 魔物A
「きゃん、、、バカな?体が重い!?」 ハルナ
「…どうやらハルナさんの力は、
レベル1の僧侶に抑えられているようです。」 アスハ
「ハルナさん、あぶな~~~い。」 ハルナを“かばう”サクラ
「「カッパパ~ンチ。(ドカドカx2)」」 魔物B、C
「痛ぃ~~~!?」 サクラ
「そんな、サクラに当てるなんて!?」 ハルナ
「…ここが地獄に近いせいか、
ガブリエルさんも生徒会長さんを見失っているです。」 アスハ
「カッパッパッパ~~~~。(ぶわははははっ、弱っちい人間め)」 魔物達
窮地に追い込まれるハルナ達。しかし、ここで機転(?)を利かせる人物がいたのです。
「待って!私が1対3で勝負してあげるわ!」 ウサ
「カッパッパッパ~~~~。(ぶわははははっ、頭がおかしくなったか?)」 魔物達
「勝負の方法はダンス。1回ごとに先攻と後攻を入れ替え、
先攻の振り付けに後攻がついていければ、後攻に1点。そうでなければ、先攻に1点。
私から先攻で1点先取よ。」 ウサ
「カパ!?(いや、なんかそれ、おかしくね~!?)」 魔物達
「BGMは“上からうさ子”♪ レッツ、ダンス☆」 ウサ
ちゃんかちゃんか、ちゃんかちゃんか、ちゃんかちゃん♪(←注意:BGM)
「カパ!?(いきなり、始めるな~~~。)」 魔物達
まるでエアロビクス教室のように、ウサと向かい合わせで踊り出す、1列に並んだ3匹の魔物。
「やっぱり、この手のは、
…残念な生き物なんだな。」 ハルナ
「…踊る阿呆に見る阿呆。同じアホなら踊らなゃ、
ソンソン…です。」 手をぱちん、ぱちんと2回鳴らすアスハ
そして、ウサが圧倒的勝利を得るのでした。宝物を巻き上げられ、肩を落として帰って行く魔物達。
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