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幼馴染の親友  作者: 世羅
2章
88/128

88高校二年生二学期編

新生徒会役員の顔合わせはうまくいくのか?!

「せりかちゃんが年下の可愛い系が好みだとは知らなかったわ!」


沙耶と橘と本庄と涼と生徒会室に行く途中に投げかけられた軽口に苦笑すると、涼が焦った様に振り向いた。


「沙耶さん!橘先輩に誤解されます。マジで怖いんで冗談でもやめてください。橘先輩は意外に冗談通じない人なんですよ?」


「ああ、わかる~♪特にせりかちゃんに関する事は通じない事多いわね」


からかわれて居るのが判るだけにせりかは反応しない事に決めた。


今日は来期の生徒会役員(予定)と現会長、副会長と顔合わせである。全員とはおいおいで良いという事になったのは、昼休みという時間の短さにあった。




せりかたちが部屋に入って三人が会長達に自己紹介すると、二人とも本庄を興味深げに観察していた。本庄も何か感じる様で少し苦笑を洩らした。


「ようこそ生徒会へ。私が会長の若宮春奈で、横にいるのが私に会長を押し付けてくれた副会長の伊藤律也君ね」


どっと皆が受けると伊藤は飄々と「副会長の伊藤です。見ての通り生徒会は女性上位だから」と言うとその言葉の最もさにも悪いが受けてしまった。


掴みはばっちりだよなぁと橘は二人に尊敬の眼差しを向けた。


沙耶は近くで見る春奈の綺麗さに少し引き気味だった。よくせりかが自分の彼氏と並び評して美貌を話してはいたが遠くから眺める機会はあっても近くで見ると橘並みの美人に驚いてしまう。


近くに寄って来られて「せりかちゃんって面食いね」と沙耶を見て言われた時には意味がよく分らなかったが、せりかと橘は軽く笑ったので意味は後で聞こうと思った。


せりかと橘と本庄と可愛らしい後輩の涼と一緒だった為、あまり緊張せずに顔合わせにやって来たが、ここに来て生徒会長の迫力に圧倒されてしまった。


伊藤は本庄の方に寄って行くと「よろしく」と彼にだけ特別な視線を向けられてしまい『そういう方面の人じゃないよな?!』という意味合いの目配せを橘にして来たので先程意外に冗談は通じないと評されていた彼は耐えきれなくて笑いだした。


「伊藤先輩、本庄が変に危険を感じてるので無言の詮索はその辺にしておいて聞きたい事があるなら、はっきり言葉にして頂いた方が分かり易いですよ。なんといっても初対面ですしね」


伊藤は悪い悪い!と本庄に謝った。二人から話を聞いていて自分の方は初対面というのを忘れていたと言うと、本庄は成程という納得した顔になった。それでも何を言われたんやらとこの人達の自分への関心の高さから見て予測を付けようかと思ったが、考える間も無く伊藤に爆弾を落とされた。


「せりかっちが好きな奴ってどんなのか分らなかったけど橘にタイプが割と近そうだから意外と橘も外れて無さそうだな~と思ってさっ…」


二人が渋い顔で睨むが、本庄の驚きの大きさに橘とせりかでとりなし始めた。


「伊藤先輩はストレート過ぎだけど悪い人じゃ無いから!」と焦るせりかに橘も頷いて後で話すと言いながらも伊藤の情報を先に教えなかった事を詫びられた。


春奈がくすくすと笑って、皆にも春の女神のような微笑みを向けながら今迄の事は、色々あって聞いてしまっていて二人で子供っぽく興味津々で本庄を迎えた事を打ち明けた。


本庄は綺麗な笑みには絆されずに会長と副会長の自分への関心と、内情を知り過ぎていてどういう事か橘とせりかに問いたださなくてはならないと思った。しかも副会長はこの人子供か?!突っ込みたくなった。全体に今の状況で許される範囲をどう考えても越えているだろうと思うと頭痛がしてきてしまい、目元に手をあてた。


沙耶は事情をよく知っているので驚かないが、涼は目を丸くして何か言いたげではあったが賢明にも黙って一言も声を発しなかった。沙耶は流石せりかが連れて来た子だけはあると思ったが、副会長の規格外な人柄は、聞いていたよりも随分激しい。


本庄は先輩二人ににっこりと笑い「従妹が大変お世話になったのにお礼がこんなに遅くなってしまってすみません。色々と有難うございました。それからこれからはお手柔らかに宜しくお願いします」と綺麗に挨拶に来たという事を軌道修正した。


浮かれ過ぎていた先輩達も冷静な後輩に舌を巻いた。二人とも橘が自分よりも上だと評したのは、謙遜では無いのは判っては居ても、聞くのと目の前で見るとでは大違いである。橘や玲人を袖にしてせりかが惚れただけはあると伊藤も春奈も思った。


それからは、涼に話題が集中して一番年下の彼は、早くも生徒会のマスコットになりそうだった。姉がいる所為か女性の扱いが上手い。せりかは少々伊藤に心配な視線を向けるといとも簡単に「涼はすごいモテるよ」とまたしても爆弾を落としてくれて涼を困惑させた。


「そうだよね~!可愛いしサッカー上手で、海外仕込みなのか女の子に優しいしもんね~。これでモテない訳は無いですよね~」


せりかが言うと、涼はブンブンと首を振って否定した。


「伊藤先輩と高坂先輩を観に来てらっしゃる先輩方から、たまに応援して頂きますけど伊藤先輩の誤解です!!」


「「可愛い~!」」


謙虚さに萌え~!となったのはちっさいおっさんが入っているんじゃ無いかといつも思っている春奈とせりかだ。伊藤は呆れた顔をしたが、橘と本庄は渋い顔を見せたので、あれ?!と伊藤の中で本庄ってせりかを振った奴だよな?という小さな疑問が湧いた。


抱き締めるのはセクハラですから!と春奈をせりかが必死で止めるのを本庄は小さく笑って、横にいる橘に「生徒会って面白いな!」と耳打ちすると苦笑しながらも楽しそうに頷いた。



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