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幼馴染の親友  作者: 世羅
2章
97/128

97

「おはよう。椎名さん」


朝一番にこちらが避けて居るのが、分かっている筈の本庄がいつものような穏やかな笑みを浮かべてせりかの所に来た。


早い時間の為、人はまだ、まばらだった。橘も玲人も居ない。


避けている理由さえ分かっていて寄って来たからには話しが有るのだろうとせりかは思い、取り敢えず無難におはようと挨拶を返した。


「今日は昼休み、生徒会の手伝いに行こうと思っているんだけど良いかな?」


「それって、私に断らなくちゃいけない事じゃないわ。本庄君が手伝ってくれれば伊藤先輩や橘君の穴だってカバ―出来る位の即戦力だもの」


「俺が行ったらお嬢さんは行かない?」


本庄にしては、とてもストレートな気まずい言葉に、言葉を返さず意外だと驚いた顔を見せると、彼はせりかの答えを待たずにに言葉を続けた。


「行かないなら、それでも構わない。だけど、俺とお嬢さんと交互に出て居たら会長達に変に思われる。それに今迄、そんなにべったりした関係では無かったかもしれないけど、結構一緒に居る事が多かった俺達が、急に余所余所(よそよそ)しい関係になったら、橘だって何か有ったのか聞いて来ると思うよ」


「何も無いわ!」


「そうだね。何も無い。なのに俺を避けるのはおかしいよね?」


「それは友達とだって少しは距離を置くことだって無くはないと思うけど…」


「何も気に入らない事が無くても?」


本庄は淡々と言うが、段々とせりかを追い込んで来た。せりかは今まで確かに本庄と話している事が多かった。ここの所は橘が忙しく、生徒会の仕事の事は本庄と沙耶と相談しながらクラスとの折り合いを付けて進めていた。


ここ一カ月程はそれが顕著だった為、本庄の言う通り距離を置くのは色々な憶測を呼んでしまいそうだった。まして会長の若宮は本庄が、せりかを振った経緯を知っていながら、せりかと本庄の間に茶々を入れてくる。冗談だと分かっているので先輩相手に抗議等しないが、友人としてはかなり親しいとは、思われているのだ。それを急に余所余所しくなったら、不審に思われない方が無理というものだろう。


「気に入らない事なんて無いけれど、本庄君こそ私の態度が避けている様に映るなら、気に障らないの?それで避けらてしまうのなら、仕方が無いと思うんだけど」


「成程ね。俺からお嬢さんを避けてくれと言いたい訳ね。橘には、よく分からないけど俺に避けられてるって言うつもり?橘が俺に聞いて来る可能性は考えないんだ?」


「せんせいは、私なんかよりずっと信憑性のある言い訳が出来る筈だわ。橘君に知られたく無いって分かってるって事は、本庄君だって協力してくれるって信じてるもの」


調子が良いのは百も承知だが、橘に動揺を与えたくないのは、せりかだけでは無い筈だ。橘と親しい本庄にとってもそうだとせりかは確信していた。


「お嬢さんに信じてるって言われたら、裏切れないけど、一昨日の早退からお嬢さんは、いつもより明る過ぎる。橘はそれだけでもう、だいぶ疑念を抱いてると思う」


「………これ以上は不審がられたらアウトだって言いたいのは分かったわ。本庄君は優しいわね」


「それは違うと思うけど、お嬢さんがそう思うのなら、そう思っててくれた方がいい」


謎かけの様な言葉にせりかが意味を問おうとしたが、橘と玲人が教室に現れたので止めて、二人に向かって遠くからだったが軽く手を挙げた。玲人は僅かに本庄と二人でいるせりかに不審げな表情をしたが、橘は対照的に明らかに安堵の色が見えた。せりかの明る過ぎる不自然さが、本庄と居る事で普段のせりかに戻っていた為だろう。多分、何か本庄に相談事でもしているのかもしれないと思われているのかもしれない。普通彼氏だったらヤキモチを焼きそうなものだが、元々本庄に振られた事も知っていて、その後も気持ちを振り切れないせりかと付き合い出した橘は、この位の事で嫉妬などしないのだろう。


こちらに手を振り返してくれる橘の笑顔は相変わらず綺麗で、それが余計に悲しくなった。別れるつもりでいる事を黙っている罪悪感が襲って来るが、相手に悟られてしまう事こそ本当の罪なのだとせりかは自分に言い聞かせた。目の前にいる本庄は、いつもと寸分も変わらぬ穏やかな表情を見せて「昼休みは生徒会に行くよね?」と言って来たので、せりかは首を縦に振った。沙耶にも一応声を掛けなくてはと思い、「沙耶ちゃんにも予定聞いて、荒井さんにも一応言っとくわね」と本庄に伝えると頷いてせりかから離れて行った。思わず張りつめていた糸が切れてしまいそうに成るが、視線を向けられてはいないが、注意を払うべき橘の不審を招かせない事だけを考えて、平静を気力だけでなんとか保った。


沙耶と本庄と生徒会室に行くと役員である先輩達はもう揃っていて、遅かったのを申し訳なく思い、「遅く成ってしまってすみません。毎日来られる訳でもないのに…」とせりかが謝ると春奈はブンブンと強く首を横に振った。


「クラス優先は絶対よ!それに私達は此処で昼食済ましてるから早いだけだから、部活じゃあるまいし、私達より早くこようなんて思わないでね」


百合も「手伝ってくれるだけで本当に助かるのよ。引き継ぎの手間も省けるしね」と沙耶の方をみてニコリと片目を瞑る。


沙耶はすっかり百合と打ち解けていて、会計の引き継ぎは順調に進んでいる様だった。次期会長は不在だが、こちらは春からゆっくり始めていたので問題ない。副会長もせりかも引き継ぎ自体は殆ど終わっている。書記は、企業で雑務を経験している本庄は、事務処理能力や雑務処理などが、学生離れした超人振りで先輩達を驚かせた。涼の事は少し気掛かりだが、一年生なのだから、せりか達と一年一緒にやりながら覚えて行けばいいだろう。


それぞれの仕事に取り掛かると、作業するタイピングの音や印刷音など、大勢の人間が居るとは思えない程静かになった。皆が自分の仕事に集中している為だ。比較的長く出来る放課後は休みも入るが昼休みは時間との勝負だった。せりかもタイムスケジュールを打ち出した所で予鈴がなった。文化祭の準備も大詰め段階に来ていた。放課後は、主役不在の通しの稽古をやる事になっていて帰れるのは遅くなりそうだった。橘と玲人も最後の方は顔を出すようだった。


教室に三人で戻り、急いで次の授業の準備を始めた。本当にせりか達も忙しい。来年は自分達だけで出来るのだろうか?と思うが、次期二年生が自分達の様に助っ人に来てくれて何とかなるのだろう。




放課後の練習は、脚本の荒井を中心に、荒井と共に演出を担当している北川貴之(きたがわたかゆき)が橘の代役を務めた。体格も橘と近い為、代役としては最適だった。しかも演出側は演者全員のセリフも覚えている。荒井の様にプロ志向と言う程ではないが、興味があるからと名乗り出てくれて、代役も始めから引き受けるつもりでいてくれたという聡明な人物だった。


一緒のクラスになったのは二年生からだがせりかから見ると線の細い文学青年の様に見える。文学青年は少し古臭い例えだが、演劇などに興味があって演出を学園祭規模のものだとしても、しようと思うのだから、最初に受けた印象は遠からずだろう。成績上位者で選ばれた一組の男子は、北川に近い印象を受けるものが多く、この文化祭までは悪いがあまり強い印象に残っていなかった。しかし、他人に求めるだけあって、本人に演技力もある。発声の仕方も良く凛とした源氏の君を演じてくれる。しかし、裏方志望になるのは、演出家の目線から自分に華が無いからだと思っているからと言われた時には、本主役の橘と比べたらそう思ってしまうのも無理は無いが、せりかは北川の演じる源氏の君は、細かい事に拘る繊細な演技でそれはそれで割合気に入っていた。


彼を相手に東宮妃となるべく育てられた葵の上は、プライドが高く不本意な結婚をした彼を拒み続ける。この役が合っていると思われるのはいまいちそれこそ不本意だったが、仕方が無いので、その不本意さを役の上で北川にぶつけると、彼は傷付きながらも距離を詰めようとしてまた拒まれて、少し諦めの気持ちも出て来てしまう、という難しい心理描写の演技がとても上手だった。


急に来てこの役をやらなくてはいけないのが橘で無かったら、北川にやって貰った方が良いだろうと思う程の出来だが、相手側にも要求が高い為、一番絡みの多い紫の上を演じる真綾は、北川とよくぶつかっている様だった。紫の上は、多くの女人が出て来ても源氏の君と過ごす時間が長く、年齢も演技であげて行かなくては成らない難しい役だった。


演技の経験よりもイメージ先行で選ばれている真綾が、それを演じるのは大変だろうとは最初から思っていたが、北川の演出により、更に苦労している様だった。荒井はせりかにだけ、女同士だとはっきり言い辛いから、北川の存在はとても助かると言って来ていたので、せりかは不満の出ない様にダメ出しされた子達にフォローを入れていた。真綾にも、全部のセリフまで把握して、更に本番では橘に役を譲り渡す彼にあまり悪い印象は持たないで欲しいとクラスの副委員長として頼んだ。真綾には、「その場では言い合いに成るし、彼が少し神経質だとは感じているけど、一緒に頑張っている仲間だと思っているから揉めていても討論の範囲だから、せりかさんは気にしないで」と言われた。真綾もやはり役と格闘しているのだなと思い、胸が熱くなった。自分も葵の上を頑張ろうと思うが、北川も荒井もせりかの『葵の上』に対してイメージ通りだと言って、あまり注文を付けてくれないので、何処を良しとしているのかが不明で、却って役がよく掴めない。口には出せないが毎回確たるものが無いので、こんな感じで良いんだよね?と自問自答しながらやっている。


本庄の帝役は荒井も北川も「「完璧!」」と言って唸るので、せりかに言う「イメージ通り」はもしかすると、もう少し思う所はあってもこの辺りが限界と思われているのだろうかと思ってしまうが、完璧にやれる技量もないのには、食い下がれないし、ダメ出しされている真綾達の手前、荒井や北川にどうやったらもう少し良くなるのか聞き辛かった。


こういう時には、いつもは本庄に答えを求めてしまっていた。考えると今迄色々な事の基準を本庄に委ねて来てしまっていたのだと気付いて愕然とした。彼と気持ちが遠く成っている今は、彼に頼ったりしない。今は橘への友情がリンクしているから協力している奇妙な関係だった。


帝役の彼は、役が終わっているが通し稽古の雰囲気を守るかの様に、ゆったりとせりかの傍へと来た。


「椎名さんの葵の上は、あまり迷い無く地で行った方がいいよ。元々真綾同様、役に合っているから選ばれているんだから、変に役作りしない方が良いんじゃないかな?今は少し最初の頃より迷っている様に見えるけど…」


聞いて無いのに、こうして答えを貰ってしまうと、何とも言えない気持ちになった。もしかすると彼には頼らないと思った気持ちも見透かされてしまっているのだろうか?


答えは考えなくても、答えを言う彼の言葉が答えなのだろう、とせりかは項垂れてしまう。


「有難う。せんせいのいう通り、自分の中で迷いが出て来てたわ。真綾さんと北川君の頑張りを見ていたら、私も、もう少し良い演技が出来ないかって思い出して来てしまったの」


情けないが相談なんてして居なかったにしても、悩んでいた答えをくれる本庄に礼を言いながら、役に対して感じていた感情を話した。


「余計かもって思ったけど、今回に限っては俺達は合う役を宛がわれている以上、いつも彼等に見せている自分のイメージが一番近い筈だよ。真綾は役が難しい所為もあるかもしれないけど、思ったイメージと真綾の実像のギャップがあるから、演出側から注文が来るんだよ。お嬢さんだって、真綾に対して最初は思って居たのと違ったでしょう?紫の上は芯が強くとも我は強く無い。その上源氏の君の英才教育でとても淑やかで控えめで、それでいて賢い女性だ。従兄の俺から言わせれば、真綾に全く合っていない」


「そうかしら?真綾さん以外にこの役が出来る人は居ないと思うけど」


「かなり幼い頃からを演じる点からすると、大人っぽい椎名さんとか石原さんは無理かもね。石原さんは明石の上役だけど、優しくて聡明で、大人の良く出来た女性というのは、良く合っているし、実像ともあまり掛け離れてないよね?」


「そうね。沙耶ちゃんは役もはまっていて演技もうまく行ってるわね。沙耶ちゃんにピッタリだと思ったわ」


「それに比べると真綾は我が強くて、我儘な雰囲気が出る。源氏の君に『おにいさま』と言って甘えるシーンは真綾に兄は居ないから俺に昔して来たのを思い出してやってるのが分かる。…個人的には懐かしいけど、紫の君は彼に対してそんなに我儘になれる関係では無いし、甘えているのも親から半ば見捨てられて祖母の所に居た彼女は、真綾程、無邪気に相手に自分を押し付けてしまえる訳も無い。演出側は、少しの遠慮がありながら、唯一の庇護者である彼を異性としてではなく、若い父親の様に甘えて欲しいと思っている。そうすると、源氏の君に裏切られた時の紫の君の悲哀が観客に伝わり易いからね。それでも結局妻にされた紫の上は源氏の君を異性として愛する様になる。それは源氏の君がそういう従順で聡明な女性に育てあげたからなんだけど、真綾は従順からは程遠いし、聡明な雰囲気は無い。親族の欲目から見ても相当無理があるから、真綾はかなり演技(・・)しないと紫の上に成らないから悪戦苦闘してる。それを手本にするとお嬢さんの場合はちょっと遠くなっちゃうんだよね」


「私は葵の上は合っていると思われてるのは、ちょっと心外なんだけど、プライドが高くて、源氏の君を受け入れないイメージなの?」


「源氏の君をお嬢さんの彼氏に置き換えると、そのまんま過ぎる位だよね。結局お嬢さんは自分の心を守る為に奴も捨てるし、俺の事も見限った」


本庄のいつに無い、ストレートな言葉にたじろぐが、彼が言う事は痛くとも事実だ。せりかは橘の彼女でいる事にも、友人でもある橘や本庄から十字架を背負わされる事にもうんざりしていた。それはプライドが高いからでは無いと思いたいが、そうで無いと言い切れない。橘の周りを気にして、尚且つ本当の自分を見てくれて居ない彼と別れる決意をした自分は、彼に失望される前に自分から去ってしまいたいという自分の中のプライドゆえからかもしれない。虚像の自分を見る相手に対しての理不尽だと思う気持ちは勿論あるが、それに対して本当の自分では好かれないのでは無いかと思って、拒否しつづけているのかもしれない。


「葵の上は本当は自信の無い人なのかもしれないわね。源氏の君が自分と結婚したのだって大臣家の姫だからだもの。東宮に嫁ぐ筈だったのにと思っているけど、源氏の君の正妻よりも、宮中で寵を争う立場の方が葵の上にとっては楽だったのかもしれないって役をやっていて思うの。対等な立場にない東宮に対しては敬う気持ちはあっても、自分だけのものであって欲しいと思うような気持ちは持てないでしょう?せめて数いる中で、家の為に自分が一番にならなければって思って寵を得ようと思うくらいで、浮き名を流す源氏の君に対する思いとは違うと思うのよ」


「橘は浮き名は流していないけどね」


「それは、彼自身はそうかもしれないけど、学校中からみたら、光源氏そのものよ。舞台だって物語から抜け出たような源氏の君になるわ」


「それで、椎名さんはそんな源氏の君に見出された、唯一人の女性になる訳だ。葵の上の様に沢山の中の女性の一人じゃ無い」


「私は、葵の上の様な大臣家の娘でもなければ、東宮妃になる特別な教育もされてない、普通の人間なの。源氏の君に唯一人に選ばれるのは荷が重いのよ。最初から判っていたのに、結局光に向かって行ってしまう虫と同じなのかもね」


「虫って…それは俺が言った言葉がお嬢さんを傷つけた事から派生して、随分とお嬢さんの中で色々な物が壊れてしまったのは申し訳ないけど、今迄のものを思い切って全部取り払って、一から自分を作りあげるチャンスじゃ無いの?自信過剰で自分が橘にふさわしいって言える人間にもなりえる機会かもしれない」


「もしも橘君に別れを言い出す間の短い時間にそれが実現出来たら、自分の力では絶対無理だから、洗脳騒ぎになっちゃうわよ。本庄君は、それが出来ちゃいそうで怖いわね。既に貴方を避けていた私は、一日で消えてしまっているのよ。本庄くんの誘導でここまで来てるんだから、洗脳も出来るかもって思うけど、もしかして本当に出来るの?」


「……出来ないに決まってるし、もしも出来ても友達にそんな事する訳ないよ」


「こんな私をまだ友達と思ってくれてるのね?」


「思って無いのはお嬢さんの方でしょう?虚像を押し付ける俺の事、避けたくなる位、嫌なんでしょう?分ってるけど、それでも傍に居たいんだ」


「………何故?貴方の見ている私は、何処にも居ない。橘君の彼女として周りを気にして良く見せていた私か、もしくはそれ以前の貴方に縋っていた時の私は、好きな人に少しでも良く思われたいと思う出来の悪い作り物よ。私をちゃんと見てくれるのは玲人だけだわ」


「真綾から高坂を取り返す?」


「そうするって言ったら、本庄君はどうするの?大事な真綾さんの為に、私をどうにかするのかしら?」


「高坂は動かない。それは少し心配したから、もう確かめた。お嬢さんの方は高坂が真の理解者なのは、何も今日そうなった訳では無いから真綾から奪うような事は無いけど、高坂の方が揺れる可能性はゼロでは無いと思ったから先に動いた」


「……春奈先輩が本庄くんに可愛く無いから絡んだって言った時には、酷いと思ったけど気持ちが今は分かるわ。心にも無い事言って挑発してしまって、頭の中では駄目だと解っているのに止まらなくて、それを謝る前に先手を打たれてるし、答えが分って居たなら、先に挑発して来たのは本庄君の方だったって事になるのよね?」


少し呆れた顔で小声でせりかが言うと、本庄は「そうだけど、謝らないよ。だって謝られたくないでしょう?」と言って来たので流石に悔しくなった。


「本庄君は何がしたいの?私の気持ちが解って居ながら、傍にいたいって思うのは理解出来ないし、橘君の事を思っての事なら、橘君の為にならないと思うわ」


「橘の為じゃ無い。自分の為だけに動いてる。そのうち俺の考えている事が判ると思うけど、判ってからどうするか考えて?今は嫌でも、取り敢えず今迄通りで行く結論にお嬢さんの中でも成っているんでしょう?」


結局、本庄にやりこめられてしまって悔しかった。まわりには聞こえない程の小声で話しこんでしまったが、表情を変えない彼を見ながら、せりかも鏡を見る様にそれを心掛けたお蔭で、せりか達二人に注意を向けるものはいなかった。結局、異性との内緒話は人目の無い所に行くよりも、こうやった方が効果的なのだと実践で教えられたような気がした。本庄はいずれ判るといった真意は本当に判るのか、それさえも分らないせりかは、本庄から、北川相手に奮闘する真綾に視線を移した。


あけましておめでとうございます。今年も宜しくお願いします。最近の主人公のキレっぷりを皆様がどの様に感じていらっしゃるのか気になります。ご感想頂けると嬉しいです。お返事NGの場合は明記して下さい。誹謗中傷は勿論NGで(^O^)/

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